iPad Proは世代を重ねるごとに薄く、軽く、そして強力になってきた。
しかし、性能が上がるほど避けられない問題がある。それが「熱」である。
2025年秋、BloombergのMark Gurman氏が次世代M6 iPad Proにベイパーチャンバー冷却が搭載される可能性を報じたことで、タブレットの冷却設計が大きな注目を集めている。
「M6 iPad Proに“ベイパーチャンバーを搭載する計画があり、最短で次のアップデート世代(=M6世代)から導入され得るが、実際の登場時期はiPad Proの18カ月サイクルを踏まえると2027年春ごろになりそうだ。」
この記事では、M6 iPad Proに噂される冷却強化の中身と、現行モデルの冷却性能について詳しく解説する。
目次
M6 iPad Proのベイパーチャンバー冷却とは何か
まず前提として、AppleはM6 iPad Proの仕様をまだ公式発表していない。
ここで語られている内容は、主にBloombergのPower Onニュースレターなどのリーク情報に基づく有力な予測である。
噂されている主な仕様
次世代iPad Proについて、以下の情報が報じられている。
まず、M6チップの搭載。
TSMCの2nmプロセスで製造されると見られており、現行のM5よりもさらに高性能かつ電力効率に優れたチップになると予想されている。
そのタイミングで、ベイパーチャンバー冷却が導入される予定だ。
iPhone 17 Proで採用したApple独自設計のベイパーチャンバーを、iPad Proにも展開するロードマップがあるとされている。
発売時期については、現行の18か月サイクルを前提にすると、2027年春頃が有力視されている、
なぜ今、冷却強化が必要なのか
ここで重要なのは、Appleがファンレスの薄型デバイスでも冷却強化が必要になっていると認識しており、ベイパーチャンバーをその解として検討しているという方向性そのものだ。
M6が2nm世代でさらに高速・高効率になるのはほぼ確実である。
しかし、タブレットという薄い筐体に収める以上、冷却設計を見直さないと性能をフルには引き出せない。これがベイパーチャンバー検討の背景になる。
現行iPad Proの冷却性能で十分なのではないのか?
次に、今のiPad Proの冷却は本当に限界なのかという疑問を整理する。
M4世代での冷却強化の実績
AppleはM4 iPad Proで、冷却設計をかなり手当てしている。
SoC直上に銅製のAppleロゴを配置して放熱性を向上、さらに筺体内部にグラファイトシートを組み込み、前世代比で熱処理性能を約20%改善している。
言うまでもないが、iPad Proは従来から完全ファンレスのまま冷却スタックだけを強化してきた流れがある。
M5 iPad ProとMacBook Proの性能差
同じM5チップを搭載していても、MacBook Pro版とiPad Pro版ではマルチコア性能に差が出ている。
シングルコア性能はほぼ同等、しかしマルチコアでは、冷却に余裕のあるMacBook Pro版の方が約10%程度高いスコアを示すケースが報告されている。
レビューでは、この差をMacBookはファンと大型ヒートシンク、iPadはファンレスと薄型ボディという冷却設計の違いによるものと推測しており、iPad版M5はサーマル的にある程度抑えて動かしている可能性が高いという見方が主流になっている。
CPUコア数の差はわずか、高負荷時には冷却ファンを搭載するMBPが有利
ーPC Watchさんより(https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/2064354.html#c03)
実用面での冷却性能
一方で、AAAゲームを実際に長時間動かしても、明確なサーマルスロットリングが確認されなかったテストも存在する。
「DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT」などを1080p高設定で動かしても、少なくともテスト条件では顕著なクロックダウンは見られなかった。つまり、数分でフレームレートが致命的に落ちるというほど極端な挙動ではないといことである。
iPad Proは冷却のせいで即座に使い物にならないわけではないということがわかる。ただし、先述の通り、同じM5でも、MacBookほどのマルチコア性能を長時間維持できる設計ではないことは念頭においておこう。
iPad Pro M5 AAA gaming test shows Death Stranding running at 1080p high settings without any upscaling or thermal throttling
(和訳)iPad Pro M5のAAAゲームテストでは、アップスケーリングやサーマルスロットリングなしでデス・ストランディングが1080pの高設定で動作していることが示された。
ーNotebook Checkさんより(https://www.notebookcheck.net/iPad-Pro-M5-AAA-gaming-test-shows-Death-Stranding-running-at-1080p-high-settings-without-any-upscaling-or-thermal-throttling.1145228.0.html)
ベイパーチャンバー冷却とは?その技術的な仕組み
ベイパーチャンバーとは、密閉空間の中に液体を封入し、熱を効率的に分散させる冷却技術である。
ホットスポットで液体が気化し、離れた場所で凝縮→そして毛細管現象で元の位置に戻るという二相循環で熱を広げていく。

ベイパーチャンバーの長所
この方式には明確な利点がある。
まず、薄い板状にできるということがある。当然、タブレットのような薄型デバイスに組み込みやすい形状を実現しやすい。
また、「受動的」なので故障要因が少ないという特徴がある。ファンのような可動部品がないため、長期的な信頼性が高くなるのである。
ベイパーチャンバーの限界
一方で短所もある。
あくまで熱を広げるのが得意なだけで、熱を遠くへ押し出す力は限定的であることはよく指摘される。
次回予告:Huaweiが示す「もう一つの道」
Appleがファンレスのままベイパーチャンバーで冷却を強化しようとしている一方、Huaweiは全く異なるアプローチを取っている。
MatePad Edgeは、アクティブファンとマイクロポンプ液冷を組み合わせ、最大28Wという高いTDPを許容する冷却システムを搭載しているのである。
次回の記事では、このMatePad Edgeの冷却アーキテクチャを詳しく分析し、タブレットの冷却設計における新しい可能性を探る。
参考情報
この記事は、Bloomberg Mark Gurman氏のレポート、MacRumors、Tom’s Guide、kobonemi.comなどの信頼できる情報源に基づいて作成されています。ただし、M6 iPad Proに関する情報は公式発表ではなく、リーク情報に基づく予測であることにご注意ください。





































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