NVIDIA「GeForce RTX 5070」の発売が間近に迫る中、米国大手家電量販店B&H Photo Videoにて複数のカスタムモデルが定価の549ドルで出品されていることが明らかになった。注目すべきは、通常はプレミアム価格が付くOCモデル(オーバークロック版)までもが定価で出品されている点だ。RTX 50シリーズとしては初めての「定価販売」となる可能性が高く、市場動向に変化の兆しが見える。
定価での出品が確認されたモデル
B&H Photo Videoでは現在、10モデルのRTX 5070が掲載されており、そのうち4モデルに価格が表示されている
- ASUS Prime GeForce RTX 5070:549ドル
- Gigabyte GeForce RTX 5070 WindForce OC SFF:549ドル
- PNY GeForce RTX 5070 OC Triple Fan:549ドル
- Gigabyte GeForce RTX 5070 WindForce SFF:549ドル
注目すべきは、このうち2つが「OC」(オーバークロック)モデルであるにもかかわらず、定価で販売される見込みであることだ。通常、ファクトリーオーバークロック版は標準モデルより高価格で販売されることが一般的だが、今回は同じ価格設定となっている。
RTX 50シリーズ初の定価販売?
これまでのRTX 50シリーズ(RTX 5090、5080、5070 Ti)では、発売直後から深刻な供給不足と価格高騰が続き、MSRPでの購入が極めて困難な状況が続いていた。特にRTX 5070 Tiは、定価749ドルに対して実売価格が1,000ドルを超えるケースも珍しくなかった。
こうした状況の中、RTX 5070が定価で販売されるという情報は、市場に一筋の光明をもたらす可能性がある。先日、Best BuyでもASUS Prime RTX 5070が549ドルで掲載されていたが、今回はさらに複数のモデルで同様の価格設定が確認された。
価格競争の兆し?
この背景には、MSIが最近RTX 5070 Tiの価格を公式に引き上げた(最低価格が819ドルに)ことや、3月発売予定のAMD RX 9070シリーズとの競争激化が影響していると見られる。
AMDのRX 9070シリーズは同価格帯でRTX 5070より優れた性能を発揮すると予想されており、NVIDIAとしては価格競争力を維持するために供給量と価格設定に配慮せざるを得ない状況にあるようだ。
供給不足の懸念は継続
一方で、複数の情報筋によれば、RTX 5070も他のRTX 50シリーズ同様に供給不足に陥る可能性が高いとされている。もしそうなれば、定価での購入は一部の幸運なユーザーに限られ、多くの小売店では再び価格高騰が発生する恐れがある。
RTX 5070の主要スペック
GeForce RTX 5070は、RTX 4070の後継モデルとして以下のスペックを持つ
- CUDAコア:6,144基
- VRAM:12GB GDDR7
- GPUダイ:GB205
- TDP:250W(RTX 4070の200Wから増加)
消費電力はRTX 4070と比較して25%増加しているが、これに見合った性能向上が期待される。ただし、競合となるAMD RX 9070はVRAMが16GBとより余裕のある設計となる見込みだ。
筆者のコメント
RTX 5070が定価で販売されるという情報は、これまでの「品薄高騰」が続いたRTX 50シリーズの中で異色の展開だ。一部のOCモデルまで定価据え置きという状況は、市場競争の兆しとも取れる。
ただし、楽観視はできない。RTX 5090/5080/5070 Tiの例を見ても分かるように、発売直後の「定価表示」と実際の「購入可能性」は別問題だ。MSIのように後から価格を引き上げるケースもあり、本当に定価で手に入るかは発売日を待たねばならない。
さらに、AMDのRX 9070シリーズが「同価格で上回る性能」と「十分な供給量」を両立できれば、NVIDIAの市場シェアに大きな影響を与える可能性がある。特にRX 9070 は16GB VRAMを搭載し、RTX 5070の12GB VRAMに対して将来性で優位に立つ可能性が高い。
結局のところ、最終的な判断は3月5日の発売後、実際の店頭価格と在庫状況、そして第三者によるベンチマークを確認してからにするのが賢明だろう。ただ、「定価販売の可能性」という小さな兆しは、高騰が続くGPU市場にとって久々の朗報かもしれない。
※本記事はWccftechの報道に基づいています。実際の価格や在庫状況は地域や店舗によって異なる場合があります。
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