Rockstar Gamesは3月4日、PC版「グランド・セフト・オート V」の大規模無料アップグレードを配信開始した。このアップグレードでは最新世代コンソール版で提供されてきた機能に加え、PC独自の機能拡張も実装。すでに同ゲームを所有しているプレイヤーは無料でアップグレードでき、ストーリーモードとオンラインの進行状況も移行可能だ。今回のアップデートにより、2013年にリリースされた同作は「GTA V Enhanced(エンハンスト版)」として大幅に進化することになる。
技術面の大幅強化
今回のアップグレードで最も注目すべき点は、技術面での大幅な強化だ。推奨スペックのPCでプレイする場合、以下の新機能が利用可能になる
レイトレーシング機能の大幅拡充
- アンビエントオクルージョンとグローバルイルミネーション(PC独自機能)
- 影と反射のレイトレーシング(PS5/Xbox Series X|S版と同様)

最新の超解像技術に対応
- NVIDIA DLSS 3(将来的にはフレーム生成も対応予定)
- AMD FSR 1および3(将来的にはフレーム生成も対応予定)
ロード時間短縮とパフォーマンス向上
- SSDとDirectStorageを活用した高速ロード
- 高解像度・高アスペクト比対応の拡充
- 高フレームレート対応の強化
オーディオ体験の向上
- Dolby Atmosサポート
- セリフの聞き取りやすさ改善
- シネマティックシーンや音楽のオーディオ拡張
コントローラーサポートの強化
- DualSenseコントローラーのアダプティブトリガー対応
- 方向性のあるダメージ、天候の影響、路面の状態などを触覚で体感可能に
これらの技術強化により、10年以上前のタイトルながら、現代のトップクラスのゲームに引けを取らないビジュアルと体験が実現されている。特にレイトレーシングによるグローバルイルミネーションと反射は、ゲームの見た目を「文字通り新しいレベルの忠実度」に引き上げたと評価されている。
「GTAオンライン」の新機能と更新
オンラインモードにも多くの新要素が追加された
ハオ・スペシャルワークスの新車両
- 「ペガッシ 戦闘用イグナス」(スーパーカー)
- 「コイル サイクロン 2」(スーパーカー)
- 「カリン S95」(スポーツカー)
- 「インポンテ アービターGT」(マッスルカー)
- 「フィスター アストロン・カスタム」(SUV)
- カメレオンペイントや高性能改造オプション

GTA+メンバーシップがPC版にも登場
- 5月28日までの特別キャンペーンで「プリンシペ デヴェステ・エイト」を無料提供
- PCプラットフォーム向けの特典を提供
野生動物のシステム充実
- チリアド山自然保護区での「野生動物の写真チャレンジ」
- より活気のある動物生態系

ユーザー体験の改善
- 更新された起動ページとUI
- 新規プレイヤー向け導入フローの改善
- キャリアビルダーによるGTAマネー400万ドルの初期ボーナス
- 「キャリア進行状況」機能でアップデート進捗を追跡
最新アップデート「オスカー・グズマン再び空へ」の同時配信
- マッケンジーフィールド格納庫を入手可能
- 武器密輸ビジネスの拡張
- 新ミッションと新航空機

システム要件とレガシー版との関係
エンハンスト版の最小・推奨システム要件は以下の通り
最小要件
- OS:Windows 10(最新のサービスパック)
- CPU:Intel Core i7-4770 または AMD FX-9590
- メモリ:8GB RAM
- グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX 1630(4GB VRAM)または AMD Radeon RX 6400(4GB VRAM)
- ストレージ:105GB、SSD必須
- サウンド:DirectX 10互換
推奨要件
- OS:Windows 11
- CPU:Intel Core i5-9600K または AMD Ryzen 5 3600
- メモリ:16GB RAM(デュアルチャネル)
- グラフィックス:NVIDIA GeForce RTX 3060(8GB VRAM)または AMD Radeon RX 6600 XT(8GB VRAM)
- ストレージ:105GB、DirectStorage対応SSD
- サウンド:Windows Spatial Sound対応オーディオシステム、Dolby Atmos体験にはDolby Atmosサポート必須

要件を満たさないPCユーザー向けに、従来版は「GTA V レガシー」として引き続き利用可能だ。ただし、重要な注意点として、レガシー版とエンハンスト版のプレイヤーが一緒にプレイすることはできない。フレンドと遊ぶ際には、どちらのバージョンを使うか事前に確認する必要がある。
また、セキュリティ強化のため、エンハンスト版にはカーネルベースのアンチチート保護システム(BattlEye)やボイスチャットの積極的モデレーションなどが導入されている。
移行について
すでにPC版を所有しているプレイヤーは、レガシー版からエンハンスト版へストーリーモードとオンラインの進行状況を一度だけ移行できる。ただし、一度移行した後はエンハンスト版からレガシー版への逆移行はできない点に注意が必要だ。
移行対象には、キャラクター、GTA マネー、進行状況、統計、車両、プロパティ、武器、衣類、プレイヤー作成のジョブなどが含まれる。
筆者のコメント
PC版「GTA V」の無料アップグレードは、約10年前のゲームを現代のトップタイトルに匹敵するレベルへと引き上げた素晴らしい取り組みだ。特にPC独自のレイトレーシング機能やDLSS/FSRサポートは、最新のハードウェアを持つユーザーにとって大きな恩恵となる。
一方で、いくつかの点でまだ改善の余地も見える。HDRディスプレイのサポートが含まれていないことや、Steam/Epic版であってもRockstar Games Launcherを経由する必要があることは、PC版特有の煩わしさとして残っている。特にLauncherがDLSSファイルの更新を妨げる問題は、PC版の柔軟性を制限するものだ。
しかし全体として、この無料アップグレードはプレイヤーに大きな価値を提供している。「GTA VI」の発売が2026年初頭とも噂される中、このアップデートはプレイヤーをロスサントスに呼び戻すだけでなく、PC版「GTA VI」もきちんとサポートされるという前向きな兆候とも捉えられる。
コンソール版から1年以上遅れての配信ではあったが、PC版特有の拡張機能を含む充実した内容であり、Rockstarのコミットメントを示すものとなった。レイトレーシングやDLSS/FSR対応といった最新技術をサポートしたことで、「GTA V」は2025年においても十分に現役のゲームとして楽しめるだろう。
※本記事はRockstar Games公式発表およびWccftech、4Gamerの記事を参考に作成しています。
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