NVIDIAのRTX 5070に対抗して登場するRadeon RX 9070。
Call of Duty Black Ops 6での4K性能が明らかになり、業界に大きな反響を呼んでいる。両社の次世代ミドルレンジGPU争いは、予想以上に激しい展開となりそうだ。
驚異的な素の性能
IGNが実施したCall of Duty Black Ops 6のベンチマークでは、RX 9070が4K Extreme設定、アップスケーリングなしで平均99FPSを記録。これはRTX 4080 SUPERに迫る驚異的な結果だ。特筆すべきは、この性能がまだドライバが未完成な状態で達成されているという点だ。
さらに重要なのは、16GBのVRAMを搭載している点だ。RTX 5070の12GBと比較して、高解像度ゲーミングでより余裕のある動作が期待できる。特に4K解像度での高精細なテクスチャ処理において、この4GB分の差は大きな意味を持つだろう。
1%Low fpsの値も60FPS程度を維持しており、実際のゲームプレイでも安定した動作が期待できる。これは次世代ゲーミングモニターの性能を十分に引き出せる水準だと言える。
アップスケーリング技術の新時代
両社のアップスケーリング技術は、大きな転換点を迎えている。NVIDIAのDLSS 4に対し、AMDは新たにFSR 4で対抗する。FSR 4は従来のFSRとは異なり、RDNA 4アーキテクチャの専用AIハードウェアを活用する新方式だ。これはNVIDIAのDLSSに近いアプローチを採用したことを意味する。
第2世代AIアクセラレーターと第3世代レイトレーシングアクセラレーターの採用により、FSR 4はより高度な画質向上と効率的なフレーム生成を実現。さらに、第2世代Radiance Display Engineによる映像表現の進化も期待できる。
ただし、FSR 4はRX 9070シリーズ専用となり、従来のFSRが持っていた幅広い互換性は失われる。その代わりに、専用ハードウェアによる高品質なアップスケーリングを実現する。FSR 3.1との後方互換性は維持されており、対応ゲームでは従来のアップスケーリングも利用可能だ。
レイトレーシング性能の向上
第3世代レイトレーシングアクセラレーターの採用により、レイトレーシング性能も大幅に向上している。
これはプレイステーション5 Proにも採用される技術と共通点があると見られ、次世代のレイトレーシング表現の基準となる可能性が高い。
特筆すべきは、レイトレーシングを有効にした状態でも高いフレームレートを維持できる点だ。これは、第2世代AIアクセラレーターとの組み合わせによる効率的な処理が実現できているためと考えられる。
消費電力は課題に
最新のリーク情報によると、RX 9070系列の消費電力はNVIDIA製品を上回る可能性が高い。
RX 9070 XTで270W、OCモデルでは330Wという数字が示唆されており、無印のRX 9070もRTX 5070の250Wを超える消費電力となる見込みだ。これはAMDが高い性能を実現するために、電力効率を犠牲にしている可能性を示している。
この高い消費電力は、システム構築時の注意点となるだろう。十分な容量の電源ユニットの選定はもちろん、効果的な冷却設計も必須となる。特にOCモデルの採用を検討する場合は、システム全体の熱設計に十分な配慮が必要だ。
AMDは過去のGPU世代でも、性能を優先して消費電力が増加する傾向にあった。RX 9070シリーズもその路線を踏襲しているようだ。ユーザーは高い性能と引き換えに、やや大きめの電力コストを覚悟する必要があるかもしれない。
ソフトウェアの進化
AMD Softwareには画像生成や文書要約、対話型AI機能など、新たな機能の追加も予定されている。
これらの機能がどのモデルまで対応するかは未定だが、GPUの活用範囲を大きく広げる可能性を秘めている。
価格戦略の重要性
価格については、RTX 5070の10万8,800円に対して、少なくとも2万円以上安い価格設定が必要との見方が強い。AMDが価格でも優位に立てれば、十分な競争力を持つことになるだろう。
発売時期は2025年第1四半期とされており、1月23日には詳細な仕様と価格が発表される見込みだ。この価格設定が、市場での成功を大きく左右することになる。
まとめ:選択の分かれ道
RX 9070の選択は、ユーザーの優先順位次第となりそうだ
- 最新アーキテクチャによる高性能なAIアップスケーリングを求めるなら、どちらも魅力的
- 価格性能比を重視するなら、RX 9070が有力候補
- 4K高解像度ゲーミングを重視するなら、16GB VRAMのRX 9070に分がある
特に注目すべきは、FSR 4の実力だ。AMDが専用ハードウェアを活用する方針に転換したことで、DLSSとの性能差がどこまで縮まるのか、1月23日の詳細発表が待たれる。RTX 5070との真の実力差は、両者の専用アップスケーリング技術の完成度が鍵を握ることになりそうだ。
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