これまでの2回の記事で、M6 iPad Proに噂されるベイパーチャンバー冷却と、Huawei MatePad Edgeの攻めた冷却設計について解説してきた。
最終回となる今回は、これらの情報を踏まえて、今iPad Proを買うべきか、それともM6を待つべきかという現実的な判断基準を提示する。
目次
冷却強化の恩恵を受けられるのは誰か
まず重要なのは、全てのユーザーがM6チップの冷却強化の恩恵を受けられるわけではないという事実である。
一般ユーザーの場合
Web閲覧、動画視聴、SNS、ノートや手書きメモ、軽い写真編集、簡単な表計算や文書作成。このレベルの使い方であれば、現行のM4やM5 iPad Proでさえ明らかにオーバースペックだ。
こうした用途では、M6チップの冷却強化が体感に効く場面は正直多くない。
現行モデルでも熱による性能低下を感じることはほとんどないだろう。
ゲームをガッツリ遊ぶユーザーの場合
DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUTやResident Evil Villageなどの本格的なタイトルがiPad向けに提供され始めている。
高解像度、高グラフィック設定、長時間プレイ。高性能なチップが必須であることは間違いない。
しかしながら外付けコントローラーをつけて、ほぼモバイルゲーム機として使うといった使い方では、現世代でも十分に動くというのは事実だ。
ただし、将来さらに重いタイトルが増えるほど、冷却ヘッドルームが効いてくる。
今すぐ必要というわけではないが、長期的な視点で見れば、M6の冷却強化は意味を持つ(かもねw)。
プロクリエイターや技術系ユーザーの場合
長尺の4K動画編集や書き出し、3Dモデリングやレンダリング、機械学習の軽い推論やモデルテストのようなワークロードでは、ピーク性能よりも、その性能を何分、何十分維持できるかが重要になる。
M5 iPad Proはかなり強力だが、同一チップを載せたMacBook Pro版の方が、ファンと大きい冷却系のおかげで、マルチコア性能をより長時間、高いレベルで維持できることは確かだろう。
ここに、M6とベイパーチャンバーの意義がある。もしiPad Pro側の冷却ヘッドルームが拡大すれば、タブレットでどこまでMacBook Proに近づけるかという勝負が一段上のフェーズに入る。
今すぐiPad Proが必要な場合
購入タイミングの問題は、実は冷却よりも重要かもしれない。
ライトからミドルな用途が中心なら
一般ユーザーやビジネス用途が中心なら、M5 iPad Proを買って問題ない。
現行モデルでも、冷却面で致命的な弱点は報告されていない。M4世代でパッシブ冷却が20%強化されており、安定性も高くなっている。
ある程度重い編集やゲームもこなしたいが、ノートPCほどのMAXパワーは要らない。これもM5 iPad Proで十分カバーできるゾーンである。
持続的なフルパワーが死活問題な場合
4K動画を毎日のように書き出す、iPadをメインのゲームマシンにして数時間ぶっ続けで遊ぶ、MクラスのSoCに限界まで仕事をさせたい。こうした層は、次のような現実解を考える価値がある。
まずは冷却ファンを内蔵したMacBook ProやAirを選ぶことだ。同じM5でも、冷却余裕があるMacの方がマルチコア性能が高く安定しやすい。
また、iPad Proと外付けクーラー、つまり冷却ファンやペルチェ式クーラーなどを組み合わせてチューニングする方法である。必須ではないが、ピーク性能をさらに長時間維持したい人向けの手段として有効だ。
その3は、Huawei MatePad Edgeのような、アクティブファンと液冷、28W級TDPという攻めた2-in-1をタブレット寄りPCとして使う選択肢である。
M6まで待つ価値があるのはどんな人か
M6 iPad Proは、2027年春頃の登場が有力視されている。つまり、今から約1年半先だ。
待つべき人
iPad Proをメインマシンに近い位置づけで使いたい人。M5でも十分速いのは分かっているが、どうせなら2nmとベイパーチャンバー冷却強化の世代を待ちたい人。薄型ファンレスのまま、どこまでMacBookに迫れるかを見てから決めたい人。
こういったユーザーにとって、M6 iPad Proはかなり魅力的な候補になりそうだ。特に、持続的な高負荷作業を想定している場合、冷却強化の恩恵は大きいだろう。
今買うべき人
一方、今すぐタブレットが必要な人、1年半も待てない人、現行モデルでも自分の用途には十分すぎる人は、迷わず現行モデルを選ぶべきである。
テクノロジーは常に進化する。完璧なタイミングなど存在しない。必要な時に買うのが、結局は最良の選択だ。
冷却設計から見えるタブレットの未来
現時点で見えている構図をまとめると、次のようになる。
Huawei MatePad Edgeの示す道
ファン、マイクロポンプ液冷、28W級TDP。タブレットの形をした薄型ノートPCに近い路線だ。
性能を最優先し、そのためには騒音や複雑性を受け入れる戦略である。
現行iPad Proが示す道
徹底したファンレス設計とパッシブ冷却強化。一般的な使い方ではほぼ不満なく、AAAゲームも十分こなす。
ただし、MacBook版M5ほどのマルチコア持久力は持たない。
M6 iPad Proが目指す道
2nm世代のM6とベイパーチャンバー導入が有力視されている。Apple自身がタブレットの冷却強化をロードマップに上げていることは、Bloomberg等の信頼性あるリークで裏付けられている。
M6世代で、Appleがどこまで冷却に踏み込むか。ベイパーチャンバーと現行のパッシブ設計で無音のまま冷却を底上げするのか。あるいは、MatePad Edgeのように薄型にファンを仕込む方向に一歩踏み出すのか。
この選択次第で、iPad Proがタブレット寄りのスーパーガジェットに留まるのか、それとも本格的なポータブルワークステーションになるのかが決まってくる。
結論:冷却は次世代iPad Proを語る上での主役になる
いま言えるのはただひとつ。
「冷却性能」は、次世代iPad Proを語るうえで脇役ではなく、主役のひとつになるということだ。
あなたがどの用途でiPad Proを使うか、どこまでの性能持続性を求めるか。それによって、今買うべきか、M6を待つべきかの答えは変わってくる。
ただし、どちらの選択をしても、iPad Proは素晴らしいデバイスであることに変わりはない。
重要なのは、自分の使い方と予算、そしてタイミングに合った選択をすることだ。
注意
このシリーズ記事は、Bloomberg Mark Gurman氏のレポート、MacRumors、Tom’s Guide、kobonemi.com、Huawei Central、Notebookcheckなどの信頼できる情報源に基づいて作成されている。M6 iPad Proに関する情報は公式発表ではなく、リーク情報に基づく予測であることに注意されたい。




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