主要DRAM製造メーカーのSamsung、SK Hynix、Micronが2025年後半までにDDR3およびDDR4メモリの生産を終了する方針であることが明らかになった。HBMやDDR5など最新メモリへの需要増加と収益性の低下が主な要因とされる。
DDR3/DDR4生産終了の経緯
Samsungはすでに昨年、需要減少を理由にDDR3メモリの生産を中止している。DDR3は登場から約18年、DDR4は2014年のデビューから10年以上が経過し、ライフサイクルの終焉を迎えつつある。
特にDDR4については、現在も市場シェアが大きいものの、2025年後半からは供給が顕著に減少する見込みだ。DigiTimesの報道によると、Samsung、Micron、SK Hynixの3社は、DDR3/DDR4の需要減少と収益性低下を理由に、今年後半までに生産を完全に停止する計画を進めている。
背景にあるAI需要とDDR5への移行
生産終了の主な理由となっているのは、以下の市場要因だ
- HBMとDDR5の需要急増
- AIおよびクラウドコンピューティング市場での需要拡大
- サーバー向け高性能メモリへの需要集中
- 先進メモリの利益率の高さ
- DDR4/DDR3の収益性低下
- 継続的な価格下落
- 需要減少によるコスト効率の悪化
- 生産ラインの更新コスト増加
これらの主要メーカーは、生産能力と投資を高収益が期待できるHBMとDDR5に集中させる戦略に転換している。
供給ギャップを埋める中国・台湾メーカー
主要メーカーの撤退後も、DDR3/DDR4メモリへの需要は継続する見通しだ。この供給ギャップを埋めるのは、中国・台湾の半導体メーカーになると予測されている
中国メーカー
- CXMT(長鑫存儲技術):DDR4生産を拡大しながらDDR5にも注力
台湾メーカー
- Nanya Technology(南亞科技):2025年第2四半期からの市場回復を予測
- Winbond Electronics(華邦電子):20nmから16nmプロセスへの移行を進め、8Gb DDRメモリの生産能力を強化
市場への影響
大手メーカーの撤退による影響は複合的となる見込み
- 初期的な供給不足
- 2025年夏以降に供給不足が発生する可能性
- 需給バランスの変化による価格上昇リスク
- メモリ価格の動向
- DDR5:需要増加による価格上昇傾向が継続
- DDR4:当面は価格安定も、供給減少後は上昇の可能性
- DDR3:長期的な価格下落傾向が続く
- 市場シェアの再編
- 中国・台湾メーカーのシェア拡大
- 一部のニッチ市場や産業用途では供給懸念
筆者のコメント
DDR3/DDR4の生産終了は、半導体業界のトレンドとして避けられない流れだ。しかし、現実には多くのユーザーが依然としてDDR4メモリに依存している。特に、AMDのAM4プラットフォーム(Ryzen 1000~5000シリーズ対応)を利用しているユーザーにとって、これは無視できない問題だ。
AM4プラットフォームは、DDR4メモリを採用しており、多くのユーザーがまだ現役で使用している。生産終了後、DDR4メモリの価格が高騰したり、入手が困難になる可能性がある。特に、AM4環境でメモリの増設や交換を検討しているユーザーは、早めに行動することをお勧めする。
注目すべきは、大手メーカーの撤退後の市場動向だ。中国や台湾のメーカーがDDR4の供給を引き継ぐ可能性が高いが、品質や供給量に不安が残る。また、DDR5メモリへの移行が進む中、AM4ユーザーは「今の環境をどう維持するか」という選択を迫られることになる。
AM4ユーザーが今すべきこと
- メモリの在庫確保:DDR4メモリの価格が安定しているうちに、必要な容量を確保しておく。
- 互換性の確認:既存のマザーボードやCPUとの互換性を確認し、安定動作するメモリを選ぶ。
- 将来の移行計画:AM4環境を長く使うか、DDR5対応のAM5プラットフォームへの移行を検討するか、早めに判断する。
DDR4の生産終了は、AM4ユーザーにとって大きな転換点となる。今のうちに備えておくことが、後悔しない選択につながるだろう。
※本記事はDigiTimesおよびNikkeiの報道に基づいています。具体的な生産終了時期やその影響については、各メーカーの公式発表をお待ちください。
情報・参考


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