AMDの中国市場向け新型GPU「Radeon RX 7650 GRE」の性能が、Expreviewのレビューで明らかになった。RTX 4060と比較して平均7%高速であることが判明したが、レイトレーシング性能では大きな差が付く結果となっている。
RX 7650 GREの詳細スペック
RX 7600シリーズの第3のモデルとして登場した本製品の仕様
- コンピュートユニット:32基
- コア数:2,048基
- メモリ:8GB(128-bit)
- ブーストクロック:2,695MHz
- TDP:170W(シリーズ最小)
今回テストされたのは、Sapphireの「Black Diamond Edition」で、工場出荷時オーバークロック(2,810MHz)が施された製品。デュアル8ピン電源コネクタとトリプルファン冷却システムを採用している。
ゲーミング性能の詳細分析
1080p解像度でのベンチマーク結果
RTX 4060を大きく上回るタイトル
- Eternal Damnation:42%高速(119 FPS vs 84 FPS)
- Borderlands 3:26%高速(115.17 FPS vs 91.47 FPS)
- Call of Duty: MW3:20%高速(123 FPS vs 102 FPS)
僅差で上回るタイトル
- Red Dead Redemption 2:8%高速(84.09 FPS vs 77.78 FPS)
- Far Cry 6(RT off):4%高速(118 FPS vs 114 FPS)
- Cyberpunk 2077(RT off):4%高速(80.96 FPS vs 78.14 FPS)
RTX 4060が優位なタイトル
- Rainbow Six Siege:9%遅い(306 FPS vs 334 FPS)
- Shadow of the Tomb Raider:6%遅い(139 FPS vs 147 FPS)
レイトレーシング性能での課題
レイトレーシング有効時の性能差は顕著
- Cyberpunk 2077(RT Medium):44%遅い(30.05 FPS vs 43.24 FPS)
- Far Cry 6(RT on):12%遅い(84 FPS vs 94 FPS)
これはNVIDIAのレイトレーシングに特化したアーキテクチャの優位性を示す結果となった。
通常の7600との比較
興味深いことに、RX 7650 GREは通常のRX 7600とほぼ同等の性能を示している。つまり、中国市場向けの差別化モデルとしては、性能面での大きな特徴は見られない結果となった。
まとめ
RX 7650 GREは従来のRTX 4060に対して、従来のラスタライズ処理では優位性を示したものの、最新のレイトレーシング技術では大きく引き離される結果となった。
筆者のコメント
中国市場向けとして投入されたRX 7650 GREだが、実質的にはRX 7600のリブランド品と見なせる性能であることが明らかになった。
特筆すべきは、レイトレーシングを使用しない従来型のゲームでは、より高価なRTX 4060を上回る性能を示した点だ。特にEternal DamnationやBorderlands 3での大幅な性能差は印象的だ。
ただし、レイトレーシング性能では依然としてNVIDIAの優位性が際立つ。特にCyberpunk 2077での44%という性能差は、AMDのレイトレーシング技術がまだ発展途上であることを示している。なお、3月に発売予定のRX 9070シリーズでは、RDNA 4アーキテクチャの採用により、レイトレーシング性能が大幅に向上するとされており、この差を縮めることが期待される。
※本記事はExpreviewのベンチマーク結果に基づいています。実際の性能は使用環境により異なる可能性があります。テスト結果は工場出荷時オーバークロック品のものであり、標準クロック品では若干低い性能となる可能性があります。
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