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Radeon RX 9070 XTの製造欠陥問題をわかりやすく解説 – 異常高温の原因と背景

2025年4月5日、ドイツの技術系メディア「Igor’s Lab」が衝撃的なレポートを公開した。

Faulty chip surface ex works on a Radeon RX 9070XT, extreme hotspot temperatures and research into the causes of pitting (Update #2)
As part of a reader request, I was given a new PowerColor Radeon RX 9070XT Hellhound for analysis, in which unusually high GPU and hotspot temperatures were obs

PowerColorのRadeon RX 9070 XT Hellhoundというグラフィックカードに深刻な製造欠陥が見つかり、GPU表面に1900個を超える微細な穴が発見されたという。この問題が引き起こす異常な高温が注目を集めている。

技術にあまり詳しくない人でも理解できるように、このニュースの全貌とその背景を丁寧に解説する。

何が起こってしまったのか?

この話の発端は、あるユーザーが購入したRadeon RX 9070 XT Hellhoundを使っていて、「熱くなりすぎる」と感じたことだ。ユーザーが調べてみると、GPUの温度が異常に高く、特に「ホットスポット」と呼ばれる局所的な部分が113℃に達していた。AMDが定める安全な温度の上限は110℃なので、これは明らかに異常となる。

ユーザーが「Igor’s Lab」に調査を依頼し、詳しく調べた結果、GPUの表面に1934個もの小さなクレーターが確認された。これが熱問題の原因だと判明した。

このクレーターは、専門的には「ピッティング」と呼ばれる現象だ。最大で深さ12.59マイクロメートル、直径212.36マイクロメートルという大きさで、通常の基準(深さ5~10マイクロメートル、直径50~100マイクロメートル)を大きく超えている。表面積の1%以上を占めるほどの数と規模だったため、熱がうまく逃げず、一部が極端に高温になってしまったのだ。

AMDはこれに対し、「単発的な事例」とコメントしているが、その後さらに3件の同様の報告が寄せられている。PowerColor製が2件、Sapphire製が1件で、いずれもホットスポット温度が112~115℃に達していた。ユーザーはすでに返品手続きを始めているという。

GPUの異常発熱はなぜ問題になるのか?

この欠陥がなぜ困るのかを考えると、まず熱が大きなポイントになる。GPUはパソコンでゲームや動画を動かす重要な部品だが、熱に弱い。113℃を超えると壊れるリスクが高まるし、長期間使うと寿命が縮まる可能性もある。さらに、熱くなりすぎると「ホットスロットリング」という仕組みが働いて、GPUが自分で性能を落とす。これによってゲームがカクカクしたり、動画が止まったりするので、快適に使えなくなってしまう。

実際に、調査では平均温度とホットスポット温度の差が46℃もあった。通常ならこの差はもっと小さいはずだが、クレーターのせいで熱が局所的にたまり、異常な高温を引き起こしていた。簡単に言えば、部品の表面がボコボコだと熱が逃げにくくなり、一部がオーバーヒートしてしまうのだ。

なぜこんなことが起きたのか?その予測

では、なぜこんな欠陥が生まれたのか。Igor’s Labの分析によると、原因は製造過程の「バックグラインディング」にあると考えられる。これは、シリコン製のGPUチップを薄く削る工程だ。削る際にゴミが混ざって表面を傷つけたり、機械が強い力をかけすぎたりした可能性が高い。これがクレーターを作るきっかけになったと推測されている。

さらに驚くべきは、こうした欠陥が工場での検査をすり抜けたことだ。現在の自動光学検査は、大きな傷やひびを見つけるのには優れているが、小さな凹みであるピッティングは見逃しやすい。高い性能を誇るGPUでは、こうした微細な欠陥が熱に大きな影響を与えるため、検査方法を見直す必要があるかもしれない。

AMDの対応と今後の予測

AMDは「問題を認識しており、パートナーと協力して調査中」と述べている。品質管理には自信を示しているが、複数件の報告が上がったことで、「単発的」と言い切るのは難しくなってきた。Igor’s Labは、バックグラインディングのプロセスを改善したり、検査基準を厳しくしたりするべきだと提案している。特に高性能なRDNA 4アーキテクチャを採用した製品では、こうした問題が致命的になりかねない。

今後の調査で状況がさらに明らかになる可能性もあるので、最新情報をチェックしておくと安心だ。

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