NVIDIAとAMDがCES 2025で相次いで発表した次世代フレーム生成技術。
NVIDIAの「DLSS 4」とAMDの「FSR 4」は、これまでのアップスケーリング技術を大きく進化させる可能性を秘めている。両社の新技術の特徴と期待される性能を詳しく解説していこう。
目次
DLSS 4が示す技術革新
マルチフレーム生成の実力
DLSS 4は、ChatGPTなどで使用されるトランスフォーマーAIの採用により、フレーム生成技術を根本から進化させたとされる。従来のDLSS 3では2フレーム間に1フレームの生成だったが、DLSS 4では1フレームから最大3フレームの生成が可能になったという。
デモで示された性能
Cyberpunk 2077のデモでは、RTX 5080を使用して4K解像度・フルパストレーシング有効時でも120FPS以上を記録。入力遅延は従来比で約6.4ミリ秒の増加に留まり、71%のフレームレート向上との引き換えとしては十分に実用的な数値とされている。
対応タイトルの展望
発売時点で75タイトルの対応が予定されており、主要な新作タイトルでの活用が期待される。ただし、RTX 50シリーズ専用機能となる点には注意が必要だ。
FSR 4が実現する画質革新
Ratchet & Clankでの実証
AMDはCESでRatchet & Clank: Rift Apartを用いたデモを実施。FSR 3.1との比較で、以下のような具体的な改善が確認されている
- 透明オブジェクトでの高い描画品質の実現
- パーティクル表現の明確な改善
- ゴースト現象の大幅な低減
- 階段やテクスチャでのシマリング(揺らぎ)の抑制
Performanceモードの進化
特筆すべきは、従来画質面で課題のあったPerformanceモードでの大幅な改善だ。Qualityモードとのギャップをかなり縮める結果が示されている。
対応状況と今後の展開
- RDNA 4アーキテクチャ向けに最適化
- Call of Duty: Black Ops 6が初期対応タイトルの一つに
- RDNA 3での動作に向けた最適化も検討中
両技術の特徴比較
DLSS 4の強み
- 最大8倍の性能向上を実現
- トランスフォーマーAIによる高度な画像処理
- 75タイトルの初期対応
- レイトレーシング時の高いパフォーマンス
FSR 4の強み
- 機械学習による画質向上
- FSR 3.1からの大幅な品質改善
- より自然な動きの表現
- 将来的なRDNA 3対応の可能性
技術的な違いと選択のポイント
処理方式の違い
- DLSS 4:専用ハードウェアによる高速処理
- FSR 4:機械学習を活用した新方式
対応環境
- DLSS 4:RTX 50シリーズ必須
- FSR 4:当初RDNA 4専用、将来的な拡大を検討中
今後の展望と期待
これらの技術革新により、4K/144Hz以上の高解像度・高リフレッシュレートゲーミングが、より多くのユーザーに開かれる可能性がある。特にレイトレーシングのような高負荷な描画技術との組み合わせでは、その効果が期待される。
両社の競争は、結果としてゲーマーに大きな恩恵をもたらすことになりそうだ。ただし、現時点では両技術とも対応ハードウェアが限定される点には注意が必要である。
ユーザーにとっての意味
高解像度ゲーミングの普及に伴い、これらのアップスケーリング技術の重要性は更に高まると予想される。特に
- 4K/高リフレッシュレートモニターユーザー
- レイトレーシング活用ユーザー
- 高画質と高フレームレートの両立を求めるユーザー
にとって、大きな意味を持つ技術となりそうだ。
まとめ:選択の幅が広がる次世代技術
DLSS 4とFSR 4は、それぞれに特徴的な進化を遂げている。ユーザーは自身の環境と用途に応じて、適切な技術を選択できるようになるだろう。今後のゲーム開発において、これらの技術の活用は更に広がっていくことが予想される。
両技術の実力は、今後のゲームタイトルでの実装と実際のユーザー体験を通じて、より明確になっていくはずだ。技術の進化が、より豊かなゲーミング体験をもたらすことを期待したい。
※この記事は各社の発表内容とデモンストレーションの情報に基づいています。実際の性能や対応状況は、正式リリース時に確認が必要です。
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