Intelのディスクリートグラフィックス市場への参入は継続中だ。最近発見された輸送マニフェスト(船積書類)から、キャンセルされたとされていたハイエンドBattlemageモデル「BMG-G31」と謎の「C32」モデルの開発が進行中であることが明らかになった。これはIntelが当初の予定通り、より強力なグラフィックスカードの開発を放棄していないことを示唆している。
BMG-G31の存在が確認される
輸送マニフェストには「BMG-G31」の記載があり、現行のBattlemage SKUよりも上位のシリコンが開発中であることが判明した。この「G31」ダイはかつて、24〜32個のXe2コア、256ビットメモリバス、16GBのGDDR6メモリを搭載すると噂されていた。
興味深いことに、このマニフェストには「R&D purpose(研究開発目的)」と明記されており、コンシューマー市場向けではなく、AIや専門的ワークロード向けのモデルとして開発されている可能性が高い。業界ではBMG-G31の開発が中止されたという噂が流れていたが、少なくとも何らかの形で開発は継続されていることが確認された。
謎の「C32」モデルの存在
さらに別の輸送マニフェストには、さらに謎めいた「BMG C32」というモデルの記載があった。これは「Battlemage」と「Celestial」のイニシャルが混在した紛らわしいネーミングスキームだ。
情報筋によれば、このモデルはBattlemageラインナップの一部であり、「BMG-G31」を再構築したバリアントであるという。つまり、Intelは複数のBattlemageモデルを開発中だが、これらがデスクトップ市場向けなのかは不明だ。
Intel GPUの今後の展望
Intelは昨年、Arc B580とB570という2つの新しいBattlemage GPUを発表し、当時はNVIDIAとAMDの次世代ソリューションがまだ市場に出ていなかったため、大きな注目を集めた。しかし、Q2もほぼ終わりに近づいている現在、デスクトップGPUセグメントに関する更新情報はなく、Intelの意欲に疑問が投げかけられていた。
現在Intelは次世代のXe3「Celestial」アーキテクチャ開発を進めており、これはPanther Lake SoCに採用される予定だ。新CEOの下でAIに優先順位がシフトしており、Intelは今後AIワークロード向けGPUのリリースに注力するだろう。
専門家の見解
著名なリーカーである@mikdtは、「C32」が「G31」の再構築バージョンである可能性を指摘している。また、Intelハードウェアに詳しいリーカー@OneRaichuは、依然としてArc B770の登場を期待すべきだとしている。
ただし現段階では確認する術はなく、IntelがBMG-G31 GPUの計画を実際に継続しているのか、あるいは単にキャンセルされたGPUの在庫を移動しているだけなのかは不明だ。プロトタイプはしばしばGPUテストや電力・熱評価など様々なタスクに使用される。
市場への影響
もしIntelがハイエンドBattlemage GPUの開発を継続しているとすれば、これはゲーマーにとって朗報となるだろう。特にIntelが手頃な価格帯に注力していることを考えると、NVIDIAやAMDのXX60シリーズと競争が激化する可能性がある。
現在のグラフィックスカード市場はNVIDIAとAMDの二強が支配しているが、Intelが本格的に参入すれば健全な三つ巴の競争が実現し、消費者にとってより良い選択肢と価格競争が期待できる。
筆者のコメント
Intelのグラフィックス部門はここ数ヶ月、妙に静かだった。Arc B580/B570の発売後、新製品の発表もなく、ロードマップの更新もない状態が続いていた。しかし、今回の輸送マニフェスト発見は、Intelがディスクリートグラフィックス市場から撤退する気がないことを示している。
特に注目したいのは、「R&D purpose」という記載だ。これは単なる消費者向け製品ではなく、AIや専門用途向けの製品を開発している可能性を示唆している。実際、現在のGPU業界では汎用ゲーミングGPUよりも、AIアクセラレーターの方が利益率が高い。
また、「C32」という謎のモデルは、BattlemageとCelestialの架け橋となる製品かもしれない。Intelは長期的な視点でGPU事業を展開しているようだ。
個人的には、Intelの参入がもたらす市場の健全化に期待している。価格競争が活発になれば、長らく高止まりしていたGPU価格も是正される可能性がある。B770が実際に登場するかどうかは不透明だが、少なくともIntelが将来的には競争力のあるハイエンドGPUの投入を諦めていないことは確かだろう。
※本記事は輸送マニフェスト情報、@mikdt氏、@OneRaichu氏のSNS投稿、および海外メディアの報道に基づいています。実際の製品スペックや発売計画はIntelの公式発表と異なる可能性があります。
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