NVIDIA GeForce RTX 4090の96GBメモリ搭載モデルが実在し、まもなく量産段階に入る可能性があることが明らかになった。これまで噂に過ぎなかった「24GB以上のVRAM搭載RTX 4090」が、複数の情報筋によって事実であることが確認されつつある。
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96GBと48GBのRTX 4090が開発中
中国のSNSユーザー「@eisneim」がX(旧Twitter)に投稿した情報によると、同氏は96GB VRAM版GeForce RTX 4090の存在について確認を得たという。現時点ではまだ量産段階には入っていないものの、テストフェーズにあり、必要なテストをクリアすれば近い将来リリースされる見込みだ。
同氏は自身が所有していた24GB版RTX 4090(2023年末に約30万9000円で購入)を約37万5000円で売却し、48GB版を約46万円で新たに購入したとのこと。この取引自体が、大容量VRAM搭載モデルの市場価値を示している。
2種類の大容量モデル
リーク情報によると、NVIDIAおよび提携メーカーは2種類の大容量VRAMモデルを検討しているという
- RTX 4090 48GB版: すでに一部の工場で生産されており、比較的早期に市場投入される可能性が高い
- RTX 4090 96GB版: より高度な技術が必要で、安定性に課題があるとされる。量産開始まであと3〜4ヶ月かかる見通し
興味深いのは、96GB版の価格が48GB版の約2倍になる可能性があるという点だ。これは主に大容量VRAMのコスト増加によるものとされている。
技術的な課題と実現方法
RTX 4090は384ビットのメモリバスを採用しており、12チャネルを通じて96GBのVRAMを実装するには、少なくとも4GB GDDR6Xメモリモジュールが必要となる。しかし、現在市販されているGDDR6XおよびGDDR6メモリモジュールの容量は最大2GBに制限されている。
情報筋によると、96GB版を製造しているメーカーは4GBメモリチップを入手しているとのことだが、その調達先や技術的詳細は明らかにされていない。業界専門家の間では、複数の2GBチップを組み合わせる、あるいは未発表の新型メモリチップを使用している可能性が指摘されている。
用途はゲームよりもAIワークロード
このような大容量VRAMモデルは、ゲーミング用途よりもAIや大規模データ処理などの専門的なワークロードを念頭に置いて開発されていると見られる。特に中国などAIアクセラレータの入手が困難な地域では、消費者向けGPUのVRAM増量版が代替手段として機能する可能性がある。
96GBという巨大なVRAM容量は、大規模な機械学習モデルの推論や、メモリ要求の高い科学計算、そして8K以上の超高解像度動画編集などのプロフェッショナル用途で真価を発揮するだろう。
市場投入のタイミング
リーク情報によれば、48GB版はすでに限定的に流通しており、96GB版は今後3〜4ヶ月以内に登場する可能性がある。ただし、これらの高容量モデルは、一般消費者向けというよりは、AIリサーチャーやコンテンツクリエイター、そして企業向けの特殊モデルとして位置づけられる見込みだ。
公式のアナウンスはまだないため、製品名や正確な仕様、価格などについては不明な点が多い。GeForce製品ライン内でのリリースなのか、あるいはProfessionalラインのQuadroとして登場するのかも明らかになっていない。
過去の大容量VRAM製品との違い
NVIDIAの消費者向けGPUで最大のVRAM容量は、現在のところRTX 4090の24GBだ。一方、プロフェッショナル向けのRTX 6000 Adaなどは最大48GBのVRAMを搭載している。
今回のRTX 4090 96GB版が実現すれば、消費者向けGPUとしては前例のない大容量VRAMを持つモデルとなる。これは近年のAIブーム、特に生成AIモデルの需要急増を受けた戦略転換とも考えられる。
筆者のコメント
96GBという驚異的なVRAM容量を持つRTX 4090の登場は、コンシューマーGPUの境界を押し広げる画期的な出来事だ。しかし、その用途と価格帯を考えると、一般的なゲーマーが購入を検討するモデルではなく、むしろAI研究機関や大企業向けの特殊モデルと位置づけるべきだろう。
特に興味深いのは、こうした超大容量VRAMモデルが中国市場から情報漏洩している点だ。米中テクノロジー摩擦の中で、最新のAIアクセラレータ(H100やH200など)の輸出が制限されている状況下、中国市場ではコンシューマーGPUを転用したAI研究需要が高まっている。96GB版RTX 4090は、そうした需要に応える苦肉の策とも見られる。
価格についても、48GB版がすでに約46万円という高額である以上、96GB版は100万円を超える可能性が高い。そのような価格帯では、もはや個人ユーザーというよりも、機関や企業が導入するビジネス向け製品と見るべきだろう。
いずれにせよ、今回のリークで明らかになった超大容量VRAM版RTX 4090は、GPU市場の新たな可能性を示すものだ。ゲーミング以外の用途でGPUの需要が高まる中、今後もこうした特殊モデルが増えてくる可能性もある。今後数ヶ月以内に公式発表があるか、注目したい。
※本記事はSNS上の情報に基づいています。正式発表まで内容は変更される可能性があります。
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