AMDの次世代ミドルレンジGPU「Radeon RX 9070 XT」のリーク情報によると、リファレンスモデルが479ドル、AIBパートナーモデルが549ドル前後とされている。実際の販売価格については、競合のRTX 5070のMSRP 549ドルを意識した価格設定になってくることは間違いないだろう。
AMDの新たな市場戦略
AMDのChief Architect of Gaming SolutionsであるFrank Azor氏は、今回のRDNA 4世代について重要な発言を行っている。特に注目すべきは、1000ドルを超えるハイエンドGPUへの投資を控え、より多くのゲーマーが購入可能な価格帯に注力するという方針だ。
「前世代では1000ドルのGPUも投入しましたが、最も市場から好評を得たのは7900 GREのような、より手頃な価格帯の製品でした」とAzor氏は語る。実際、ゲーマーの90%が300-1000ドルの価格帯に注目しているという。
FSR 4の展開について
FSR 4については、機械学習による高い処理能力が必要となるため、現時点ではRDNA 4専用機能となることが明らかになった。ただし、AMD側はRDNA 3での動作に向けた最適化も検討しているという。
また、FSR 3については引き続き開発を継続。汎用性の高いFSR 3と、高品質なFSR 4を並行して展開していく方針だ。
レイトレーシング性能の大幅向上
Azor氏は、RDNA 4でのレイトレーシング性能について「大幅な、本当に大幅な向上を実現した」と強調。これまでNVIDIAに後れを取っていたレイトレーシング性能で、大きな進展があったことを示唆している。
市場戦略の背景
AMDはこれまでの経験から、GPUセグメントでの戦略を大きく見直したという。
複数のチップを開発することによるコスト増を避け、最も需要の高い価格帯に集中投資することで、競争力のある価格設定を実現する方針だ。
この戦略は、前世代のRadeon RX 7900 GREやRX 7800 XTで成功を収めており、RDNA 4世代ではさらにこの方向性を強化している。NVIDIAの動向を見極めた上での市場投入も、より戦略的なアプローチと言える。
予想される価格戦略
日本市場においては、RTX 5070が108,800円からの展開となる中、RX 9070 XTもこの価格帯での競争を避けては通れない。リファレンスモデルは9万円台後半、AIBパートナーモデルは10万円台前半での展開が予想される。
特筆すべきは、AMDが意図的にハイエンド市場を避け、価格性能比で市場シェアの拡大を狙う戦略だ。これはユーザーにとってより良い選択肢を提供することになるだろう。
技術面での進化
レイトレーシング性能
RDNA 4世代では、これまでNVIDIAに大きく引き離されていたレイトレーシング性能で「大幅な向上」を実現。具体的な性能差は正式発表を待つ必要があるが、競争力のある性能を実現できる可能性が高い。
FSR 4の展開
機械学習を活用した新世代のFSR 4は、当初RDNA 4専用となる。ただし、AMD側はRDNA 3での動作に向けた最適化も検討中で、より広範なユーザーへの展開も視野に入れている。
また、汎用性の高いFSR 3の開発も継続。両技術の並行展開により、より多くのユーザーに高品質なゲーミング体験を提供する方針だ。
まとめ:AMDの真価が問われる時
RX 9070 XTの登場は、単なる新製品の発売以上の意味を持つ。これはAMDの新たな市場戦略の試金石となるからだ。
ハイエンド市場での消耗戦を避け、最も需要の高い価格帯に注力するというアプローチは、GPU市場に新たな競争の形をもたらす可能性がある。RTX 4080 Super級の性能を、より手の届きやすい価格で提供できれば、市場全体に大きな影響を与えることは間違いない。
1月22日の正式発表で、この戦略の成否が明らかになる。多くのゲーマーにとって、より良い選択肢が増えることを期待したい。
※この記事は実際のリーク情報とAMD幹部のインタビュー内容に基づいています。
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