PCショップ店員の立場から、M.2 NVMe SSDの信頼性について詳しく解説していく。 SSDはPCの起動速度やアプリケーションの読み込み速度に直結する重要なパーツである。そのため、信頼性の高いものを選ぶことが非常に重要だ。
まずは、SSDメーカーをTier別に分類し、それぞれの特徴を見ていこう。
迷ったらCrucialがおすすめ
性能重視なら【Crucial T500】、コスパ重視なら【P3 Plus】
蝉族等の中華SSDはあたりハズレがあるので要注意(ガチャ)
【S Tier】
1. Samsung(サムスン)
NANDフラッシュとコントローラーの両方を自社開発・製造している、SSD界の王者。
990 PROは読み書き7000MB/sを超える爆速性能を誇り、特に4Kランダムアクセスの速度は群を抜く。
ただし、高性能な分、発熱も大きいので、ヒートシンクは必須だ。
最近のZ790やX670Eマザーボードなら、付属のヒートシンクで十分だが、B650やB760では要注意。
970 EVO Plusは今でも現役で、十分な性能がある。
990 EVOは発売当初2万円程とかなり割高だったが、最近は1万円ちょっとで買える。
極めて珍しい Gen4 x4 / Gen5 x2 という変態仕様だ。
2. WD(ウエスタンデジタル)
SanDiskを買収して以来、NANDフラッシュの自社製造も行う実力派だ。
特にWD BLACK SN850Xは、ゲーミング性能に特化した最適化が効いており、PS5での使用も認証されている。
ただし、SN770は廉価モデルながらDRAMレス設計なので、用途をよく考えて選ぶ必要がある。
SN850XはSamsung 990 PROより安価で、コスパは良好だ。
1. Crucial(クルーシャル)
Micronブランドのコンシューマー向け製品だ。
最近人気のP3 Plus は1TB 1万円を切る価格にもかかわらず、TLC NAND を採用しており非常にコスパが高い。
最新のT500は7000MB/s超えの性能を持ち、実効性能ではGen4最強クラス。
T705は爆熱だがGen5最速クラスで優秀。
速度、コスパ、信頼性どれをとっても素晴らしい。脳死で選びたいならCrucial製品を買おう。
コスパ重視なら P3 Plus、性能重視なら T500だ。
【A Tier】
3. SK hynix(エスケーハイニックス)【Solidigmの出資会社】
実は多くのメーカーにNANDを供給している韓国の半導体大手だ。
Platinum P41は990 PROやSN850Xと互角の性能を持ちながら、発熱が少ないのが特徴だった。
最近ではSLCキャッシュ切れ?と思われる書き込み性能が低下する不具合が発覚し評価が下がってしまった。
※Platinum P41は子会社のSolidigm P44 Proと中身は同じ(ファームウェアは異なる)
2. KIOXIA(キオクシア)
東芝メモリから社名変更した日本メーカーだ。
EXCERIA PROシリーズはPhison E18コントローラーを採用し、安定した性能を誇る。
ただし、最新のPCIe 5.0モデルはまだ出ておらず、現行のラインナップはやや見劣りする。それでも、セール時なら魅力的な選択肢となる。
【B Tier】
1. MSI(エムエスアイ)
Phisonのリファレンス設計がベースだが、独自のファームウェアで最適化されている。
SPATIUM M482(2TB)は安価ながら安定した性能を持ち、非常にコスパが高い。入手性は悪いがセール時は狙い目だ。
最新のM580シリーズはPCIe 5.0対応だが、発熱が大きくタワー型の超大型ヒートシンクが付属している。
M482の方が現実的な選択肢として魅力的だろう。
2. ADATA(エーデータ)
価格の安さが魅力だが、同じ型番でもコントローラーやNANDが変更されることがある。
LEGENDシリーズは性能こそ悪くないが、長期使用での実績がまだ少ない。コスパ重視なら検討の余地はあるが、できれば上位メーカーを選びたい。
ドスパラに行くとよくおすすめされる。
3.蝉族(セミゾク)※超高性能激安中華SSD
“セミ族”と呼ばれる中華系メーカーのSSD。
NANDフラッシュは主にYMTC製を採用し、コントローラーはほぼMaxio製を使用。
価格の安さが最大の魅力で、特にセール時は他社より3-4割安くなることも。ただし、国内での保証体制は不安定。
コントローラーやNANDの仕様変更も頻繁で、同じ型番でも性能が異なることがある。(ガチャ)
価格重視で割り切れるなら選択肢となるが、できれば上位メーカーを選びたい。特にOS用として使用する場合は、信頼性の高いメーカーを推奨する。
CS機を含むゲームインストール用や一時作業用ストレージとしては非常に優秀なので、中華製品アレルギーがなければ試してみる価値はある。
以下有名な蝉族を紹介する↓
- HIKSEMI (Hikvision)
- Acer Predator
- Fikwot
- Monter Storage
- Hanye
- Lexar
- G-Storategy
- SUNEAST
SSD選びの重要なポイント
現在のNVMe SSD選びで最も重要なのは、実はヒートシンクの有無だ。
PCIe 4.0の上位モデルは発熱が大きく、特にグラフィックボードの真下に取り付ける場合は要注意。マザーボード付属のヒートシンクが使えない場合は、ヒートシンク付きモデルを選ぶべきだ。
詳しく説明はしないが、初心者はPCIe 5.0製品を絶対に買ってはいけない。
また、用途によって求められる性能も異なる。4K動画編集やレンダリングなど、大容量データを扱う場合は、DRAMキャッシュ搭載モデルが必須。ゲーミングだけなら、実はDRAMレスでも十分だ。
結論として、S Tierのメーカーならまず間違いないが、用途に応じてA TierやB Tierでも十分な選択肢となる。特に信頼性を重視するならSamsungかWD、コスパを重視するならCrucialがおすすめだ。ただし、最新のPCIe 5.0 SSDは、まだ様子見が賢明かもしれない。現時点では4.0でも十分な性能があり、価格も安定している。
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