AMD AM5プラットフォーム向けの新チップセット「B850/B840」搭載マザーボードが登場する。しかし、価格と機能を詳しく分析すると、現行のB650製品の方が賢明な選択となる可能性が高い。
チップセット性能の真実
B850の立ち位置
B850は、CPU直結のPCIeレーンでGen5に対応するものの、PCIe GPPレーン(汎用レーン)を持たない制限付きの設計となっている。このGPPレーンの欠如は、特にUSB4.0などの拡張機能実装において大きな制限となる。
B650Eの実力
B650Eは、B850と同様のPCIe Gen5対応に加え、PCIe GPPレーンも搭載。この余裕ある設計により、一部モデルでUSB4.0が搭載されているほか、より豊富な接続オプションを提供できる。実はB850よりも上位の仕様を持っているのだ。
B650の現実解
B650は機能面ではB850に劣るものの、価格差を考慮すると圧倒的なコストパフォーマンスを誇る。
現行のPCパーツで求められる性能は十分にカバーできる仕様だ。
CPU直結のPCIeレーンのGen5対応はオプションだが、M.2スロットはGen5対応している製品が多い。
B840の立ち位置
B840はA620の上位モデルとして位置づけられているが、その差別化は十分とは言えない。
CPU直結のPCIeレーンはGen4まで、チップセット側はGen3までという制限は、A620と同様だ。優位性としては、USB・SATAなどの接続ポート数が多く、より充実した電源回路設計を採用している程度である。
メモリオーバークロック(EXPO)には対応するものの、CPUオーバークロックには非対応。この点もA620と変わらない。さらに、価格は34,980-39,980円と、A620(2万円前後)の約2倍という設定だ。この価格差を正当化できるだけの性能差は見られない。
価格から見える選択の妥当性
新製品の価格帯
- ROG STRIX B850-F:55,980円
- TUF GAMING B850:45,980円
- PRIME B840:39,980円
対して現行のB650製品は、発売から時間が経過し、値下がりが進んでいる。同等の機能を持つモデルでも、2-3万円程度安価に購入できる場合が多い。
実用性の観点からの評価
現行環境での必要性
- 最新のGPUでもPCIe Gen4の帯域で十分
- Gen5 SSDは高価で実用性が限定的
- USB4.0は一般用途ではほぼ不要
ほとんどの人はB650で十分だ。
プラットフォームの将来性
AM5ソケットは2027年までサポートが継続される。
そのため
- 実績ある製品の選択が賢明
- 安定したドライバとBIOSの重要性
- コスト効率の良い投資が望ましい
驚きの事実:X870との比較
実は、上位チップセットであるX870と比較しても、B650E製品の方がコストパフォーマンスで優位に立つ場合が多い。しかし、一般ユーザーであればさらに安価なB650で必要十分な性能が得られる。
まとめ:B650(E)を選ぶべき3つの理由
- 圧倒的な価格優位性
新製品の価格上乗せに見合う性能差がない - 実績ある安定性
すでに市場で実証された信頼性を持つ - 実用的な性能
現行の用途に必要十分な性能を確保
AMDのマザーボードは長期運用を前提とした選択が重要だ。B850/B840は魅力的な新製品に見えるが、価格と機能を考慮すると、現時点では実績のあるB650(E)製品を選択することを強くお勧めする。
※価格は2025年1月時点のものです。
※仕様は正式発表により変更される可能性があります。
コメント