メモリの信頼性 – 選び方のコツとTier別おすすめメーカー

ゲーミングPC

PCショップ店員の立場から、メモリの信頼性について詳しく解説していく。
メモリはパソコンの性能に直結する重要なパーツである。そのため、信頼性の高いものを選ぶことが非常に重要だ。

まずは、メモリメーカーをTier別に分類し、それぞれの特徴を見ていこう。

【S Tier】

1. Micron(Crucial)

Micronは、実際にDRAMチップを製造している大手メーカーである。
その子会社であるCrucialブランドのメモリも、当然ながら高い信頼性を誇り、特にDDR4メモリは安心して使用できる。
ただし、DDR5のOCメモリに関しては、まだ技術が成熟していない感があり微妙かもしれない。
DDR5 6000MHzまでのメモリはコスパに優れるのでおすすめだ。

DDR4-3200 16GB X 2
DDR5-5600 16GB X 2 / 32GB X 2
DDR5-6000 16GB X 2 (White) / (Black) 【低CLモデル】※おすすめ
DDR5-6000 16GB X 2【CLは高いがヒートシンクが大きめ】

2. SK Hynix(ESSENCORE)

SK HynixもMicronと同様、チップ製造メーカーである。
DDR4もDDR5、どちらも信頼性が高くおすすめ。
特にDDR5のOCメモリの信頼性が高く、DDR5で高クロックを目指すならこのメーカーのチップ1択。
【Aダイ】搭載メモリはOC耐性が高いので遊びたい人におすすめだ。
詳しく知りたい人はググってみよう。

編集部イチオシのメモリメーカーだ。

DDR4-3200 16GB X 2 【ネイティブ3200MHz】ヒートシンクなし
DDR4-3200 8GB X 2 【2666MHz OCメモリ】ヒートシンク有り
DDR5-6000MHz 16GB X 2 CL32 A-DIE
DDR5-7200MHz 16GB X 2 CL36 A-DIE
DDR5-8000MHz 15GB X 2 CL38 A-DIE

3. G.Skill

G.Skillは自社でチップを製造しているわけではないが、チップの選別が非常に厳しいことで有名である。そのため、信頼性が高い。
ただし、注意が必要なのがヒートシンクの形状だ。差し込む際に指が痛くなるような形状のものが多い。
見た目は格好いいが、取り扱いには注意が必要である。
また、OCメモリの種類が非常に多く、OCメモリが欲しい場合は一番の選択肢になるだろう。

おすすめのメーカーではあるが、購入時は以下のポイントに注意してほしい。
・一般的なメモリメーカーではIntel XMP、AMD EXPOプロファイルの両方に対応していることが多い。しかし、G.skillの場合は Intel用とAMD用で製品が分かれていることがある。
※Intel用製品はXMPプロファイルのみ搭載、AMD用製品はEXPOプロファイルのみ搭載している場合がある。

これらの特徴により、G.Skillのメモリを選択する際は、使用するCPUとマザーボードとの互換性を特に慎重に確認する必要がある。適切な製品を選べば高い性能と信頼性が得られるが、誤った選択をすると期待通りの性能が出ない可能性があるので注意が必要だ。

DDR5-6000 16GB X 2 AMD
DDR5-6000 16GB X 2 Intel
DDR5-7200 16GB X 2 Intel (White)

【A Tier】

1. SanMax

日本企業のSanMaxは、信頼性の高いチップを使用していることで定評がある。
最近は、高コストパフォーマンスなDDR5メモリが人気を集めている。日本企業であるため、サポートも安心できる点が魅力だ。

2. Corsair

Corsairもチップ自体は自社製造ではないが、メモリの大手メーカーの一つである。
多くのマザーボードのQVLリスト(互換性リスト)に掲載されているので、安心感は得られる。(相性問題が出るかどうかは別だが)
G.skillと同様にOCメモリの種類が豊富で選びやすい。

ARGB制御ソフトが他のメーカーと相性が悪く設定が面倒なのが欠点。
Corsairで揃えるなら問題ないが、水冷クーラーやケース、ファンメーカーがバラバラだとかなり苦労する。

DDR4-3200 16GB X 2
DDR5-6000 16GB X 2 (Black) / (White)

3. Team

Teamも製造メーカーではないが、大手チップメーカーから買い付けて製造している。
特徴はとにかく安い。白くて光るメモリだと最安だと思う。
ASUSのマザーボードと相性の良く、ASUSのマザーボードを使用する場合、Teamの高コストパフォーマンスメモリを選択するのも良い選択肢となる。

DDR5-6000 16GB X 2 (Black) / (White) / (ASUS TUF)

4. Kingston

Kingstonもメモリの大手メーカーの一つである。相性問題や初期不良の話はあまり聞いたことがない。
良いメーカーではあるが日本では入手性が低いのが欠点。
パソコンショップARKなら品揃えが豊富かもしれない。

DDR4-3200 16GB X 2 (White)
DDR5-6000 16GB X 2 (Black)

5. Acer

レイテンシ(遅延)の少ないDDR5 OCメモリを安く販売しているメーカー。
セールのときはかなりおすすめ。

DDR5-6800 16GB X2 (Black) / (White)

【B Tier】

1. ADATA

ドスパラで推奨されている。
光るメモリはコストパフォーマンスが良いが、搭載チップメーカーが頻繁に変更されるため、トラブル率は意外と高い。
たまにJEDEC準拠動作しないこともあるため、基本的に4枚挿しは推奨できない。
しかし、コストパフォーマンスは良いので2枚挿しなら悪くない選択肢ではある。
悪口だらけになってしまったが、光るメモリはヒートシンクが四角く、挿しやすかったりする。

DDR5-6000 16GB X 2 (Black) / (White)

2. CFD

CFDは、過去に搭載チップメーカーがバラバラだったことがあった。(panram)
しかし、最近は搭載チップがバラバラという噂は聞かない。
安価な割には永久保証が付いているため、コストパフォーマンス重視で組む場合は悪くない選択肢となる。
黒い基盤が多いので安いわりに見た目がカッコいい

執筆者は何度かCFDのメモリを使用したことがあるが、問題が起きたことはない。

DDR4-3200 8GB X 2
DDR4-3200 16GB X 2

DDR5-5600 16GB X 2

CFD販売 デスクトップPC用メモリ DDR5-5600 (PC5-33600) 16GB×2枚 (32GB) 相性保証 288pin シー・エフ・デー販売 CFD Standard W5U5600CS-16G

3. ドスパラセレクト

ADATA製のメモリである。
DDR4はネイティブ3200MHzなので扱いやすく、DDR5も定格4800MHzメモリしか取り扱いがないので意外と安心できる。
セール時はかなり安くなるので、安く組みたい人におすすめ。

DDR4メモリは基盤が緑なので少しダサいかも。

4. Silicon Power

自社でチップ製造はしていない。
とにかく安いことで定評がある半導体メーカーで、メモリ以外の製品もコストパフォーマンスが非常に高い。
安価であるにもかかわらず永久保証が付いているため、コストパフォーマンス重視で組む場合は悪くない選択肢である。

ノートPC用のメモリが豊富。

メモリ選びの一般的なポイント

ここまでメーカー別の特徴を見てきたが、メモリを選ぶ際の一般的なポイントもいくつか押さえておこう。

  1. チップメーカーを確認する
    S TierにあるMicronやSK Hynixのようなチップメーカー、もしくはそれらの子会社のメモリは、基本的に信頼性が高い。
  2. マザーボードとの相性を確認する
    可能であれば、使用するマザーボードのQVLリストに掲載されているメモリを選択すると良い。これにより相性問題のリスクを軽減できる。
  3. OCメモリは慎重に選択する
    オーバークロック(OC)用のメモリは高性能だが、安定性に不安がある場合もある。特にDDR5のOCメモリは、まだ技術が成熟していない面があるため注意が必要だ。
    AMD Ryzen 7000シリーズの場合、6000MHzを超える周波数のメモリは基本的にはおすすめしない。
    スイートスポットと呼ばれている6000MHzでも安定しないことが多いので、初心者は5600MHz以下がおすすめだ。
    ※ZEN4の場合、メモリクロック(MCLK)とメモリコントローラの動作クロック「UCLK」、Infinity Fabricの動作クロック「FCLK」を1:1:1に保つことができるのが6000MHzまでなので基本的には6000MHz以下のメモリを推奨する。
    ただし8000Gシリーズ等の内蔵GPU性能が必要になる場合は、(MCLK)を6400MHzまで上げたほうが性能を出しやすい。

    (内蔵GPUの場合DRAMをVRAMとして使うので「MCLKを上げる」=「VRAM帯域幅を上げる」ことになる)
    忘れていたが、Intelでも6000MHzを超えるクロックは安定しないので基本はおすすめしない。
  4. 保証期間をチェックする
    永久保証付きのメモリなら、長期的な安心感がある。ただし、保証内容もしっかり確認しておくべきだ。
  5. レビューやユーザー評価を参考にする
    実際に使用している人の声は貴重な情報源である。ただし、個人の環境による問題もあるため、多数の意見を参考にすることが重要だ。                                                                                                                                                                                                       
  6. 予算とのバランスを考慮する
    信頼性は重要だが、予算とのバランスも考慮すべきである。B Tierのメーカーでも、コストパフォーマンスの良い選択肢は多数存在する。
  7. 使用目的に合わせて選択する
    ハイエンドゲーミングや動画編集など、高負荷な用途なら、より信頼性の高いメーカーを選択すべきだ。普段使い程度なら、コストパフォーマンス重視でも問題ない場合がある。
  8. 最新の情報をチェックする
    メモリの世界も日々進化している。最新の製品情報やユーザーレビューをチェックして、良い選択をすることが大切だ。
  9. レイテンシを確認する
    自作に慣れてきたらCASレイテンシ(遅延)も考慮しよう。
    特にDDR5はレイテンシが大きいので性能に影響しやすい。

結論

結局のところ、完璧なメモリというのは存在しない。それぞれのメーカーや製品に、長所短所がある。重要なのは、自分の用途や予算に合わせて、バランスの取れた選択をすることだ。

S TierやA Tierのメーカーなら、まず間違いないだろう。しかし、B Tierのメーカーでも、十分な性能と信頼性を持った製品は多数存在する。コストパフォーマンスを重視するなら、こちらの選択肢も十分検討に値する。

最後に一言付け加えておく。メモリは確かに重要なパーツだが、それ以上に大切なのは、パソコン全体のバランスである。CPUやマザーボード、電源など、他のパーツともしっかり相性を確認して、トータルで信頼性の高いシステムを組み上げることが重要だ。

何か質問があれば、いつでも聞いていくれ。

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