PCショップ店員の立場から、ゲーミングモニターの信頼性について詳しく解説していく。 モニターはゲームプレイの体験を左右する重要なパーツである。そのため、信頼性の高いものを選ぶことが非常に重要だ。
まずは、ゲーミングモニターメーカーをTier別に分類し、それぞれの特徴を見ていこう。
【S Tier】
1. ASUS(エイスース)
モニター市場での圧倒的なシェアを誇り、特にゲーミングモニターでは最も信頼されているメーカーだ。現行モデルは3つのシリーズに分かれており、それぞれに特徴がある。
ROGシリーズの最新フラッグシップPG32UCDPは、31.5インチ/4K/240Hz又はフルHD/480Hz駆動というとんでもないスペックを持つ。
価格は20万円を超えるが、それだけの価値はある。筆者も喉から手が出そうになるくらい欲しい。
TUFシリーズは、ROGより3-4万円安い価格設定が魅力だ。特にVG249QM1Aは24インチ/1080p/270Hz駆動で、IPSパネルの発色も良好。ゲームだけでなくクリエイター作業との兼用にも向いており、コスパは非常に高い。
ProArtシリーズはクリエイター向けだが、PA27UCXは4K/160Hz、DisplayHDR 1000対応でゲーミングも快適。ただし、価格は20万円を超える。一般ゲーマーならTUFで十分だろう。
バックライトストロボ機能のELMBは使う人を選ぶが、G-SYNC/FreeSyncの動作は極めて安定している。背面のジョイスティック式OSD操作も直感的で使いやすい。スピーカー音質は期待できないが、ヘッドホン出力の音質は良好だ。
2. BenQ(ベンキュー):FPSガチ勢はこれ一択
ZOWIE XLシリーズは、eスポーツシーンでの圧倒的な採用実績を誇る。
特に最新のXL2546Xは、240Hz駆動ながらDyAc²技術により、有機ELモニターに匹敵する残像の少なさを実現。実は360Hz/DyAc⁺のXL2566Kより、残像感が少なく、動きの視認性が上という驚きの性能だ。TPVディスプレイ製の高品質TNパネルで、入力遅延もわずか0.5ms(GtoG)。
特筆すべきは、FPS特化の機能群。XLメニューのS-Switch、Black eQualizer、Color Vibranceなど、全てがFPS競技向けに最適化されている。視野角と色域は他社のIPSに劣るが、それを補って余りある速度性能を持つ。VALORANTやCS2のプロシーンで圧倒的なシェアを誇るのも納得だ。24.5インチという画面サイズも、FPS競技では最適解と言える。
3. MSI(エムエスアイ)
ゲーミングモニターでは2024年に大幅な製品刷新を行い、特にハイエンド帯で注目を集めている。
最上位のMPG 321URX QD-OLEDは32インチ/4K/240Hzという強力なスペックを誇り、DisplayHDR True Black 400対応のQD-OLEDパネルで圧倒的な映像品質を実現している。応答速度は0.03msと極めて高速で、競技シーンでも実力を発揮できる。
より手頃な価格帯では、MAG274QRF-QDの後継となるMAG 274QRF QD E2が登場。
27インチ/1440p/180Hz駆動の量子ドットIPSパネルを採用し、4万円台後半という価格帯ながら、十分な性能を持つ。応答速度1ms以下、G-SYNC Compatibleにも対応しており、FPSゲームでの実用性も高い。
注目すべきはMAG 245シリーズで、24.5インチ/1080p/180Hz駆動ながら3万円を切る価格設定。応答速度は1ms、IPSパネルによる優れた視野角と発色を備え、エントリー機としては十分すぎる性能を持つ。
MSIの2024年モデルは全体的にKVM機能を強化しており、特にType-C入力のPD対応は他社より優れている。ただし、付属のスタンドは安定性に欠けるため、モニターアームへの換装を検討したほうが良いかもしれない。
【A Tier】
1. LG(エルジー)
コスパに優れた高解像度ハイエンドモニターを販売するメーカーで、どのモデルも他社より比較的安い傾向がある。
32GS95UVは31.5インチ/4K/240Hz又はフルHD/480Hz駆動の最強スペックを持ちながらコストパフォーマンスも非常に高い。
OLED、IPSパネルの品質も安定しており、HDR性能も悪くない。
ただし、最近は新製品の投入が遅れ気味で、スペック面では他社に後れを取っている。付属スタンドの安定性はやや劣る。
2. Dell(デル)
ALIENWAREブランドのゲーミングモニターは、色精度と応答速度のバランスが良い。
特にAW2725QFは27インチ/4K/180Hz又はフルHD/360Hz駆動に切り替えられる性能を持ちながら、コストパフォーマンスにも優れている。
保証対応は業界一で、輝点1個からでも交換に応じる。スタンドのデザインも特徴的で、ケーブルマネジメントも優秀。
ビジネスモニターで培った品質管理の高さも魅力だ。
3. GIGABYTE(ギガバイト)
M27Q は27インチ/1440p/240Hz駆動のIPS液晶を採用し、価格もMSIより1-2万円安い。
特にKVMスイッチ内蔵は他社には少ない機能で、デュアルPC環境では重宝する。
コストパフォーマンスには優れるが、保証対応がやや遅めとの報告がある。
【B Tier】
1. KTC(ケーティーシー)
中国シンセンの老舗パネルメーカーで、実は多くのブランドにOEM供給している。
自社ブランドのゲーミングモニターは価格の安さが魅力で
H27T22Sは27インチ/IPS/1440p/180Hzながらセール時2万円前後とあり得ないコスパを誇る。【恐らく現状コスパ最強】筆者も初めて見た時は目を疑った。
コスパに優れた2K(1440p)解像度モニターが欲しい場合、このメーカー一択と言っても過言ではない。
2. PHILIPS EVNIA(フィリップス エブニア)
Philipsのゲーミングブランドとして2022年に立ち上がった新顔だ。
24M2N3200L/11は24インチ/IPS/180Hz駆動で、16,800円。
27M2N3500NL/11は27インチ/IPS/1440p/180Hzながら 23,800円と非常に高いコストパフォーマンスを誇る。
新ブランドのため長期使用での実績がまだなく、OSDの操作性も他社に劣るが
5年保証が付いている為、保証を重視する場合間違いなくコスパ最強。
コスパ重視ならKTCかPHILIPS EVNIAの二択だ。
3. Acer(エイサー)
Nitroシリーズは価格を抑えながら、必要な機能は確保。特にXV272UPは27インチ/1440p/170Hzという基本スペックを押さえつつ、IPSパネルの品質も悪くない。Predatorシリーズは上位モデルだが、価格の割に特徴が乏しい。ただし、バックライトブリーディングの個体差が大きく、運の要素が強い。セール時は特に安くなるので、その時を狙うのがおすすめだ。
4. iiyama(イイヤマ)
G-MASTERシリーズは価格の安さが魅力。パネル品質も安定しており、不良率は意外と低い。
RED EAGLEシリーズはより派手なゲーミングデザインを採用。ただし、スピーカーは期待できず、色域も他社に劣る。
付属スタンドの作りは良く、安定性は確保されている。
5. ViewSonic(ビューソニック)
性能と価格のバランスが良く、セール時は悪くない選択肢。
最近はドスパラ専売品が人気。
VX2428J-7は1080p/180Hz対応ながら、2万円台前半で購入可能。最近はカラーバリエーションも豊富だ。
ただし、OSDの操作性は他社に劣り、ファームウェアのアップデートも面倒。色精度は高いが、応答速度は若干他社に劣る。
保証対応は良好で、国内サポートも親切。
6. Xiaomi(シャオミ)
スマートフォンで知られる中国メーカーだが、モニターも手がける。
G27iを皮切りに激安ゲーミングモニターを次々と発売している。パネル品質、応答速度、色精度も高く価格からは信じられない性能だ。
セール時最安になることも多いが、メーカー保証が1年しかないので注意しよう。
7. Pixio(ピクシオ)
アメリカ発のブランドで、コストパフォーマンスを重視している。
白系モニターのラインナップが豊富で、見た目を重視する人におすすめだ。
パネルの個体差や当たり外れの差もあるが、30日間の無料返品サービスが付いているので安心だ。
モニター選びの重要なポイント
ゲーミングモニター選びは、用途と予算に応じた適切な選択が重要だ。
競技FPSを重視するならBenQ ZOWIE、バランスを重視するならASUS ROG/TUF、コスパを重視するならMSIやGIGABYTEがおすすめだ。
S TierやA Tierのメーカーなら間違いないが、予算が厳しい場合はB Tierのメーカーでも十分な選択肢となる。
選び方としては、まずパネルサイズと解像度の組み合わせを考慮し、24インチならFHD、27インチなら1440p、32インチ以上なら4Kを選ぶのが定石だ。次に手持ちのグラフィックボードで出せる最大フレームレートを確認し、それに見合ったリフレッシュレートのモニターを選ぼう。
HDRにこだわるなら、DisplayHDR 1000以上のMini-LEDか有機ELモデルを検討する必要があるが、予算は大幅に跳ね上がる。一般的な用途なら、パネル品質と応答速度のバランスが取れた製品を選ぶのが賢明だろう。
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