AMDの次世代GPU「Radeon RX 9070 XT」が、期待の新作『Call of Duty: Black Ops 7』のベータ版において、NVIDIAの競合「GeForce RTX 5070 Ti」を圧倒するベンチマーク結果を記録したと報じられた。このテストでは、特に1440p解像度で最大31%という驚異的な性能差が確認され、次世代GPUの勢力図を大きく塗り替える可能性を示すものである。
RDNA 4アーキテクチャへの極端な最適化か
この衝撃的なテスト結果はComputer Baseによって明らかにされたものだ。それによると、Radeon RX 9070 XTはWQHD(1440p)解像度において、本来格上と目されるRTX 5070 Tiを31%も上回るフレームレートを叩き出した。これは、ハイエンドモデルであるRTX 5090に迫るほどの数値であり、異常事態と言える。
通常、多くのゲームにおいてRTX 5070 TiはRX 9070 XTに対して6~7%優位に立つと見られている。しかし、『Call of Duty: Black Ops 7』においては、AMDのRDNA 4アーキテクチャに極端な最適化が施されている可能性が考えられる。
テストは、各種アップスケーラー技術を品質設定で使用して行われた。本作はNVIDIAのDLSS 4をネイティブサポートする一方、AMDのFSR 4は現時点でネイティブ対応していない。しかし、最新のAdrenalinドライバー経由でFSR 4を有効にし、この結果を記録した。
全ての解像度でアドバンテージを維持
この性能差は1440p解像度に限定されたものではない。UWQHD(3440×1440)や4Kといった高解像度においても、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiに対して明確な優位性を維持している。また、最低フレームレート(1% Low)も安定しており、よりスムーズなゲーム体験が期待できる点も特筆すべきである。
ただし、この最適化はRDNA 4世代のGPUに限定されている可能性が示唆されている。旧世代のRX 7800 XTは、競合のRTX 4070とほぼ同等のパフォーマンスにとどまっており、特定のアーキテクチャに最適化されていることがうかがえる。
まとめ:正式リリースに高まる期待
『Call of Duty: Black Ops 7』の正式リリースは11月14日に予定されている。今回のベータ版での結果が、製品版でどこまで維持されるのか、そしてこれがRDNA 4全体の強さを示すものなのか、ゲーマーたちの注目が集まる。今回のリークは、ゲーマーがGPUを選ぶ際に「どのゲームをプレイしたいか」という視点が、これまで以上に重要になることを示唆しているのかもしれない。
筆者のコメント
今回のリークは実に興味深い。単一のゲーム、それもベータ版の結果であるため、この数値だけでRDNA 4の総合的な勝利と判断するのは早計だ。しかし、「特定のゲームでは、アーキテクチャの相性によってこれほどまでの性能差が生まれうる」という事実を我々に突きつけている。
コンソール機(PlayStation, Xbox)がAMD製APUを長年採用していることを考えれば、『Call of Duty』のような巨大なマルチプラットフォームタイトルで、AMD製GPUが最適化の恩恵を受けることは十分に考えられるシナリオである。開発のベースがAMD環境にあれば、PC版でもその特性が色濃く反映されるのは自然な流れだろう。
NVIDIAがレイトレーシングやAI性能でリードを築いてきた一方で、AMDはゲーム機との親和性を武器に、特定のAAAタイトルで圧倒的なコストパフォーマンスを発揮する。そんな未来の勢力図を予感させる、非常に面白いデータだ。最終的な製品版でのパフォーマンスや、他のゲームタイトルでの動向を注意深く見守る必要がある。
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