NVIDIAの次期ミドルレンジGPU「GeForce RTX 5060 Ti」がFurMarkのベンチマークデータベースに登場し、4月中旬の発売がほぼ確実となった。デバイスID「10DE-2D04」から特定されたRTX 5060 Tiは、180W TDPと28Gbps GDDR7メモリを採用、RTX 4060 Tiから55%帯域幅が向上していることが確認された。
FurMarkデータベースに登場したRTX 5060 Ti
著名リーカーのRichard Huynh氏(@OyashokuDesu)が、FurMarkデータベースで新しいPCIデバイスID「10DE-2D04」を発見。これはNVIDIA GB206 GPUを意味し、RTX 5060 Tiに搭載される予定のシリコンと一致する。複数のエントリが2024年12月から記録されているが、最新のエントリは先月のもので、GPUは10,242ポイントを記録し、最高温度は69°Cだった。
このベンチマークデータでは、GPUが180W TDPで動作していることも確認されており、これは従来のリーク情報とも一致している。これによりテスト対象が確かにRTX 5060 Tiであることが確認された。
RTX 5060 Tiの仕様と性能
リーク情報から判明しているRTX 5060 Tiの主な仕様は以下の通り
- GPUコア: GB206-300(4,608 CUDAコア)
- 基本クロック: 2,407MHz
- ブーストクロック: 2,572MHz
- メモリ: 16GB/8GB GDDR7
- メモリバス: 128-bit
- メモリ速度: 28Gbps
- メモリ帯域幅: 448GB/s(RTX 4060 Tiから55%向上)
- TDP: 180W
FurMarkのスコア10,242ポイントは、RTX 4060 Tiとほぼ同等の結果となっている。しかし、これはドライバーの最適化不足やテストプラットフォームの問題など、様々な要因が考えられる。FurMarkはグラフィックカードの熱特性テスト用のツールであり、実際のゲーミング性能を正確に反映するものではない。
一部のテストでは、GPUが61%のTDP制限(約116W)で動作していたことも確認されており、これが100%なら190Wとなる。RTX 5060 Tiの標準TDPは180Wと言われているため、このテスト個体は10W高い電力制限が設定されていたと考えられる。
発売日と価格情報
噂によれば、RTX 5060 Tiは2025年4月16日に発売される見込みで、前日15日にはレビュー解禁となる予定だ。価格については、16GBモデルが$499(約7.5万円)、8GBモデルが$399(約6万円)になるとの情報があるが、正式な確認はまだない。
現在、NVIDIAのボードパートナーはメディア向けにレビューサンプルを出荷中との情報もあり、発売直前の今後数日間でさらに多くのリーク情報が出てくることが予想される。
RTX 5060 Tiと競合モデルの比較
RTX 5060 Tiとその競合・前世代モデルの比較は以下の通り
モデル | CUDAコア | ブースト クロック | メモリ | 帯域幅 | TDP | 希望小売価格 MSRP |
---|---|---|---|---|---|---|
RTX 5060 Ti | 4,608 | 2,572MHz | 16/8GB GDDR7 | 448GB/s | 180W | 未定 |
RTX 5060 | 3,840 | 未定 | 8GB GDDR7 | 448GB/s | 150W | 未定 |
RTX 4060 Ti | 4,352 | 2,535MHz | 8/16GB GDDR6 | 288GB/s | 165W | $399/$499 |
RTX 4060 | 3,072 | 2,460MHz | 8GB GDDR6 | 272GB/s | 115W | $299 |
特筆すべき点は、メモリ帯域幅がRTX 4060 Tiと比較して55%向上している点だ。これはGDDR6からGDDR7への移行により、メモリ速度が18Gbpsから28Gbpsに大幅に向上したためだ。しかし、128-bitという狭いメモリバスは維持されている。
筆者のコメント
FurMarkデータベースで確認されたRTX 5060 Tiの情報は、4月中旬の発売をほぼ確実なものとしている。しかし、ゲーマーとして気になるのは実際のゲーミング性能だ。FurMarkのスコアがRTX 4060 Tiとほぼ同等という結果は少々懸念材料だが、ドライバー最適化前の結果であることを考慮する必要がある。
GDDR7メモリの採用による帯域幅の55%向上は、特に高解像度テクスチャや複雑なシェーダーを使用するゲームで恩恵をもたらす可能性が高い。しかし、128-bitという狭いメモリバスは依然として制約となりうる。
価格面では前世代と同等との噂だが、$499という16GBモデルの価格は、わずか$50追加すればRTX 5070($549)が選択できることを考えると、やや中途半端な位置づけとなる。一方で8GBモデルの$399は、性能と価格のバランスで魅力的な選択肢となる可能性がある。
今後数日間で出てくるであろうゲーミングベンチマークの結果が、このカードの真の価値を決定づけるだろう。特にRTX 4060 Tiからのゲーム性能向上幅と、AMDの競合製品との比較が注目される。
※本記事はFurMarkデータベース情報、Richard Huynh氏の発見およびVideocardz、Wccftechの報道に基づいています。正式な製品仕様と価格は公式発表をお待ちください。
情報・参考
Here's what appears to be a 5060 Ti benchmark. Judging by the score (since this is run at 4k), it appears to sit just under where a 3080 Ti would score.
— Richard Huynh (@OyashokuDesu) April 5, 2025
That aside, I can confirm that the device ID does indeed match a 5060 Ti. Not sure if 16 or 8gb SKU though… pic.twitter.com/HGflctXbDp

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