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【衝撃】RTX 50シリーズのコスト構造が明らかに – GPUとVRAMだけで製造コストの80%を占める、AIBパートナーがOCモデルに注力する理由【2025年3月最新情報】

NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズのAIBパートナー(Add-in-Board Partner)が、製品のコスト構造について興味深い内部情報を明かした。グラフィックカードの製造コストの約80%がGPUチップとVRAMメモリのみで占められており、これがRTX 50シリーズが定価(MSRP)で入手困難な主な要因であることが判明した。このコスト構造がAIBパートナーに「OCモデル」と呼ばれる上位モデルに注力させる結果となっており、市場の価格高騰にも影響を与えている。

GPUカードのコスト構造が判明

中国の大手レビュアー「51972」が28枚ものRTX 5080グラフィックカードを比較する過去最大規模のレビューを公開する中で、あるGPUベンダーとの会話から興味深い内部情報が明らかになった。このベンダーによれば、グラフィックカードの部品表(BOM)コストの約80%がNVIDIAから供給されるGPUチップとGDDR7メモリで占められているという。

「正直なところ、現在の状況では工場が定価(MSRP)を実現するのは非常に難しい。チップとビデオメモリのBOMコストだけで総コストの80%を占めている。一方、冷却器一式と包装材のコストは数十ドルで、多くても100ドル程度だ。そのため、現在の市場戦略は定価を少し引き上げて対応し、残りはOC(オーバークロック)モデルとして販売するというものだ」

残りの20%のコストには、冷却システム、基板、VRM(電圧調整モジュール)、製造工程、パッケージング、物流、保証サポートなどが含まれる。つまり、AIBパートナーが得られる利益率は非常に限られており、これが定価通りのモデルが市場からほぼ消滅している要因だ。

OCモデルへの注力の理由

この状況がAIBパートナーをOC(オーバークロック)モデルに注力させる大きな要因となっている。GPUとVRAMのコストが固定されている中、冷却システムなどのわずかなコスト増加で「OCモデル」と銘打ち、大幅な価格上乗せが可能になる。

特に注目すべきは、最近のNVIDIA GPUはほぼすべてオーバークロックが可能であり、技術的にはOCモデルと標準モデルの差がわずかであること。工場でのオーバークロックは単にGPUの設定を変更するだけで、大きなコストがかかるわけではない。しかし、「OC」というラベルを付けることで、大幅な価格プレミアムを正当化できる仕組みとなっている。

実際に市場では「MSRP準拠」と巧妙にラベル付けされたモデルも、発売から1週間程度で価格が上昇していく傾向が見られる。レビュー初期に注目を集めるための戦略として、一部のモデルを一時的に低価格で提供し、その後価格を引き上げるという手法がAIBパートナー各社で採用されているようだ。

ディストリビューターの役割と価格高騰

さらに、AIBパートナーからディストリビューター(卸売業者)に出荷される過程でも価格上昇が起こる。ディストリビューターはより多くの利益を得るために在庫を抱え込み、結果的に消費者が支払う最終価格はMSRPを大幅に上回ることになっている。

例えば、RTX 5080の製造コストが900ドル程度だとすれば、1,000ドルのMSRPでの販売はAIBパートナーにとって魅力的ではない。代わりに、わずかなコスト増加で「OC」や「GAMING」「SUPRIM」といったブランド名を付け、1,200ドル以上の価格で販売することで利益率を確保している。

興味深いことに、この課題はRTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Tiだけでなく、AMDのRX 9070シリーズにも同様に発生している。RX 9070シリーズの一部モデルは発売から1週間で最大130ドルの価格上昇が見られたという報告もある。

今後の市場展望

情報提供したGPUベンダーによれば、3月中に供給が安定することが期待されており、これにより価格も安定に向かう可能性がある。しかし、システムとしてGPUとVRAMのコストが総コストの大部分を占める構造が続く限り、定価での販売は引き続き難しい状況が続くと予想される。

実際に供給増加がどの程度価格に影響するかは不透明だが、少なくとも複数のショップで選択肢が増え、競争が促進されることは期待できるだろう。しかし、「定価通りの標準モデル」が市場に戻ってくる見込みは薄いと言わざるを得ない。

筆者のコメント

今回明らかになったコスト構造は、近年のグラフィックカード市場の現実を如実に表している。NVIDIAが自社のFounders Editionだけを定価で販売し、AIBパートナーは高価格帯に追いやられるビジネスモデルが確立されつつあるようだ。

GPUとVRAMで80%ものコストを占めるという事実は、AIBパートナーの厳しい経営環境を示すと同時に、NVIDIAの強力な立場を象徴している。彼らは基本的に「GPU+VRAM」のバンドルをほぼ完成品として提供し、AIBパートナーは冷却システムと基板を加えるだけという構造だ。

消費者としては、「定価での入手は現実的ではない」という前提で予算を組むことが賢明かもしれない。また、Founders Editionが入手できるなら、それが最も価格性能比の高い選択肢となるケースが多いだろう。AIBパートナー製品は、特別な冷却性能や静音性、あるいはデザイン性を求める場合にのみ選択する価値がある。

GPU市場の健全化のためには、コスト構造の改善か、あるいはより透明な価格設定が望まれる。しかし、当面は「MSRP」という数字はマーケティング戦略の一部に過ぎず、実際の小売価格はそれを大きく上回るという現実を受け入れざるを得ないだろう。

※本記事の情報はUniko’s Hardwareのレポートに基づいています。市場状況は日々変化するため、最新の価格情報は各小売店でご確認ください。

情報・参考

GPU Vendor Reveal The Reason For Higher NVIDIA RTX 50 Series Costs; Says GPU & VRAM Combo Makes Up To 80% Of Total Cost
An NVIDIA partner in China confirmed that total cost of an RTX 50 series GPU comprises 80% of the chip & VRAM, making MSRP prices difficult.
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