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【PCショップ店員が暴露】過剰冷却の罠!CPUの発熱は消費電力で決まる – 数字を無視する三流店員に気をつけろ

先日、某大手PCショップで驚愕の光景を目撃した。Ryzen 7 9800X3Dを購入した客に対し、店員が「ゲーミング最高峰CPUなので、性能を引き出すには360mm水冷がおすすめです」と断言。しかし9800X3Dの消費電力は最大162Wで、空冷クーラーで十分冷却できる。

別の客には「Ryzen 9 9900Xは空冷クーラーでの運用は難しいです」と案内していたが、9900Xの消費電力も最大162Wで空冷クーラーでも十分だ。Ryzen 9という型番を見て熱いとイメージしてしまっているのかもしれないが、2CCDというアーキテクチャの特性もあり9800X3Dよりも冷えやすい。

この記事は、数字も根拠もない三流店員への公開処刑であり、過剰冷却の罠から逃れたい賢明なあなたへの救済である。

過剰冷却の罠!電力を知らずにクーラーを選ぶ愚かさ

PCショップ店員が犯す最大の過ちがこれだ。CPUの発熱量は消費電力(W)にほぼ比例するという物理法則を完全に無視し、型番だけでクーラーを推奨している。

発熱量(W) ≒ 消費電力(W)

これは物理法則であり、覆すことはできない。アーキテクチャや熱密度、製造プロセスの違いにより若干の誤差は生じるが、概ね消費電力と発熱量は比例する。

にも関わらず、多くの店員がRyzen 7 9800X3D(162W)やRyzen 9 9900X(162W)に対して簡易水冷を推奨している。これは物理法則を無視した完全な職務怠慢である。

現代CPUは高温でも性能低下しない

PCショップ店員が最も誤解している事実がこれだ。現代のCPUは、かなり高温まで性能低下しないように設計されている。

型番により厳密には異なるが、基本的に90度以下であればサーマルスロットリングによる性能低下は起こらない。安全性を考慮し、高負荷時85度以下で運用できるクーラーを選べば基本的に問題ない。

つまり「冷却が性能を決める」という考え方自体が既に時代遅れなのだ。現代CPUにおいて重要なのは、適正な冷却能力の確保であり、過剰な冷却ではない。

消費電力別・適切なクーラーの選び方

正しいクーラー選択は、必ず消費電力の確認から始まる。

50W以下の低消費電力CPUなら純正クーラーで十分。付属品で問題なく冷却できる。65W前後でも同様に純正クーラーで対応可能だ。

88W前後になると、AMDなら純正クーラー、Intelなら3000円程度のAK400等のエントリークーラーで十分冷やしきれる。決して簡易水冷は必要ない。

150W前後では高性能空冷クーラーが適正解となる。MUGEN6やFROZN A620等の1万円以下の空冷クーラーで完全に対応できる。360mm水冷は明らかに過剰だ。

170W-190Wでようやく240mm水冷またはハイエンド空冷クーラーの出番となる。ASSASSIN IV等のハイエンド空冷や240mm水冷等が適正範囲だ。

190W-220Wで初めて360mm水冷が必要になる。長時間のレンダリングやエンコード作業を行うなら360mmラジエーターがおすすめ。ゲームメインなら240mm水冷でも問題ない。

240W以上ではCPU次第で420mm水冷や本格水冷が必要となるが、これは極めて特殊なケースである。

温度や電力をしっかりと把握したうえで100台以上の組み立て経験があれば、上記の基準は概ね同意できるはずだ。むしろこのように具体的な電力に基づく温度感覚がない店員が異常なのだ。

なぜ三流店員は過剰冷却を推奨するのか?

店員側の問題として、消費電力の確認を怠る職務怠慢、古い温度知識のまま思考停止、高額商品販売による利益追求、「安全側に振っておけば問題ない」という責任逃れがある。

一方でユーザー側にも、「高いものは良いもの」という思い込み、数値確認を面倒がる姿勢、店員の権威を盲信する判断放棄という問題がある。

双方の問題が組み合わさることで、過剰冷却の罠が成立している。三流店員は型番のみで判断し「ハイエンドだから水冷必須」と感覚で語る。優秀店員は消費電力の数値を確認し「162Wなので高性能空冷で十分」と根拠を持って提案する。

この差は知識の有無ではない。「数字に基づく思考」か「感覚的判断」かの根本的な姿勢の違いなのだ。

「65W CPU」の罠に気をつけろ

市場にはRyzen 9 7900等のTDP 65W(PPT 88W)のハイエンドCPUが省エネでワットパフォーマンス最高という誤解が蔓延している。これは半分正解で半分間違いだ。

TDP65Wなら確かに省エネでワットパフォーマンスも良いが、プロはそのままの設定では使わない。Ryzen 9 7900やCore i7-14700は、スイートスポットである125W〜150Wに調整することで、省電力性と低発熱、性能を両立することができる。この設定なら空冷クーラーで問題なく運用可能であることに加え、性能も大幅に向上する。

65Wという数字を盲信するのではなく、適切な電力設定に調整することが重要なのだ。

※低電圧化前提なら、選別コアのKやX付きモデルをあえて選んだ方がより性能を引き出せるが、今回は解説しない。

PCショップでできる、まともな店員の見分け方

店員の提案には「なぜこのクーラーが必要なのですか?消費電力は何Wから水冷クーラーにした方が良いと思っていますか?」と具体的な数字を聞いてみよう。

もしちゃんと答えられないなら三流で間違いない。そういう場合は店員の提案に惑わされず、自分で調べた情報に基づいて購入を決めよう。

知識は力なり ― 数字に基づく思考を身につけよ

この記事の結論は極めてシンプルだ。CPUクーラー選択は消費電力の数値に基づいて行え。型番や価格に惑わされるな。店員の提案には必ず数値的根拠を求めよ。

もしこの記事を読んで理解できたなら、あなたはもはや過剰冷却の罠にかかることはない。あなたは物理法則に基づいた正しい判断力を身につけたのだ。

根拠なき常識を捨て、数字と物理法則に基づいて思考せよ。それこそが、過剰冷却の罠から逃れ、真に合理的なPC構築を実現する唯一の道である。

GearTune編集部からのメッセージ

PCショップ店員として日々接客する中で確信していることがある。正しい物理法則の理解さえあれば、誰でも適正な冷却選択ができるということだ。

「冷却が性能を決める」という思い込みや、「型番が上位だから高冷却必須」という感覚的判断に惑わされることなく、消費電力という具体的数値に基づいて冷却システムを選択してほしい。

なお、空冷クーラーの場合、クーラー単体の冷却性能も重要だが、それと同じくらいケースのエアフローも重要になる。適正な空冷クーラーを選んでも、ケース内の空気の流れが悪ければ本来の性能を発揮できない点も覚えておいてほしい。

それこそが、真のPC愛好家への第一歩である。

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