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AMD CPUシェアが16.6%増加、Intelは10%減少 – 9800X3Dが最も人気のCPUに、8コア構成が前年比32.6%増で主流に【2025年4月】

CPU-Zの最新統計データによると、AMDがCPU市場で劇的なシェア拡大を遂げていることが明らかになった。1年前と比較してAMDは16.6%のシェア増加を記録し、Intelは10%の減少を示している。特に「Ryzen 7 9800X3D」が最も人気のCPUとなり、AMDが初めてIntelを上回る可能性も視野に入ってきた。また、8コアCPUの人気が前年比32.6%増加し、PC市場の主流となっている。

AMDの急速なシェア拡大

CPU-Zの2025年4月1日付けの統計データによると、AMDは1年前と比較して16.6%ものシェア増加を記録した。一方、長年市場を支配してきたIntelは10%のシェア減少を経験している。この大幅な変化により、AMDは初めてCPU市場でIntelを追い抜く可能性が現実味を帯びてきた。

現在のメーカー別シェアは以下の通り

  • Intel: 56.3%(前年比-10.0%)
  • AMD: 43.7%(前年比+16.6%)

これはAmazon USの3月出荷データで報告されたAMDの約80%シェアほど極端ではないものの、世界規模のデータとしては非常に大きな変化だ。

Ryzen 7 9800X3D人気の影響

AMDの急速なシェア拡大の中心となったのは、最も人気のCPUとなった「Ryzen 7 9800X3D」だ。このCPUは単独で全体の4.3%のシェアを占めている。2位はRyzen 5 5600Xの2.1%となっている。

CPU人気ランキングトップ10の内訳は以下の通り

  1. AMD Ryzen 7 9800X3D: 4.3%(新登場)
  2. AMD Ryzen 5 5600X: 2.1%(前年比-8.9%)
  3. AMD Ryzen 7 7800X3D: 1.8%(前年比-7.0%)
  4. AMD Ryzen 5 5600: 1.6%(前年比-8.1%)
  5. AMD Ryzen 7 5700X3D: 1.5%(新登場)
  6. AMD Ryzen 7 5700X: 1.5%(前年比-17.7%)
  7. AMD Ryzen 7 5800X: 1.4%(前年比-28.6%)
  8. Intel Core i5-12400F: 1.3%(前年比-19.6%)
  9. AMD Ryzen 5 3600: 1.3%(前年比-22.2%)
  10. AMD Ryzen 7 9700X: 1.2%(新登場)

注目すべきは、トップ10のうち9つがAMD製品で、Intelは8位のCore i5-12400Fのみという圧倒的な状況だ。9800X3Dの人気は、ゲーミングパフォーマンスとコストパフォーマンスの高さが評価されている。

8コアCPUが主流に

CPUのコア数分布にも大きな変化が見られた。8コアCPUが前年比32.6%増加し、全体の24.7%を占める最もポピュラーな構成となった。

コア数別の市場シェアは以下の通り

  • 8コア: 24.7%(前年比+32.6%)
  • 6コア: 22.5%(前年比-6.9%)
  • 4コア: 19.4%(前年比-13.2%)
  • 2コア: 9.6%(前年比-17.5%)
  • 12コア: 5.1%(前年比-0.1%)
  • 16コア: 5.0%(前年比+13.3%)

この傾向は、ゲームやクリエイティブアプリケーションがより多くのコアを活用できるようになったことを反映している。特にゲーミングでは、第三世代3D V-Cacheを搭載した9800X3Dがベンチマークで圧倒的な性能を示していることが、8コアCPUの人気に拍車をかけている。

ソケットとチップセットの状況

CPUソケットに関しては、AM4が20.1%で依然として最も普及しているが、前年比で11%減少している。一方、AM5ソケットは15.1%のシェアで2位につけているが、前年比で144.9%という驚異的な成長を遂げている。

チップセットでは、B650がB550と並んで最も人気となり、ともに9.8%のシェアを獲得。特にB650は前年比89.9%増と急成長している。ユーザーはX870/X870Eなどの高価なチップセットよりも、B650などの予算志向のチップセットを好む傾向がある。B650は、Ryzen 7000シリーズと9000シリーズの両方と互換性があり、コストパフォーマンスの高さが評価されている。

GPU市場での変化

CPU-Zの統計はGPU市場についても興味深いデータを提供している。NVIDIAのシェアは前年比6.4%減少し、AMDは16.6%増加している。NVIDIAは依然として市場リーダーの地位を維持しているものの、AMDは2021年から着実にシェアを拡大している。

GPUメーカー別のシェア

  • NVIDIA: 67.9%(前年比-6.4%)
  • AMD: 31.5%(前年比+16.6%)
  • Intel: 0.7%(前年比+27.1%)

最も人気のGPUモデルは以下の通り

  1. NVIDIA GeForce RTX 3060: 3.7%(前年比-22.7%)
  2. NVIDIA GeForce RTX 4060: 3.4%(前年比+32.9%)
  3. NVIDIA GeForce GTX 1650: 2.7%(前年比-17.6%)
  4. NVIDIA GeForce RTX 3070: 2.7%(前年比-13.2%)
  5. NVIDIA GeForce RTX 3080: 2.6%(前年比+2.7%)

注目すべきは、RTX 5080が9位に、RTX 4070 SUPERが8位にランクインしていることで、新世代GPUの急速な普及が見られる。

その他のハードウェアトレンド

CPU-Zの統計は他のハードウェアカテゴリでも興味深いトレンドを示している

  • メモリ容量: 32GBが最も人気で35.8%のシェア(前年比+15.2%)
  • メモリ世代: DDR4が依然として54.0%で優勢だが前年比8.9%減少、DDR5は28.6%で前年比51.7%増加
  • モニターサイズ: 27インチが33.2%で最も人気(前年比+7.0%)
  • モニター解像度: 1920×1080が51.6%で最も普及しているが前年比4.9%減少、2560×1440は13.5%で前年比18.8%増加
  • モニターリフレッシュレート: 75Hzが36.7%で最も普及しているが前年比17.0%減少、240Hzは7.1%で前年比34.4%増加
  • OS: Windows 11 Professionalが39.5%で最も普及(前年比+154.1%)

筆者のコメント

AMDの急速なシェア拡大は、同社の製品戦略が市場に受け入れられていることを明確に示している。特にRyzen 7 9800X3Dの成功は、ゲーミング性能を重視するユーザーの心を掴んだことを表している。

興味深いのは、AMDの成功がIntelの単なる停滞ではなく、実際のシェア喪失につながっていることだ。Intelの10%のシェア減少は、同社が直面している製造技術の遅れや製品競争力の低下を反映している可能性がある。

また、8コアCPUが主流になっていることは、PCユーザーの期待値が上がっていることを示している。かつては6コアが「十分」とされていた時代から、より多くのコアが「標準」と考えられるようになってきた。この傾向は、ソフトウェアがマルチコアCPUをより効率的に活用できるようになったことも背景にある。

今後の展望としては、AMD Ryzen 9000シリーズの勢いが続く限り、AMDのシェア拡大も継続すると予想される。特にAMDのAM5プラットフォームの採用が加速する中、Intelが市場シェアを維持するためには、次世代「Panther Lake」プロセッサで大きな性能向上を実現する必要があるだろう。

※本記事はCPU-Zの統計データおよびWccftechの報道に基づいています。CPU-Zの統計はユーザーによるバリデーションに基づいており、実際の市場シェアとは一定の乖離がある可能性があります。

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