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【レビュー解禁】AMD Radeon RX 9070 XT/RX 9070の実力が明らかに – モンハン最適解はRadeon?RTX 5070 Tiとの性能差も徹底比較【2025年3月最新情報】

AMDの新世代GPU「Radeon RX 9070 XT」と「Radeon RX 9070」がついに発売された。RDNA 4アーキテクチャを採用した最初のGPUとなる両モデルは、それぞれ599ドル(1ドル150円換算で約9万円)と549ドル(1ドル150円換算で約8.2万円)という価格設定で、ライバルであるNVIDIA GeForce RTX 5070 Ti/5070と直接競合する製品だ。長らく待たれていた新世代GPUは、レイトレーシングとAI性能において大幅な進化を遂げ、市場の勢力図を塗り替える可能性を秘めている。本稿では複数メディアのレビュー結果から、その実力を徹底検証する。

RDNA 4アーキテクチャの概要と主要スペック

RDNA 4アーキテクチャは、RDNA 3と比較して大きな変更が施されている。最も重要な変更点は、RDNA 3で採用されていたチップレット構造を取りやめ、モノリシック構造に回帰していることだ。これにより、Infinity Cacheのレイテンシが削減され、全体的な性能向上につながっている。

また、RDNA 4では第3世代となるRay Acceleratorと第2世代のAI Acceleratorが導入され、レイトレーシングとAI性能が大幅に強化された。特に第3世代Ray Acceleratorは「CU 1基あたりのスループットがRDNA 3アーキテクチャの2倍」とAMDは自信を見せている。

RX 9070 XTとRX 9070は、ともにTSMC N4Pプロセスで製造された「Navi 48」コアを採用。357mm²のダイサイズに約539億個のトランジスタを搭載している。主なスペックは以下の通り

スペックRX 9070 XTRX 9070RTX 5070 TiRTX 5070
アーキテクチャRDNA 4 (Navi 48)RDNA 4 (Navi 48)Blackwell (GB203)Blackwell (GB205)
製造プロセスTSMC N4PTSMC N4PTSMC 4NTSMC 4N
トランジスタ数539億539億456億310億
コンピュートユニット64基56基70 SM48 SM
ストリームプロセッサ4,096基3,584基8,960基6,144基
Ray Accelerator64基56基70基48基
AI Accelerator128基112基280基192基
ゲームクロック2,400MHz2,070MHz
ブーストクロック2,970MHz2,520MHz2,452MHz2,512MHz
メモリ容量16GB GDDR616GB GDDR616GB GDDR712GB GDDR7
メモリスピード20Gbps20Gbps28Gbps28Gbps
メモリバス幅256-bit256-bit256-bit192-bit
メモリ帯域幅640GB/s640GB/s896GB/s672GB/s
Infinity Cache64MB64MB48MB L248MB L2
TBP304W220W300W250W
MSRP599ドル549ドル749ドル549ドル

注目すべき点は、RX 9070 XTのブーストクロック2,970MHzという非常に高い動作周波数だ。3GHzに迫るこの数値は、AMDのGPUとしては過去最高レベルであり、クロック周波数の高さで既存製品に対する優位性を確保している。

また、メモリ構成はどちらも16GB GDDR6と大容量を確保している点も特徴的だ。これは同価格帯の競合製品RTX 5070(12GB)と比較して4GB多く、将来的なゲームにおいてメリットとなる可能性が高い。ただし、メモリバス幅は両モデルとも256-bitで、メモリクロックは20Gbpsと、RTX 5070 Tiの28Gbpsより低めとなっている。

テストに使用されたカード

今回のレビューでは、サードパーティ製のカスタムモデルを使用している。テストに使用した主なカードは以下の通り

  • ASRock Radeon RX 9070 XT Taichi OC:ブーストクロック3,100MHz(+130MHz)、TBP 340W
  • ASRock Radeon RX 9070 Steel Legend OC:ブーストクロック2,700MHz(+180MHz)、TBP 245W
  • Sapphire PURE Radeon RX 9070 XT:ブーストクロック3,010MHz(+40MHz)
  • Sapphire PURE Radeon RX 9070:ブーストクロック2,700MHz(+180MHz)

どのカードも白を基調としたデザインが特徴的で、特にASRockのTaichiモデルは8本のヒートパイプを備えた3スロット占有の巨大クーラーを搭載。Sapphireの「PURE」シリーズも、表面と裏面が真っ白なミニマルなデザインが目を引く。

カード長はSapphire PUREが約320mm、ASRock Taichiも同程度だが、基板自体は約195mmほどしかなく、GPUクーラーがカード後方に125mmもはみ出すデザインになっている。補助電源コネクタは、標準的な8ピン×2(ASRock Steel LegendとSapphire PUREの両モデル)か、16ピン(12V-2×6)×1(ASRock RX 9070 XT Taichi)となっている。

3DMark:合成ベンチマークでの性能

まずは3DMarkの各種ベンチマークテストで、RX 9070シリーズのポテンシャルを探っていこう。

レイトレーシングを使用しないテスト

Steel Nomad」(DirectX 12)でのスコアを見ると、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiを約7~12%上回る優秀な結果を示した。一方、RX 9070はRX 9070 XTの約80~87%の性能ながら、RTX 5070 Tiと比較しても遜色ない性能を発揮している。

Time Spy」(DirectX 12)でもRX 9070 XTがRTX 5070 Tiを約4~10%上回り、RX 9070もRTX 5070 Tiに迫る性能を示している。また「Fire Strike」(DirectX 11)シリーズでは、RX 9070 XTとRTX 5070 Tiは、フルHDではRTX 5070 Tiが優位だが、負荷が高くなるにつれて差は縮まり、4K解像度の「Fire Strike Ultra」ではほぼ互角となっている。

これらの結果から、レイトレーシングを使用しない従来型のレンダリングにおいて、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiを上回る実力を持っていることが確認できる。

レイトレーシングを使用するテスト

Port Royal」(DirectX Raytracing)では、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiとほぼ同等のスコアを記録。前世代のフラッグシップだったRX 7900 XTXと比較しても約25%向上しており、第3世代Ray Acceleratorの効果が明確に表れている。

Speed Way」(DirectX 12 Ultimate)では、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiに約22%差をつけられたものの、従来よりも大幅に差を縮めている。同じく「DirectX Raytracing feature test」では、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiから約30%遅れをとっている。

これらの結果から、レイトレーシング性能においては、第3世代Ray Acceleratorの搭載により前世代から大幅な進化を遂げたものの、NVIDIAのRTX 5070 Ti完全に追いつくまでには至っていないことがわかる。ただし、Port Royalのような現実的なレイトレーシング実装に近いテストでは互角に戦えるレベルに到達している。

リアルゲームでの性能

合成ベンチマークだけでなく、実際のゲームタイトルでの性能も確認しよう。

モンスターハンターワイルズ

現在最も人気の高いタイトルの一つである「モンスターハンターワイルズ」では、RX 9070シリーズが圧倒的な強さを見せている。公式ベンチマークを「ウルトラプリセット」かつレイトレーシング「高」設定で実行した結果、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiを最大38%、RX 9070でさえ最大27%上回るスコアを記録した。

特に4K解像度でのRX 9070 XTの平均フレームレートは70fpsを超え、RX 9070も60fps以上を記録。いずれもカプコンの評価基準で「最高」評価(スコア20,000以上)に到達しており、モンハンファンにとっては魅力的な選択肢となっている。

Call of Duty: Black Ops 6

FSR 4対応タイトルである「Call of Duty: Black Ops 6」では、FSR 4無効時でもRX 9070 XTがRTX 5070 Tiに対して19~36%もの差をつける圧倒的な性能を発揮した。さらにRX 9070でもRTX 5070 Tiを上回る結果となっている。

FSR 4を有効化すると、すべての解像度で平均フレームレートが大幅に改善。特に4K解像度におけるRX 9070 XTは約2.4倍、RX 9070も2倍に性能が向上した。ただし、FSR 4有効時はWQHDがフルHD以下のフレームレートに留まるなど、ドライバの完成度に由来すると思われる不安定さも見られた。

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」ベンチマークでは、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiに対して不利な結果となった。FHD解像度では約16%の差がついているが、WQHDや4Kではその差は縮まる傾向が見られた。これはGeForceシリーズへの最適化が進んでいるタイトルであることが影響していると考えられる。

それでも、ベンチマーク指標ではWQHDまで「非常に快適」、4Kでも「とても快適」の水準をクリアしており、プレイに支障はない。また、RX 9070もRX 9070 XTとのスコア差は6~7%程度と小さく、コストパフォーマンスの高さを示している。

Apex Legends

バトルロイヤル系の人気タイトル「Apex Legends」では、FHDとWQHDでフレームレート上限の300fpsに張り付く結果となった。4K解像度ではRX 9070 XTがRTX 5070 Tiの5%程度下回る結果となったが、いずれも200fpsを超える高いフレームレートを記録している。

その他のゲームタイトル

Starfield」では、RX 9070 XTがRTX 5070 Tiを4~11%上回り、4K解像度の1%低フレームレートで60fpsを超える唯一のカードとなった。「F1 24」でもRX 9070 XTは優位性を見せ、RTX 5070 Tiを上回るパフォーマンスを発揮している。

FSR 4の効果

AMDの最新超解像技術「FSR 4」は、RDNA 4アーキテクチャに搭載された第2世代AI Acceleratorを活用する新技術だ。「Call of Duty: Black Ops 6」での測定結果からは、FSR 4によって4K解像度で最大2.4倍のフレームレート向上が確認された。

ただし、ドライバやゲーム側の実装がまだ初期段階であり、一部不安定な面も見られる。例えば「モンスターハンターワイルズ」のテストでは、FSR 4利用時のスコアがFSR 3利用時と比較して1~4%ほど低下するケースも確認された。

FSR 4の本領を発揮するには、より多くのゲームが対応し、ドライバの最適化が進むことが必要だが、すでに大きなポテンシャルを秘めていることは間違いない。

AI性能

UL Procyon AI Image Generation Benchmark」の「Stable Diffusion XL (FP16)」テストでは、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiに約9%のスコア差をつけられた。しかし、RX 9070 XT OCモデルは従来のRX 7900 XTXと比較して最大89%もの性能向上を示している。

画像1枚あたりの出力時間を見ると、RX 9070シリーズはRX 7900 XTやRX 7900 GREより劇的に改善しているものの、RTX 5070やRTX 5070 Tiには及ばない結果となった。RX 9070 XTでようやくRTX 4070と同等の出力時間となっている。

冷却性能と消費電力

冷却性能

ASRockとSapphireの独自クーラーは優れた冷却性能を発揮している。「Steel Nomad Stress Test」によるフルロード時のGPU温度は、ASRock RX 9070 XT Taichiで50℃未満、RX 9070 Steel Legendでも最大63℃と非常に安定していた。Sapphireの両モデルも同様に、フルロード時でもGPU温度は50℃台と低温で安定していた。

ファン回転数も1,000~1,600rpm程度と抑えられており、騒音レベルも43dBA前後と低く抑えられている。3スロット占有の巨大クーラーが効果的に機能していると言える。

しかし、VRAM温度に関しては注意が必要だ。ASRock RX 9070 XT Taichiの場合、GPUコア温度が50℃代でも、VRAM温度は88~94℃に達するケースが報告されている。これはGDDR6メモリの許容温度内ではあるが、長期使用における信頼性や、夏場の高温環境での使用には注意が必要かもしれない。

消費電力

消費電力測定では、RX 9070 XTの実際のTBPは平均320W程度(ASRock OCモデル)、最大430W近くに達することもある。これはASRockの公称値317Wに近い数値だが、リファレンス仕様の304Wをやや上回っている。

一方、RX 9070は平均250W弱(ASRock OCモデル)と、TBP 220Wのリファレンス仕様よりもやや高いものの、RTX 5070やRTX 4070 Tiよりも低い消費電力を記録している。

システム全体の消費電力では、RX 9070 XTを搭載したシステムがRTX 5070 Ti搭載システムより30~66W程度高く、RX 9070搭載システムはRTX 4070 Ti搭載システムと同程度となっている。

総合評価:優れたコストパフォーマンスと新たなる選択肢

Radeon RX 9070 XTとRX 9070は、ミドルレンジGPU市場に新たな風を吹き込む製品と言える。特にRX 9070 XTは、レイトレーシングを使用しないゲームでRTX 5070 Tiを上回り、レイトレーシング環境でも互角の性能を発揮。さらに、599ドルという価格は749ドルのRTX 5070 Tiに対して150ドル安く、コストパフォーマンスの面で大きなアドバンテージを持っている。

RX 9070も同様に、549ドルという価格で同価格帯のRTX 5070を性能で上回り、さらに16GBの大容量VRAMを備えているため、長期的な観点からも魅力的な選択肢となっている。

RDNA 4アーキテクチャの真価は、特に「モンスターハンターワイルズ」や「Call of Duty: Black Ops 6」などの最新タイトルで発揮されており、これらのゲームをプレイするユーザーにとっては特に魅力的な選択肢となるだろう。

FSR 4の進化とドライバの最適化が進めば、レイトレーシング環境でのパフォーマンスがさらに向上する可能性も秘めている。また、16GBという大容量VRAMは、今後のゲームタイトルでも長く使い続けられる安心感をもたらす。

ただし、一部のゲームではGeForceシリーズの最適化が進んでいるタイトルもあり、どのゲームをメインにプレイするかによって選択は変わってくるかもしれない。また、AI処理性能ではまだNVIDIAに一歩及ばない面があり、AI関連の作業を多く行うユーザーにはGeForceシリーズの方が向いているかもしれない。

筆者のコメント

RX 9070シリーズは、長らく不振が続いていたAMDのミドルレンジGPU市場での巻き返しを期待させる製品だ。特にRX 9070 XTは、RTX 5070 Tiと同等以上の性能を約20%安い価格で提供するという、コストパフォーマンスに優れた選択肢となっている。

発熱面では、サードパーティ製のカスタムクーラーが効果的に機能しており、GPUコア温度は非常に低く抑えられている点は評価できる。ただし、VRAM温度の高さには注意が必要で、特に夏場の使用環境などでは課題となる可能性がある。

消費電力は、高クロック動作の代償としてやや高めではあるものの、許容範囲内と言える。特にRX 9070は、優れた電力効率を実現しており、性能と消費電力のバランスが取れた製品と言えるだろう。

最大の懸念材料は供給状況だ。RTX 50シリーズが発売後、すぐに品薄状態になったことを考えると、RX 9070シリーズも同様の状況になる可能性がある。AMDが十分な供給量を確保できるかどうかが、この製品の市場での成功を左右する大きな要因となるだろう。

結論として、RX 9070シリーズは、性能、価格、機能面のバランスが取れた魅力的な製品であり、ミドルレンジGPU市場の新たな主役となる可能性を秘めている。特にモンスターハンターワイルズなどの人気タイトルで優れた性能を発揮する点は、多くのゲーマーにとって大きな魅力となるだろう。

※本記事は複数メディアのレビュー情報に基づいています。実際の性能や価格は環境や地域によって異なる場合があります。

情報・参考

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