Intel、新型【Core Ultra9 285K】は現行【Core i9-14900K】よりゲーム性能が低いことを認める

CPU

はじめに

Intel社が次世代CPUとして注目を集めるCore Ultra9 285Kについて、現行のフラッグシップモデルであるCore i9-14900Kと比較してゲーム性能が劣ることを公式に認めた。この驚くべき事実は、中国のメディアによってリークされた同社のプレゼンテーション資料から明らかになった。

性能比較の詳細

Core Ultra9 285Kは、Intelの次世代アーキテクチャである「Arrow Lake」を採用した製品だ。従来、新世代のCPUは前世代を上回る性能を示すのが常識とされてきたが、今回のケースはその常識を覆す結果となった。

リークされた資料によると、ゲームのフレームレートを測定した結果、以下のような数値が示されている

  • Core Ultra9 285K: 平均261FPS
  • Core i9-14900K: 平均264FPS

わずか3FPSの差ではあるが、次世代モデルが前世代モデルに劣る結果となったことは、多くの専門家や消費者に衝撃を与えている。

消費電力の改善

Intel社は、性能面での後退を認める一方で、消費電力の大幅な削減を強調している。資料によれば、以下のような消費電力の差が見られる

  • Core Ultra9 285Kシステム: 約447W
  • Core i9-14900Kシステム: 約527W

80Wもの差は、省エネルギーや発熱の観点から見れば大きな進歩と言える。

しかし、Core Ultra9 285K / Core Ultra7 265K のMTPは どちらも250Wなので、連続的に重い処理をする場合の消費電力はあまり変わらない気がするが、この辺りはどうなんだろう…

SMT機能の廃止と影響

注目すべき点として、Core Ultra9 285Kは従来のIntel CPUの特徴であったSMT(Simultaneous Multi-Threading、Intelの用語ではハイパースレッディング)機能を廃止している。
通常、SMTを無効にすると、シングルスレッド性能が向上し、結果としてゲーム性能が上がることが期待される。しかし、今回の結果を見る限り、そのような効果は見られなかった。これは、アーキテクチャの根本的な設計に何らかの課題があることを示唆しているかもしれない。

まるで古の【Sandy Bridge vs Bulldozer】の関係性が逆転している様だ…
SMT(ハイパースレッディング)の廃止は、発熱と脆弱性対策の為仕方なく行ったのでは無いだろうか?

新しいソケットと製造プロセス

Core Ultra9 285KはSocket LGA 1851を採用しており、従来のLGA 1700との互換性がない。
つまり、このCPUにアップグレードする場合、新しいマザーボードも同時に購入する必要がある。これは、ユーザーにとって大きな追加コストとなる。

製造プロセスの観点からも、Core Ultra9 285KはTSMCの3nmプロセスで製造される予定だ。最先端のプロセスノードを採用することで、理論上は性能と効率の向上が期待できるはずだ。しかし、新しい製造プロセスの導入は往々にしてコストの上昇を伴う。これは、最終的に製品価格に反映される可能性が高い。

AMDとの競争

競合のAMDは、TSMC 4nmプロセスを採用しながらも、アーキテクチャの改良によって性能とワットパフォーマンスの向上を実現している。より成熟したプロセスノードを使用することで、AMDは生産コストを抑えつつ、競争力のある製品を提供できる立場にある。

Intel Core Ultra9 285Kの競合となるAMD Ryzen 9 9950Xとの比較データも興味深い

  • 生産性ベンチマーク: Core Ultra9 285Kが優位
  • ゲーム性能: 特定のタイトル(例:Cyberpunk 2077)で最大21%遅い

また、Intel Core Ultra9 285KとAMD Ryzen 9 9950Xの平均性能差はわずか0.26%とされている。ただし、この比較にはIntelのAPO(Application Optimizations)と呼ばれる特殊なソフトウェア最適化が適用されている可能性があり、実際のユーザー環境ではAMDプロセッサがより高いパフォーマンスを発揮する可能性もある。

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市場での立ち位置と今後の展望

これらの要因を総合的に考えると、Intel Core Ultra9 285Kは非常に難しい立場に置かれていることがわかる。ゲーム性能では前世代モデルに劣り、消費電力の削減という利点はあるものの、新しいマザーボードの必要性やおそらく高価格化が予想されることから、コストパフォーマンスの観点では魅力に乏しい製品となる可能性が高い。

さらに、Intel 13世代・14世代CPU、そしてAMD Ryzen 7000・9000シリーズCPUに対して明確なアドバンテージを持たない点も懸念材料だ。生産コストの上昇が予想される中、競合製品との差別化が困難な状況は、市場でのシェア獲得に大きな障害となるだろう。

しかし、Intelの技術力と市場での影響力を考えれば、この状況を長期的に打開する可能性は十分にある。例えば、以下のような改善策が考えられる:

  1. ソフトウェア最適化やドライバの改善
  2. 製造プロセスの成熟に伴うコスト低減
  3. アーキテクチャの更なる改良
  4. 統合GPUの性能向上(AI処理やコンテンツ制作分野での優位性確立)

結論

Intel Core Ultra9 285Kは、純粋なゲーム性能という観点では期待を下回る結果となったが、消費電力の削減や潜在的な安定性の向上など、いくつかの利点も持ち合わせている。しかし、新しいマザーボードの必要性や予想される高価格化を考慮すると、多くのユーザー、特にゲーマーにとっては、現行の13世代・14世代CPUや競合のAMD製品の方が魅力的な選択肢となる可能性が高い。

Intelがこの状況をどのように打開し、Core Ultra9 シリーズを成功に導くのか、業界全体が注目している。今後の製品改良や価格戦略、さらにはマーケティング施策によって、状況が大きく変わる可能性もある。消費者としては、実際の製品発売時のベンチマーク結果や価格設定を慎重に見極めた上で、購入を検討する必要がある。

CPU市場への影響と展望

この状況はCPU市場全体にも影響を与える可能性がある。注目すべき点は以下の通りだ

  1. AMDの市場シェア拡大の可能性
  2. Intelの競争力回復への取り組み
  3. ARMベースプロセッサのデスクトップ市場進出
  4. x86アーキテクチャの未来に関する議論の活発化

結局のところ、この状況は消費者にとってはある意味でポジティブな展開と言える。競争が激化することで、各社はより優れた製品を、より競争力のある価格で提供せざるを得なくなる。そして、その恩恵を最終的に受けるのは、私たちユーザーなのだ。今後のCPU市場の動向に、引き続き注目していく必要がある。

ゲーマーはとりあえず AMDのCPUを買えば良いと思う。

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