ASUSは2025年8月19日、新型ROG OLEDゲーミングモニター3機種を発表した。
本発表で公開されたのは、世界最速となる540Hzのリフレッシュレートを実現したモデルを含む、eスポーツの新たな時代を切り拓くラインナップである。これは単なるスペック競争の加速ではなく、プロフェッショナルが求める究極の性能への、順当かつ必然的な進化と言える。
目次
540Hzが拓く新境地「ROG Swift OLED PG27AQWP-W」
今回の発表における最大の注目点は、27インチのフラッグシップモデル「ROG Swift OLED PG27AQWP-W」だ。
本機はLG製の最新世代「Tandem OLED」パネルを搭載する。このデュアルレイヤー構造を持つOLED技術は、輝度と長寿命化という相反する要素を両立させる画期的なソリューションである。これにより、従来のOLEDにおける輝度や焼き付きへの懸念を克服し、競技シーンで求められる最高のパフォーマンスを安定して発揮することが可能となった。
特筆すべきは、標準で540Hzという圧倒的なリフレッシュレートである。既存のハイエンドモデルを過去のものとするこのスペックは、1フレームが勝敗を分けるプロのeスポーツシーンにおいて、プレイヤーに絶大なアドバンテージをもたらす。さらに、本機は解像度を720pに最適化することで、リフレッシュレートを720Hzまで引き上げる「デュアルモード」を実装している。これは、状況に応じて極限の応答速度と滑らかさを追求することを可能にする、極めて戦略的な機能である。
VESA DisplayHDR 500 True Black認証が保証する深い黒の再現性と、OLED固有の超高速応答性能の融合は、残像感を原理的に排除したクリアな視界を実現する。「究極のeスポーツ向けディスプレイ」として、新たな技術的標準を打ち立てる一台と断言できる。
280Hzの高性能モデル「XG27AQWMG」と「XG27AQDMG Gen 2」
ASUSは同時に、280Hz駆動のROG Strix OLEDシリーズとして「XG27AQWMG」と「XG27AQDMG Gen 2」も発表した。
両機ともに27インチOLEDパネルを採用し、フラッグシップの思想を受け継ぎつつ、より幅広いユーザー層に高性能を提供する。280Hzの高リフレッシュレートとOLEDならではの広色域かつ高コントラストな映像表現は、あらゆるジャンルのゲームにおいて最高の没入体験を提供するだろう。
特に「Gen 2」ではパネル構造や放熱設計に改良が施され、輝度と信頼性の向上が図られているとされ、長期使用を前提とした堅牢な設計思想がうかがえる。
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ASUSが示すリーダーシップと市場の未来
これまでゲーミングモニター市場において、ハイエンド帯は240Hzから360Hzが主流であった。しかしASUSは今回の発表で、一気に540Hz、さらには720Hzという新たな地平を切り拓いた。これは、eスポーツの進化と同期し、ハードウェアもまた次のステージへ進むべきであるという、同社の明確なビジョンを示すものである。
この技術的リーダーシップに対し、今後競合他社がどのように追随するのか、市場全体の活性化が期待される。
発売日と価格
現時点で各モデルの価格や発売日は公式に明らかにされていない。しかし、最先端技術を搭載したフラッグシップモデルとして、その価値を反映した価格設定となることは想像に難くない。
今後数か月以内に、さらなる続報がアナウンスされる見込みである。
筆者コメント
今回の発表は、単に一つの高性能モニターが登場したという話に留まらない。ウルトラハイエンドという、性能向上が至上命題とされる競技向けモニターのレンジ帯において、これは「順当かつ決定的な進化」である。
長らく、eスポーツの最前線では、応答速度と超高リフレッシュレートを両立するTNパネルが絶対的な地位を築いてきた。OLEDは優れた色再現性とコントラストを持つ一方で、輝度や耐久性、そしてTNパネルに匹敵するリフレッシュレートの実現という点で、常に課題を抱えていたからだ。
しかし、今回のTandem OLED技術を搭載した540Hzモデルの登場は、その前提を根本から覆す。OLEDが長年の技術的課題を克服し、TNパネルの牙城であった「極限の応答性能」という領域に、より優れた画質を伴って踏み込んできたのだ。
我々は今、歴史の転換点にいるのかもしれない。これは、長きにわたったTNモニターの時代の終焉であり、競技シーンがOLED全盛となる未来の到来を強く予感させる、極めて重要な一歩なのである。未来のゲーミングモニターの勢力図は、この一台から塗り替えられていくだろう。
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