2025年6月のゲーミングPC市場はRTX 50シリーズの在庫過多による価格正常化とAMD RX 9060 XT 16GBの圧倒的コスパにより、従来の常識が完全に覆された状況だ。発売当初は品薄で高騰していたRTX 5090が40万円を切るまで下落し、一方でAMD RX 9060 XT 16GBが61,980円からという破格の価格で16GB VRAMを実現している。DDR5メモリの歴史的安値により32GBキットが約1万円~購入可能となり、10万円〜20万円の価格帯でのゲーミングPC構築が劇的に有利になった。
目次
GPU戦線:在庫過多がもたらした価格革命
NVIDIA RTX 50シリーズ – 品薄解消で価格正常化が進行
RTX 5090は発売当初の45万円〜60万円の異常な高騰から一転し、現在は398,000円-438,800円でMSRP(393,800円)近くまで下落している。ZOTACやGAINWARDモデルでは40万円を下回るケースも出現し、在庫過多による価格競争が激化している状況だ。
筆者が都内の主要PCショップを調査した結果、RTX 50シリーズの在庫状況は「潤沢」に変化しており、一部店舗では「売れ行き不振による値下げ圧力」すら感じる状況となっている。多くの小売店でMSRPを下回る価格で販売されている。
AMD RX 9000シリーズ – 在庫回復で購入しやすい環境に
RX 9070 XTは3月の発売時こそ品薄で争奪戦となったが、現在は125,000円-155,000円で安定供給されている。
各社人気モデルの価格は135,000円前後と、RTX 5070 Tiより約5%優れたコストパフォーマンスを実現している。
最大の注目株はRX 9060 XT 16GBだ。61,980円-76,800円という価格で16GBの大容量VRAMを搭載し、エントリー・ミドルレンジ市場で圧倒的な存在感を示している。RTX 5060 Ti 8GBより6%高性能でありながら価格は約12,000円安く、VRAMは2倍という破格のスペックを実現している。
GPU選択指針(2025年6月版)
- エントリー最強: RX 9060 XT 16GB(61,980円〜)
- アッパーミドル最適解: RX 9070 XT 16GB(127,800円〜)
- ハイエンド: RTX 5090(398,000円〜)
CPU市場:Ryzen 9000シリーズの価格競争力が際立つ
AMD優位は変わらず、価格がさらに魅力的に
Ryzen 9800X3Dが79,980円-89,000円でゲーミング性能のトップを独走している。Intel Core Ultra 9 285Kに対して35%の性能優位性を保ちながら、実売価格での競争力も圧倒的だ。
特に注目すべきは中位モデルの価格競争力で、Ryzen 9700Xが46,980円まで下落し、Intel Core i7-14700K(約5万円)に対して価格性能比で上回っている。Ryzen 9600Xも34,500円-37,900円でエントリーゲーミング市場での選択肢として人気を集めている。
予算別推奨CPU(現在価格版)
- ゲーム性能重視: Ryzen 9800X3D(79,980円〜)
- バランス重視: Ryzen 9700X(46,980円〜)
- 予算重視: Ryzen 9600X(34,500円〜)
DDR5メモリ革命:32GBが約1万円の衝撃
歴史的価格下落により32GB標準時代が到来
DDR5メモリ市場で歴史的な価格破壊が進行中だ。DDR5-5600 32GB(16GB×2)キットが今年3月に初めて1万円の壁を突破した。現在でも各社1万円前後で販売されており、DDR4との価格差がほぼ消失している状況だ。
価格帯別推奨構成:現実的な日本価格で検証
18万円構成:RX 9060 XT 16GBで圧倒的コスパを実現
現在最もコストパフォーマンスに優れる価格帯として15万円構成を提案する
パーツ | 推奨モデル | 価格 |
GPU | RX 9060 XT 16GB | 61,980円 |
CPU | Ryzen 5 9600X | 34,500円 |
メモリ | DDR5-5600 32GB | 10,980円 |
マザーボード | ASRock B650M Pro X3D WiFi | 18,800円 |
SSD | WD Black SN7100 | 12,000円 |
電源 | MSI MAG A750GL PCIE5 | 12,980円 |
ケース | MSI MAG FORGE 110R | 6,000円 |
CPUクーラー | サイドタワー型空冷 | 3,000円 |
OS | Windows 11 Home | 16,000円 |
合計 | 176,240円 |
この構成により1440p中設定60fps、1080p高設定120fps以上が安定して実現でき、Apex Legendsでは144fps、Valorantでは200fps以上が期待できる。16GB VRAMにより将来性も十分だ。
27万円構成:アッパーミドルの決定版
パーツ | 推奨モデル | 価格 |
GPU | RX 9070 XT 16GB | 127,800円 |
CPU | Ryzen 7 9700X | 46,980円 |
メモリ | DDR5-6000 32GB CL30 | 15,000円 |
マザーボード | ASRock B650 Steel Legend WiFi | 25,980円 |
SSD | WD Black SN7100 | 12,000円 |
電源 | MSI MAG A850GL PCIE5 | 14,000円 |
ケース | ピラーレスミドルタワー Montech XR等 | 8,000円 |
CPUクーラー | サイドタワー型大型空冷 | 6,000円 |
OS | Windows 11 Home | 16,000円 |
合計 | 271,760円 |
この構成により1440p高設定120fps、4K中設定60fpsが実現でき、FSR 4.0使用時には4Kでも快適にプレイ可能だ。
85万円構成:ハイエンドの新基準
パーツ | 推奨モデル | 価格 |
GPU | RTX 5090 | 400,000円 |
CPU | Ryzen9 9950X3D ※Ryzen7 9800 X3Dでも可 | 119,980円 ※79,980円 |
メモリ | DDR5-6000 64GB cl30 | 35,000円 |
マザーボード | GIGABYTE X870E AORUS PRO ICE | 55,000円 |
SSD | Crucial T500 4TB(Cドライブ運用) + WD SN7100 4TB(Dドライブ運用) | 40,000円 + 43,000円 |
電源 | NZXT C1200 Gold v2 White | 32,000円 |
ケース | NZXT H9 Flow RGB+ White (2025) | 44,000円 |
冷却 | NZXT Kraken Elite 420 RGB V2 White | 60,000円 |
OS | Windows 11 Pro | 22,000円 |
合計 | 850,980円 ※9800X3Dの場合807,980円 |
この構成によりほとんどすべてのゲームにおいて4K最高設定60fps以上、1440p最高設定144fps以上が安定して実現でき、DLSS 4.0対応により更なる性能向上も期待できる。
2025年注目技術:実用化が進む革新要素
FSR 4.0 vs DLSS 4.0 – 現実的な選択肢は?
FSR 4.0は初のAI/機械学習ベースアップスケーリングを採用し、RX 9000シリーズで利用可能だ。従来のFSR 3.1比で劇的な画質改善とゴーストィング削減を実現している。現在のGPU価格情勢を考慮すると、FSR 4.0対応のAMD GPUが最も現実的なAIアップスケーリング体験を提供している。
DLSS 4.0のMulti Frame Generation技術は確かに優秀だが、RTX 50シリーズの高価格設定により、コストパフォーマンスの観点では厳しい選択となっている。
OLEDモニターの普及:ゲーム体験の次元が変わる
2025年のOLEDゲーミングモニター市場は価格競争が激化し、より現実的な選択肢となっている
- MSI MPG 271QRX:1440p 360Hz(120,000円)
- ASUS ROG Swift PG27UCDM:27インチ4K(150,000円)
- MSI MPG 321URX QD-OLED:32インチ4K 240Hz(180,000円)
これらのOLEDモニターは0.03ms応答速度と完全な黒表現により、従来の液晶では不可能だった究極のゲーム体験を提供している。
購入タイミング戦略:2025年夏は絶好の機会
即座購入推奨パーツ
DDR5メモリ:歴史的安値継続中、32GBキットは2万円台
AMD RX 9060 XT 16GB:61,980円からの破格コスパ、在庫安定
AMD CPU全般:価格下落トレンド継続、競争力抜群
慎重検討推奨パーツ
RTX 50シリーズ:価格下落中だが依然高価、更なる下落の可能性あり※夏のセールに期待
Intel CPU:Ryzenに対する競争力不足、次世代CPU待ち
絶対避けるべき失敗パターン
VRAMケチりは将来の後悔につながる
8GB VRAM搭載GPUの購入は要注意だ。最新AAA級タイトルでは8GBでは不足するケースが増加しており、特に1440p以上の解像度では明らかに容量不足となる。RX 9060 XT 16GBが61,980円で購入可能な現在、8GB GPUを選ぶ理由はほとんどない。
電源ユニットでのコストカットは危険
安物電源による故障は全パーツの巻き添え故障につながる可能性が高い。80PLUS Gold以上で、必要容量+30%の余裕を確保し、Corsair、Seasonic、FSP等の信頼できるブランドを選択してほしい。
ATX 3.1規格に対応しているかもしっかり確認しよう。
筆者のコメント
2025年6月のゲーミングPC市場を一言で表すなら「価格破壊による大変革の年」だろう。長年PCショップで様々な構成を見てきたが、これほどまでに短期間で市場環境が激変した年は記憶にない。
最も印象的なのは、AMD RX 9060 XT 16GBの登場だ。61,980円で16GB VRAMを実現したこのGPUは、文字通りエントリー・ミドルレンジ市場の常識を覆した。実際に店頭でベンチマークテストを行った際、この価格でこの性能とVRAM容量を実現していることに正直驚かされた。RTX 5060 Ti 8GBが6.5万円前後で販売される中、この価格差は説明が困難なレベルだ。
一方でRTX 50シリーズの価格正常化も見逃せない。RTX 5090が40万円を切る価格で購入可能になったことで、真のハイエンドゲーミングが現実的な選択肢となった。ただし、コストパフォーマンスの観点では依然としてAMD製品に軍配が上がる状況は変わらない。
DDR5メモリの価格破壊も特筆すべき変化だ。32GBキットが約1万円で購入可能になったことで、メモリ不足を心配することなくゲームに集中できる環境が整った。特に最新のAAA級タイトルでは16GBでは明らかに不足するケースが増えており、32GBの標準化は自然な流れと言える。
購入を検討している方へのアドバイスとして、2025年夏はPC部品購入の絶好のタイミングだと断言できる。GPU在庫の正常化、メモリ価格の歴史的安値、CPUの価格競争激化が同時に実現しており、特に10万円〜20万円の価格帯では従来よりも大幅に高性能な構成が可能となっている。
特におすすめしたいのは、RX 9060 XT 16GB + Ryzen 5 9600X + DDR5-5600 32GBの組み合わせだ。この構成なら20万円以内で、向こう3-5年間は最新ゲームを快適にプレイできる性能を確保できる。VRAMの大容量化により将来性も十分で、wqhdゲーミングにも対応可能だ。
夏のボーナス商戦期間中はこの価格環境が継続する見込みであり、年後半のゲームタイトルリリースラッシュに向けたアップグレードタイミングとしても最適だ。特にRX 9060 XT 16GBは人気が高く再び品薄になる可能性もあるため、購入を検討している方は早めの決断をおすすめする。
※情報源:AMD公式サイト、NVIDIA公式サイト、価格.com、AKIBA PC Hotline!、国内主要PCショップ実地調査
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