AMDの新型グラフィックスカード「Radeon RX 9070 GRE(Great Radeon Edition)」の実機画像と詳細スペックが海外メディアに流出した。Navi 48 GPUを搭載し、3,072ストリームプロセッサと12GBのGDDR6メモリを備えるこのモデルは、現時点では中国市場向けの可能性が高いことが判明。デュアル8ピン電源コネクタを採用し、650W以上の電源ユニットが推奨されるなど、詳細情報が明らかになった。
RX 9070 GREの実機画像が流出
海外メディアVideocardz(2025年4月24日付)が、PowerColorの「Radeon RX 9070 GRE」シリーズの公式画像を入手したと報じている。これまで噂に過ぎなかった「GRE(Great Radeon Edition)」の存在が、ついに確認された形だ。
最近、RX 9070 GREが2025年第4四半期にリリースが延期されるという噂が出回っていたが、Videocarzによればそうしたスケジュールの遅延情報は確認されていないという。むしろ、今回の画像流出は製品がすでに準備段階にあることを示唆している。
特筆すべきは、パッケージに国際版と中国版の両方のブランディングが施されている点だ。これはRX 9070 GREが当初は中国市場限定で発売される可能性が高いことを示している。ただし、AMDが計画を変更して後日グローバル展開する可能性も残されている。
RX 9070 GREの確定スペック
流出した情報から判明したRX 9070 GREの主なスペックは以下の通り
- GPU: Navi 48
- ストリームプロセッサ: 3,072基
- VRAM: 12GB GDDR6
- メモリバス: 192-bit
- メモリ速度: 18Gbps(ダウンクロック)
- ブーストクロック: 2.79GHz(AMD参考値)
- 電源コネクタ: デュアル8ピン
- 推奨電源: 650W以上
特に注目すべきは、通常のRX 9070シリーズと比較してメモリ速度が18Gbpsにダウンクロックされている点だ。これは中国市場向けモデルとしてコスト最適化が図られていると考えられる。
PowerColorがラインナップ3モデルを準備中
PowerColorはRX 9070 GREシリーズとして3つのモデルを準備していることが確認された
- Red Devil RX 9070 GRE – 既存のRX 9070(XT)と同じクーラーを採用
- Reaper RX 9070 GRE – ミドルレンジ向けの洗練されたデザイン
- Fighter RX 9070 GRE – エントリーモデル(推測)
すべてのモデルがデュアル8ピン電源コネクタを採用し、650W以上の電源ユニットが推奨されるという共通点がある。これは、消費電力がRTX 5060 Tiに近いレベルに設定されていることを示唆している。
筆者のコメント
RX 9070 GREの登場は、ミドルレンジGPU市場の競争を一層激化させる動きと言えるだろう。スペック面では、3,072ストリームプロセッサを搭載するNavi 48 GPUは、NVIDIAのRTX 5060 Ti(4,608 CUDAコア)と比較すると、実性能では上回る可能性が高い。
特に注目すべきは192-bitメモリバスの採用だ。RTX 5060 Tiは最新のGDDR7メモリを採用しているものの、128-bitという狭いバス幅が足かせとなっている。一方、RX 9070 GREは古い世代のGDDR6メモリを18Gbpsにダウンクロックして使用するが、広いメモリバスによって総帯域幅では競争力を維持できるだろう。
ただし、気になるのは12GBという中途半端なVRAM容量だ。近年のゲームは高画質化が進んでおり、フルHD解像度ですら8GBでは不足することが多くなっている。そうした状況で12GBは「必要十分」と言えるかもしれないが、16GBを搭載するRTX 5060 Tiの上位モデルと比較されると、一部のVRAM負荷の高いゲームでは不利になる場面も出てくるかもしれない。
結局のところ、RX 9070 GREの実力を左右するのは価格設定だろう。VRAM 容量を考慮するとRX 7800 XTより安価で提供できなければ十分な競争力を持つことは難しい。
中国市場での反応と実売データが、このカードのグローバル展開の可能性を示す重要な指標となるだろう。いずれにせよ、ミドルレンジGPU市場の選択肢が増えることはゲーマーにとって朗報であり、価格競争が促進されることを期待したい。
※本記事はVideocardz(2025年4月24日付)の報道に基づいています。正式な製品仕様と価格は公式発表をお待ちください。
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