Micronは2026年1月7日、クライアントコンピューティング向けとしては業界初となるPCIe Gen5 QLC SSD「Micron 3610 NVMe SSD」を発表しました。本製品は、Steam DeckやROG AllyといったハンドヘルドゲーミングPC(UMPC)で採用されているM.2 2230という極小フォームファクタでありながら、最大4TBの大容量と最大11,000 MB/sの転送速度を両立させています。

これまで物理的なサイズ制約から「容量か速度か」の二者択一を迫られていたモバイルデバイスのストレージ環境において、Micron 3610はその両方を満たす画期的なソリューションとなります。
目次
業界初、超小型M.2 2230でGen5速度と4TB容量を両立
Micron 3610の最大の技術的達成点は、長さわずか30mmの基板上に、デスクトップPC向けのハイエンドSSDに匹敵する性能を凝縮したことです。Micronの最新技術である第9世代(G9)QLC NANDフラッシュを採用することで、記録密度の飛躍的な向上に成功しました。
主なスペックは以下の通りです。
- 最大容量: 4TB
- インターフェース: PCIe Gen5 (NVMe)
- シーケンシャル読込: 最大 11,000 MB/s
- シーケンシャル書込: 最大 9,300 MB/s
特筆すべきは、これらが片面実装で実現されている点です。内部スペースに余裕のない薄型ノートPCやハンドヘルドPCでも、物理的な干渉を気にせず搭載可能となっています。

Steam DeckやROG AllyなどUMPCユーザーへの恩恵
この製品の登場は、ポータブルゲーミングPC市場にとって極めて大きな意味を持ちます。
近年のAAA級ゲームタイトルは1本で100GB〜200GBを占有することも珍しくなく、既存の1TBや2TBのSSDでは、数本のタイトルをインストールするだけで空き容量が枯渇していました。
Micron 3610の4TBモデルを導入すれば、数十本の重量級タイトルを常に持ち運ぶことが現実的になります。
また、PCIe Gen5対応の次世代デバイスであれば、11,000 MB/sの帯域幅により、ゲームのロード時間や起動時間が劇的に短縮されます。
なお、現行の多くのハンドヘルド機(Steam Deck OLEDやROG Ally Xなど)はPCIe Gen4インターフェースですが、本製品は下位互換性を持っています。
現行機で使用した場合、速度はGen4の上限に制限されますが、「M.2 2230サイズで4TB」という圧倒的な容量メリットはそのまま享受できます。
QLCの耐久性と発熱への懸念について
一部のパワーユーザーからは「QLC(Quad Level Cell)はTLCに比べて耐久性や速度が劣る」という懸念の声も聞かれます。しかし、MicronはG9 NANDと最新コントローラーの最適化により、この課題に対処しています。
ゲーミング用途におけるストレージ負荷の大半は「読み出し」であり、QLCが苦手とする大量の書き込み処理は頻繁には発生しません。Micron 3610は読み出し性能を最大化しつつ、電力効率(ワットパフォーマンス)を前世代から大幅に改善しました。これにより、バッテリー駆動時間が重要視されるモバイルデバイスにおいても、発熱を抑えながら安定した性能を発揮できるよう設計されています。
結論:モバイルゲーミングの標準を引き上げる製品
Micron 3610は、物理的なサイズ制約を技術革新で突破し、モバイルデバイスにおけるストレージの「妥協」を終わらせる製品です。
今後登場するGen5対応の次世代UMPCにとっては必須級のパフォーマンスパーツとなり、現行機ユーザーにとっては容量不足を根本から解決するアップグレードパスとなります。Micron 3610の登場により、ハンドヘルドPCは真の意味でデスクトップPCのライブラリを持ち運べるデバイスへと進化しました。







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