3月5日に発売予定のNVIDIA「GeForce RTX 5070」のパフォーマンスデータがGeekbenchデータベースにリーク。喧伝されていた「革新的進化」の実態は、前世代比わずか20%の性能向上であることが判明した。一方、3月発売予定のAMD RX 9070シリーズは16GB VRAMを標準搭載する見通しで、将来性に大きな差が生まれる可能性が高まっている。
期待外れのベンチマーク結果
Geekbenchに投稿されたベンチマーク結果は、NVIDIAの大々的なマーケティングに水を差す内容となった
Geekbench 6.2.2のスコア
- OpenCL:187,414ポイント
- Vulkan:188,712ポイント
これを前世代と比較すると
- RTX 4070(OpenCL:167,924 / Vulkan:156,601)比:わずか**11.6〜20.5%**向上
- RTX 4070 Ti(OpenCL:205,131 / Vulkan:188,712)比:OpenCLでは明確に劣り、Vulkanでようやく同等レベル
- RTX 4070 Ti SUPER(OpenCL:222,850 / Vulkan:204,212)比:全体的に15〜20%性能が下回る
つまり、549ドル(日本価格108,800円)という価格帯で投入されるRTX 5070は、2年前の製品とほぼ同等の性能しか提供できていないことになる。「Blackwellアーキテクチャ」という新世代の名を冠しながら、実質的には「価格と消費電力が上がっただけのRTX 4070 SUPER」という評価も的外れではないだろう。
深刻なVRAM制限が将来性を左右
最も懸念されるのは、12GB GDDR7というVRAM構成だ。市場環境を見れば、この制約は明らかに時代遅れと言わざるを得ない
- AMD RX 9070(無印):16GB GDDR6 256bitを採用予定(複数メディアが確認)
- 前世代のRTX 4070 Ti SUPER:16GB GDDR6X 256bitを搭載
- 前世代のRX 7900 GRE:16GB GDDR6 256bitを搭載
近年のゲーム開発トレンドでは、VRAM消費量は着実に増加している。最新の高品質ゲームでは高解像度テクスチャとレイトレーシングを有効にした場合、10GB以上のVRAM使用が一般的となり、一部のタイトルではすでに12GBの限界に近づいている。特に4K解像度では、この制約がすぐに壁となる可能性が高い。
NVIDIAは高速なGDDR7採用をアピールするが、容量不足は速度では補えない現実がある。2年以上の使用を前提とするグラフィックスカード購入において、この制約は重大な欠点となり得る。
GB205チップの素性を解剖する
RTX 5070が使用するGB205チップには、以下の懸念点が存在する
- 実質的な「廉価版」GB203
- 48コンピュートユニット(RTX 5080の84ユニット、RTX 5070 Tiの70ユニットと比較して大幅削減)
- ダイサイズ263mm²(RTX 5080/5070 Tiの378mm²に対して約30%縮小)
- トランジスタ数31.1億(RTX 5080/5070 Tiの45.6億に対して約32%減少)
- ROP問題の拡大可能性
- RTX 5090/5080/5070 Tiですでに発覚しているROP欠損問題
- 同じTSMC 4Nプロセスを使用するGB205にも同様の製造上の問題が発生する可能性
- 電力効率の伸び悩み
- 予想されるTGP 250W(RTX 4070の200Wから25%増加)
- 性能向上幅は高々20%に対し、消費電力は25%増
- 「電力効率の革新」を謳うBlackwellの看板に偽りあり
DLSS 4の誇大広告問題
NVIDIAの宣伝文句「RTX 4090クラスの性能」は、完全なマーケティング誇張と言わざるを得ない
- DLSS 4のMulti Frame Generation機能を使用した場合の理論値で、実際のゲーム体験とは乖離がある
- 表示上は高フレームレートでも、実際の入力反応速度は大幅に低下
- 入力遅延が増加するため、特に競技性の高いゲームでは致命的な欠点になりうる
実際のゲーム体験としては、RTX 5070でDLSS 4を使用しても、RTX 4090のネイティブ性能には遠く及ばないことは明白だ。特に競技性の高いゲームでは、入力遅延の増加は致命的な欠点となり得る。
AMD RX 9070シリーズとの対決
3月に発売予定のAMD RX 9070シリーズは、以下の点でRTX 5070に対する優位性を持つ可能性が高い
- メモリ構成
- RX 9070(無印)でも16GB GDDR6 256bitを採用
- 将来的なVRAM要件増加に対する余裕
- レイトレーシング性能
- RDNA 4アーキテクチャによるRT性能の大幅向上(AMDの主張で前世代比最大168%)
- RTX 4070 Tiクラスに迫る可能性
- 価格競争力
- 価格未定だが、NVIDIA対抗のための戦略的価格設定の可能性
- 16GBという付加価値による差別化
筆者のコメント
RTX 5070のベンチマーク結果を詳細に分析すると、NVIDIAが「革新」と呼ぶには程遠い内容であることが明らかだ。実質的には「RTX 4070 SUPERにDLSS4機能を追加した程度」といっても過言ではない。特に12GBというVRAM容量は、2025年の時点で明らかに不十分で、将来性に疑問符が付く。
現在のゲーム開発トレンドを考慮すると、VRAM要求は年々増加している。RTX 5070のような高価格帯GPUを購入するユーザーは、少なくとも2〜3年の使用を想定するだろうが、すでに一部のゲームで容量の限界に達しつつある12GBでは、その期間を全うできない可能性すらある。
結局のところ、RTX 5070は「価格と消費電力が上がっただけのRTX 4070 SUPER」の域を出ず、Blackwellの名を冠するには値しない製品と言わざるを得ない。3月のAMD RX 9070シリーズ発売を待って比較検討するか、すでに市場にある16GB以上の VRAMを搭載した製品(RX 7900 XTX、RX 7900 XT、RX 7800 XTなど)を入手する方が、賢明な選択といえるだろう。
※本記事はGeekbenchデータベースのリーク情報に基づいています。製品の最終仕様や実際のゲーム性能は、発売後の公式レビューをお待ちください。
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