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【最新情報】GPU-Z最新版が未発表GPU対応を追加 – RTX 5060 Ti 16GBとRadeon RX 9070 GREのサポートから見えるGPU市場の新展開【2025年4月最新情報】

PC診断ツールの定番GPU-Zがバージョン2.65.1へアップデートされ、まだ正式発表されていない複数のGPUに対応した。TechPowerUPが公開した最新版では、NVIDIA RTX 5060 Ti 16GBや、これまで噂されていなかったAMD Radeon RX 9070 GREなど、近日中に登場が予想される製品のサポートが追加されている。特に注目されるのは、以前から噂されていたRadeon RX 9060 XTではなく、RX 9070 GREが登場する可能性が高まった点だ。

TechPowerUP GPU-Z 2.65.1の新機能と対応製品

TechPowerUPは4月11日、人気グラフィックカード診断ユーティリティGPU-Zの最新版を公開した。公式リリースノートによれば、以下の製品に対する新規サポートが追加されている

NVIDIA製品

  • GeForce RTX 5060 Ti 16GB(デスクトップ向け)
  • RTX 5090/5080/5070 Ti(ノートPC向け)
  • RTX Pro 4000/3000 Blackwell(プロフェッショナル向け)
  • NVIDIA H200(データセンター向け)

AMD製品

  • Radeon RX 9070 GRE
  • AMD Ryzen AI IGPU(Krackan Point/Strix Halo)

その他の製品

  • Intel Arc A750E/A580E
  • Moore Threads S3000 MTvGPU-1108

リリースノートでは、非英語環境のWindowsでGPU Computeチェックボックスが表示されない問題も修正されている。

RTX 5060 Ti 16GBの優先と8GBモデルの展望

GPU-Zのサポートリストで「RTX 5060 Ti 16GB」と明記されている点は、製品戦略において重要な示唆を含んでいる。NVIDIAは過去のRTX 4060 Tiでは8GBモデルを先行発売し、16GBモデルを後から追加したが、今回は逆の戦略を取る可能性がある。

この背景には、ゲーム開発の大規模化に伴うVRAM要件の増大があると考えられる。2025年に発売された主要タイトルの多くが高解像度テクスチャを採用しており、8GBのVRAMでは制約が生じるケースも報告されている。

なお、ASUSが誤って8GBモデルの情報を公開したという最新情報もあり、8GBモデルも開発は進んでいると見られるが、市場投入の優先度では16GBモデルが先行する可能性が高い。

AMDの新戦略「RX 9070 GRE」とは

GPU-Zのサポートリスト中でもっとも意外だったのは「Radeon RX 9070 GRE」の存在だ。これまでRTX 5060 Tiに対抗するモデルとして「RX 9060 XT」が噂されていたが、このモデル名は今回のリストには含まれていない。

「GRE」は「Great Radeon Edition」または「Golden Rabbit Edition」の略称と考えられている。AMDはこれまでも「RX 7650 GRE」など中国市場特化モデルを展開しており、今回のRX 9070 GREも同様の位置づけとなる可能性が高い。

中国市場専用モデルが登場する背景には、地域ごとに異なる価格帯戦略や在庫状況への対応が考えられる。特に中国市場では独自の流通構造があり、これに適応するための製品展開と見ることができる。

GPU市場の多様化を象徴する新たな動き

今回のGPU-Zアップデートで興味深いのは、従来のNVIDIAとAMDに加え、IntelとMoore Threadsのサポートも同時に追加された点だ。特に注目されるのは中国・上海に拠点を置くMoore Threadsのサーバー向けGPU「S3000 MTvGPU-1108」だ。

TechPowerUPは「一つのアップデートで2社ではなく4社のGPUをサポートすることに慣れる必要がある」と述べており、GPU市場の多様化が進行していることを示唆している。この背景には、半導体産業におけるサプライチェーン再編や各国の技術自立化政策も関連していると考えられる。

実際のユーザーにとっての意味

今回のGPU-Zアップデートから読み取れる市場動向は、実際のPC自作ユーザーに以下のような影響をもたらす可能性がある

  1. 大容量VRAMの普及加速:NVIDIAが16GBモデルを優先する姿勢は、ゲーム開発の方向性と一致しており、今後高容量VRAMが標準となる流れを加速させるだろう。
  2. 地域特化モデルの増加:AMDのGREシリーズのように、特定市場に最適化された製品が増加する傾向が予想される。これはグローバルサプライチェーンの変化に対応する動きと言える。
  3. 新興メーカーの選択肢:Moore ThreadsやIntelなど、従来の二強に加えて新たな選択肢が増えることで、特定用途に最適化されたGPUの選択肢が広がる可能性がある。

筆者のコメント

GPU-Zの更新情報から見えてくるのは、単なる新製品の登場予告ではなく、GPU業界全体の戦略転換の兆しだ。特に興味深いのは、AMDが当初予想されていたRX 9060 XTではなく、RX 9070 GREを投入する可能性が高まった点だ。

これはミドルレンジGPU市場における戦略の見直しを示唆している。従来のような「ミドル」「ハイエンド」といった単純な区分ではなく、地域や用途に応じたより細分化された製品展開が進む可能性がある。

特に中国市場は世界最大のPC・ゲーミング市場の一つであり、ここでの成功はグローバル戦略においても重要だ。AMDがGREシリーズを通じて中国市場に特化したアプローチを取ることで、地域ごとに最適化された戦略を模索していると考えられる。

NVIDIAの16GBモデル優先戦略も、ゲーム開発の大規模化とAI機能の普及という現状に即した判断と言える。今後のミドルレンジGPU市場は、単純な性能競争だけでなく、VRAM容量や特定用途向け最適化など、より多角的な競争が展開されるだろう。

GPU-Zという診断ツールの更新情報からこれほど多くの市場動向が読み取れることは興味深い。次週のRTX 5060 Ti発売と、その後に予想されるAMD RX 9070 GREの登場に向けて、ミドルレンジGPU市場の動向から目が離せない。

※本記事はTechPowerUPの公式情報および複数の業界関係者の見解に基づいています。製品の正式な仕様や発売日については、各メーカーの公式発表をご確認ください。

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