AMDの次世代ハイエンドAPU「Ryzen AI MAX+ 395」の性能が明らかになった。統合GPU「Radeon 8060S」は、デスクトップ向けGPUのRTX 4060に匹敵する驚異的な性能を示している。
Strix Haloの革新的な仕様
新製品の主要スペック
- CPU:16コア/32スレッド(Zen 5アーキテクチャ)
- GPU:40基のコンピュートユニット(RDNA 3.5)
- 最大クロック:5.1GHz
- キャッシュ:80MB
- TDP:45-120W
特筆すべきは統合GPUの大幅な強化だ。前世代のRadeon 890M(16コンピュートユニット)から2.5倍のコア数となる40基のコンピュートユニットを搭載。さらに、256GB/sというデスクトップ級のメモリ帯域幅により、独立GPUに迫る性能を実現している。
ベンチマーク性能
3DMark Time Spyでの検証結果
- グラフィックススコア:10,106点
- 前世代(Radeon 890M):3,367点
- 性能向上率:約3倍
この性能は、現行の主力独立GPU製品と比較しても遜色ない
- RTX 3060:8,800点
- RTX 3060 Ti:11,500点
- RTX 4060:10,500点
- RTX 4060 Ti:12,900点
- RX 6600 XT:9,500点
- RX 7600:11,000点
- Arc B580:14,700点
- Arc A770:13,000点
※スコアは参考値です。使用するCPUによって数値が前後する場合があります。
市場への影響
この性能は、ノートPC市場に大きな変革をもたらす可能性がある。特に
- エントリー向け独立GPU市場への影響
- ゲーミングノートPCの小型化の可能性
- 電力効率の大幅な改善
発売時期と展望
Strix Halo搭載PCは2025年前半に発売予定。ラインナップは以下の通り
- Ryzen AI Max+ 395:16コア/40CU
- Ryzen AI Max 390:12コア/40CU
- Ryzen AI Max 385:8コア/32CU
- Ryzen AI Max 380:6コア/16CU
まとめ
AMDの次世代APU「Strix Halo」は、統合GPUの性能に新たな基準を示した。RTX 4060クラスの性能を実現したことで、エントリー向けゲーミングPCの在り方を大きく変える可能性を秘めている。
ただし、この性能を最大限に引き出すためには、十分なメモリ容量の確保が不可欠だ。統合GPUはシステムメモリをVRAMとして使用するため、32GB以上のメモリ搭載が推奨される。特にレイトレーシングや高解像度テクスチャを使用する場合、16GBでは明らかに不足する可能性が高い。
また、TDPが最大120Wまで引き上げられた点も注目すべきだ。これは従来のAPUの2-3倍の電力消費であり、冷却設計が製品の性能を大きく左右することになるだろう。
筆者のコメント
Strix Haloの登場は、PCアーキテクチャの新時代の幕開けを告げるものかもしれない。特に、デスクトップ向け独立GPUに匹敵する性能を実現したことは、大きな技術的ブレークスルーと言える。
しかし、実用面では課題も残る。32GB以上のメモリ搭載が必要となれば、システム全体のコストは決して安価とは言えない。また、120WというTDP設定は、ノートPCのバッテリー持続時間に大きな影響を与えるだろう。
それでも、統合GPUでこれだけの性能を実現したことは、今後のPC市場に大きな影響を与えることは間違いない。特に小型PCやノートPC市場において、新たな可能性を切り拓くものとして、今後の展開が非常に楽しみだ。
※本記事はBaiduフォーラムでのベンチマーク結果に基づいています。正式な性能は発売後の検証をお待ちください。
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