NVIDIAの次世代ミドルレンジGPU「GeForce RTX 5060」シリーズに関する新たな情報が中国の小売店から流出した。従来8GB VRAMと噂されていたRTX 5060に12GBモデルが存在する可能性が浮上し、RTX 5060/5060 Tiの価格情報も判明。発売が迫る中、予想外の展開に市場の注目が集まっている。
目次
RTX 5060に「12GB VRAM」モデルの存在が判明
これまでの情報では、RTX 5060は8GB GDDR7メモリを搭載すると伝えられてきたが、中国の小売店が掲載したリストによると、「RTX 5060 12GB」というモデルの存在が明らかになった。これは初めて報告されるバリエーションであり、技術的には3GB GDDR7メモリモジュールを使用することで実現可能だと考えられる。
RTX 5060に12GBモデルが追加されるとすれば、以下のような製品展開になる見込みだ
- RTX 5060 Ti: 8GB版と16GB版の2モデル
- RTX 5060: 8GB版と12GB版の2モデル
この構成は、過去のRTX 3060が12GBモデルを主軸にしていたことと類似している。ただし、RTX 3060の場合は192bitメモリバスを採用していたのに対し、RTX 5060は128bitメモリバスを維持すると予想されている。
8GBという容量は現代のゲームでは制約となりつつあるため、300ドル前後と予想されるRTX 5060に12GBモデルが登場することは、多くのユーザーにとって朗報となる可能性がある。
価格情報も流出、ただし妥当性に疑問も
同じ中国小売店のリストには、RTX 5060シリーズの価格情報も含まれていた
- RTX 5060 Ti: 4,299人民元(約65,000円)
- RTX 5060 12GB: 3,799人民元(約57,000円)
- RTX 5070(参考): 4,599人民元(約69,000円)
これらの価格を単純にドル換算すると、RTX 5060 Tiが約650ドル、RTX 5060 12GBが約500ドルとなる。これはNVIDIAが設定すると予想されるMSRP(希望小売価格)を大幅に上回る価格帯であり、最終的な正式価格はこれよりも低くなると予想される。
しかし、近年のGPU市場ではMSRPでの入手が困難になっている現状を考えると、実際の店頭価格がこれに近い水準になる可能性も否定できない。特に初期出荷量が限られる場合、このような価格設定が現実となるケースもあり得る。
RTX 5060/5060 Tiの予想スペック
信頼性の高いリーク情報によれば、RTX 5060/5060 Tiのスペックは以下のようになると予想されている
RTX 5060
- CUDAコア数: 3,840基
- メモリ: 8GB/12GB GDDR7
- メモリバス幅: 128bit
- TDP: 150W
RTX 5060 Ti
- CUDAコア数: 4,608基
- メモリ: 8GB/16GB GDDR7
- メモリバス幅: 128bit
- TDP: 180W
どちらのモデルもBlackwellアーキテクチャを採用し、GDDR7メモリの高い帯域幅によって128bitという比較的狭いメモリバスの制約を緩和することが期待される。
発売時期は目前か
NVIDIAは、GDC 2025(Game Developers Conference)に合わせてRTX関連技術に関する新情報を公開する予定だが、RTX 5060シリーズについても同時期に情報解禁される可能性がある。
複数の情報筋によれば、AIBパートナー(グラフィックカードメーカー)は「RTX 5060シリーズに関するアップデート」を近日中に受け取る予定とされており、正式発表が迫っていることを示唆している。
一部の報道では、RTX 5060シリーズは「数日以内」に発表される可能性も指摘されており、3月中の発売が現実味を帯びている。
市場への影響と注目点
RTX 5060シリーズの登場は、ミドルレンジGPU市場に大きな影響を与える可能性がある。特に以下の点が注目される
1. 12GB VRAMの意義
8GBでは足りなくなりつつある現代のゲーム環境において、ミドルレンジ帯での12GB VRAMの提供は重要な差別化要因となる。特にテクスチャサイズが増大する傾向にあるAAA級ゲームでは、VRAM容量の多さが性能を左右する場面が増えている。
2. RTX 5060 Tiの位置づけ
RTX 5070(549ドル)とRTX 5060(推定300-350ドル)の間に位置するRTX 5060 Tiの価格設定は、ミドルレンジ市場全体の価格帯形成に大きな影響を与える。特に16GBモデルの存在は、上位モデルとの差別化を難しくする可能性もある。
3. AMDとの競争
AMDはRadeon RX 9060 XTで8GB/16GBモデルを用意しており、特に16GB版が128bitバスと20Gbpsの高速メモリを組み合わせることで対抗する見込みだ。NVIDIA側のGDDR7(28Gbps)との性能差がどの程度実際のゲームパフォーマンスに反映されるかが焦点となる。
4. 実際の入手可能性
RTX 50シリーズ上位モデルが発売後も深刻な供給不足と価格高騰に見舞われている現状を考えると、RTX 5060シリーズも同様の状況に陥る可能性がある。MSRP(希望小売価格)での入手が実際に可能かどうかは大きな関心事だ。
筆者のコメント
RTX 5060に12GBモデルが登場するという情報は、ミドルレンジGPUのVRAM不足問題に対するNVIDIAの対応として評価できる。8GBという容量は2025年の新作ゲームではすでに制約となるケースが増えており、特に「モンスターハンターワイルズ」のような大作では高解像度テクスチャ使用時に8GBでは厳しい状況が報告されている。
しかし、気になるのは128bitというメモリバス幅だ。従来のRTX 3060は192bitバスを採用していたが、RTX 4060/5060シリーズでは128bitに抑えられている。GDDR7の高速性によって帯域幅は向上するものの、メモリバス幅の制約は依然として潜在的なボトルネックとなる可能性がある。
価格面では、中国小売店のリスト価格があまりにも高額であることが懸念材料だ。もしこれに近い価格設定で実際に販売されるなら、ミドルレンジGPUとしての魅力は大きく損なわれるだろう。RTX 5060が本来のターゲット層であるミドルレンジユーザーに受け入れられるためには、300-350ドル程度のMSRPが望ましい。
現実的には、初期出荷分はMSRPを大きく上回る価格で販売される可能性が高いため、急いで購入する必要がなければ、市場が落ち着くまで様子見するのが賢明かもしれない。また、AMD RX 9060シリーズの発表も控えていることから、両社の競争によって価格が適正化されることに期待したい。
最後に、この12GB VRAMというオプションが、単なる「スペック上の数字」ではなく、実際のゲームプレイで意味のある差をもたらすことを願いたい。メモリバス幅やキャッシュ構成、実際のゲームでの最適化など、総合的な性能がどのようなバランスになるかは、正式発表後のベンチマークテストを待たなければならない。
※本記事はリーク情報に基づいています。正式な発表まで内容が変更される可能性があります。
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