Intelが次世代のArc GPUにGDDR7メモリを採用する可能性が高まっている。同社の求人情報から、将来のArc製品でGDDR7テクノロジーを統合する計画が明らかになった。これはIntelがディスクリートGPU市場での競争を継続する意思を示す重要な動きだ。
求人情報から浮かび上がる次世代計画
著名リーカーのHaze2K1氏が発見した「Memory Tuning and Qualification」という求人情報には、「GDDR6/7」をサポートするディスクリートArc製品に関する記述があった。この求人情報から、Intelが次世代GPUでGDDR7メモリ規格を採用する準備を進めていることが伺える。
現行のBattlemageシリーズ(Arc B580/B570)はGDDR6メモリを採用しているが、次世代の「Celestial(Xe3アーキテクチャ)」GPUではGDDR7への移行が検討されているようだ。これはNVIDIAのRTX 50シリーズがすでにGDDR7を採用している中、AMDとIntelが現行モデルでは旧世代のGDDR6を使い続けている状況からの脱却を意味する。
GDDR7がもたらす性能向上の可能性
GDDR7メモリの採用は、特にメモリバス幅に制限のあるGPUにとって大きな恩恵をもたらす可能性がある。現行のArc B580は192ビットバスで456GB/sのメモリ帯域幅を実現しているが、同じバス幅で28Gbpsのクロックを持つGDDR7を採用した場合、帯域幅は672GB/sまで向上する計算だ。これは約47%の向上を意味する。
同様に、160ビットバスを採用するArc B570でも大幅な帯域幅向上が期待できる。メモリ帯域幅の向上は、特に高解像度ゲーミングや専門的なワークロードで顕著な性能向上につながるだろう。
Intelの今後のGPU戦略
この情報に加えて、最近の輸送マニフェストからはBMG-G31やC32といった新型Battlemage GPUの開発も進行中であることが判明しており、Intelのディスクリートグラフィックス部門は引き続き活発に活動していることが窺える。
ただし、Celestialシリーズの詳細やロードマップはまだ明らかになっていない。ハイエンドセグメントでの競争に参入するのか、あるいは中〜低価格帯に集中するのかも不明だ。Battlemageシリーズは価格戦略が功を奏して一定の成功を収めたが、次世代製品でもこの路線を継続するのか注目される。
業界全体の動向とIntelの立ち位置
メモリメーカーは2024年後半にGDDR7のサンプル出荷と量産開始を発表していたものの、現時点ではNVIDIA以外の主要GPU製造業者はこの最新規格を採用していない。しかし、この状況は次世代製品で大きく変わる可能性が高い。
Intelの新しいリーダーシップの下、同社はコンシューマー向けデスクトップ市場に再び注力しているとされる。NVIDIA/AMDの二強が支配するGPU市場で成功するためには、期待に応える製品を提供する必要があるだろう。
筆者のコメント
IntelがGDDR7を採用する計画は、同社がGPU市場での競争を真剣に考えていることの証左だ。当初懐疑的に見られていたIntelのGPU事業だが、Battlemageシリーズは特に価格性能比の高さから一定の評価を得ることができた。
GDDR7の採用はメモリ帯域幅の大幅な向上をもたらすが、重要なのはそれをどう活かすかだ。現行のArc GPUは特にレイトレーシング性能と電力効率で競合に劣る面があった。次世代CelestialではGDDR7の高帯域幅を活かしつつ、これらの弱点を克服することが求められる。
個人的に最も注目したいのは、Intelが今後どのセグメントを狙うかだ。Battlemageはミドルレンジに限定されていたが、GDDR7を搭載したCelestialでハイエンド市場に挑戦する可能性もある。しかし、NVIDIA RTX 50シリーズの強力なラインナップを考えると、むしろミドルレンジでの強化が現実的かもしれない。
いずれにせよ、GPUメーカーが2社から3社に増えることは、市場の健全化と価格競争の促進につながる。消費者としては、Intelが具体的なロードマップや発売時期を早く公表してくれることを期待したい。
※本記事はHaze2K1氏が発見した求人情報および複数の海外メディアの報道に基づいています。GDDR7のメモリ性能向上予測は、現行製品の仕様と一般的なGDDR7規格の情報に基づく計算です。
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