AMD最新のハイエンドCPU「Ryzen 7 9800X3D」で、新たな焼損事例が報告された。これは同製品で3件目となる焼損事例で、CPUとマザーボードのソケットが損傷する深刻な被害となっている。
事故の詳細
Redditユーザーの報告によると
- 使用開始から約3週間で突然の電源断
- TV視聴中に突然システムがシャットダウン
- ASRock X870E Nova WiFiマザーボードを使用(ハイエンドモデル)
- オーバークロックは未実施
- BIOS Version 3.16を使用 ※正式版の最新BIOS
- メモリはEXPOプロファイルを有効化
- それまでは高温など異常な挙動は報告されていない
損傷の状況とVDDCRの重要性
今回の損傷は、CPU内部の電圧を制御する重要な回路であるVDDCRエリアで発生したとみられる。
VDDCRとはCPU内部の電圧を制御するための重要な回路で、Ryzenプロセッサでは、以下の主要なVDDCRが存在する
- VDDCR_CPU: CPUコア全体の電圧を制御
- VDDCR_SOC: SOC部分の電圧を制御(メモリコントローラ、Infinity Fabric、PCIeコントローラなど)
損傷の具体的な状況
- CPUのピン接触部に焼損(VDDCRエリアSOC部分?)
- マザーボードソケットも同箇所が損傷
- 異物混入の痕跡も確認
過去の事例との違い
これまでの2件はMSI X870マザーボードで発生しており、今回は異なるメーカーでの発生となる。また、過去の事例ではCPUの装着不良が原因とされていたが、今回はVDDCRエリアでの短絡という新たなパターンの故障が確認されている。特に3週間の正常動作後に突然発生した点は、過去の事例とは大きく異なる特徴だ。
考えられる原因
専門家からは以下の可能性が指摘されている
- ソケット内への異物混入による短絡
- ピンの曲がりによる不適切な接触
- EXPOプロファイルによるVDDCR SOCへの負荷
- 過去のRyzen 7000シリーズでは同様の問題が報告されていたが、すでに解決済みとされていた
- 製造工程での潜在的な品質問題
まとめ
3週間の正常動作後に突然発生した今回の事故は、単純な組み立て不良では説明が難しい。
現在、修理店でRMA(保証交換)の可否を調査中だが、調査結果が市場に与える影響は小さくないだろう。
筆者のコメント
ハイエンドCPUでの焼損事例は、市場の信頼性に大きな影響を与える。特にRyzen 7 9800X3Dは、ゲーミング性能で高い評価を得ている人気製品だけに、早急な原因究明と対策が求められる。
購入を検討しているユーザーは、現時点では様子見の姿勢が賢明かもしれない。特にEXPOプロファイルの使用には慎重な判断が必要だろう。
※本記事はRedditでの報告およびTom’s Hardwareの記事に基づいています。
※Gamers Nexusが調査のため部品の購入を申し出ており、詳細な原因究明が期待されます。
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