NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズラインナップに「RTX 5050」が追加されることが明らかになった。複数の情報筋によると、RTX 5050は8GB GDDR6メモリを搭載し、Blackwell GPU世代で唯一GDDR7ではなくGDDR6メモリを採用するモデルになるという。この動きはIntel Arc B580や将来のAMD RX 9050シリーズに対抗するための戦略と見られている。
RTX 5050の仕様と位置づけ
現時点で判明しているRTX 5050の仕様は以下の通りだ
- メモリ容量: 8GB GDDR6
- TBP(消費電力): 135W
- 想定価格帯: 199〜249ドル(約3〜3.7万円)
- 競合製品: Intel Arc B580 12GB、将来のAMD RX 9050シリーズ
RTX 50シリーズでは上位モデルがすべてGDDR7メモリを採用している中、RTX 5050のみGDDR6を採用する点は注目に値する。高価格のGDDR7を避けることで、より手頃な価格帯を実現する狙いがあると見られる。
エントリーGPU市場への復帰
NVIDIAはAda Lovelace(RTX 40シリーズ)世代では「50」クラスのGPUを省略していた。GeForce RTX 3050はAmpere世代に存在したが、RTX 4050は発売されなかった。今回のRTX 5050の投入は、NVIDIAがローエンド〜ミドルレンジ市場に再び関心を示している証拠と言える。
この動きの背景には、Intel Arc B580 12GBの存在や、AMD RX 9070シリーズがミドルレンジ市場でNVIDIAのRTX 5070シリーズを圧倒している現状があると考えられる。特にIntel Arc B580は12GBのGDDR6メモリを搭載しており、コストパフォーマンスを重視するユーザー層に強く訴求している。
RTX 5060シリーズの展開状況
同時に、RTX 5060シリーズについても新たな情報が判明している。
RTX 5060 Ti
- 8GBと16GBの2つのメモリ構成
- 16GB GDDR7モデル: 3月下旬発売予定
- 8GB GDDR7モデル: 4月上旬発売予定
- TGP(総グラフィック電力): 180W
RTX 5060
- 8GB GDDR7のみの単一構成
- 発売時期: 4月中下旬予定
- TGP: 145W
RTX 5060 Tiと5060は、いずれも200W未満の消費電力のため、NVIDIAのRTX 40シリーズの規範では12V-2×6コネクタが必要ない可能性がある。報道によれば、単一のPCIe 8ピン構成では12V-2×6コネクタの導入が「浪費」とも評価されている。
市場競争の行方
特に注目すべきは、4月に予定されているRTX 5060シリーズとAMD Radeon RX 9060シリーズの対決だ。現在のRTX 5070対RX 9070シリーズの競争では、AMDが価格、性能、そして何よりも「入手可能性」で優位に立っている。RTX 5060シリーズとRTX 5050が、この状況を覆せるかが注目される。
AMDはRX 9070シリーズでGDDR7を採用せず、GDDR6を維持することで価格を抑え、「性能/価格比」で優位に立つことに成功した。RTX 5050がGDDR6を採用するのも、この戦略に対抗する意図があると考えられる。
しかし、RX 9070シリーズの例を見ると、「入手可能性」も市場競争の重要な要素となる。この点でNVIDIAがどのような供給体制を整えるかも、RTX 5050やRTX 5060シリーズの成功を左右するだろう。
4月以降のGPU市場展望
これらの情報から、4月以降のGPU市場はRTX 5060 Ti(16GB/8GB)、RTX 5060、RTX 5050、そしてAMD RX 9060シリーズの新製品ラッシュとなる見込みだ。特に199〜249ドルの価格帯を狙うRTX 5050は、長らく高価格帯に偏っていたGPU市場に新たな選択肢をもたらすことになる。
今後のGPU市場は、高性能帯ではAMDのRX 9070シリーズ、ミドル〜エントリー帯ではIntel Arc B580を含めた三つ巴の競争となり、消費者にとっては選択肢が増える好状況になりそうだ。
筆者のコメント
RTX 5050の登場は市場競争の観点から非常に興味深い。ここ数年、GPU市場は高価格帯に集中し、エントリーユーザーにとって厳しい状況が続いていた。RTX 5050が実現すれば、久々に200ドル前後の本格的なゲーミングGPUが登場することになる。
何より注目したいのはGDDR6の採用だ。GDDR7は高性能だが高コストであり、これが一因となってRTX 50シリーズ上位モデルは高価格となっている。GDDR6を採用することで、RTX 5050は「必要十分な性能を手頃な価格で」というコンセプトに回帰できる可能性がある。
また、NVIDIAがIntel Arc B580をライバルとして意識しているという点も興味深い。これまでGPU市場はNVIDIAとAMDの二強構造だったが、Intelの参入により市場力学が変化している証拠だろう。
とはいえ、性能と価格のバランスも重要だが、実際に「店頭で買える」かどうかも近年のGPU市場では重要な要素となっている。RTX 50シリーズ上位モデルの供給不足を考えると、RTX 5050が十分な数量で市場に投入されるかは不透明だ。この点が、実際にRTX 5050が市場成功を収められるかの鍵になるだろう。
※本記事はBenchlife、WCCFTechの情報に基づいています。製品の最終仕様や発売時期は変更される可能性があります。
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