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【衝撃】AMD、特許侵害で訴えられる。生命線「3D V-Cache」技術が使用差止めの危機に

AMDのゲーミングCPUにおける競争力の源泉、そのものと言える「3D V-Cache」技術が、今まさに危機に瀕している。

技術ライセンスを専門とする企業Adeiaが、AMDに対し特許侵害を理由に訴訟を提起したのだ。この問題は、将来のCPU価格や製品供給に直接的な影響を及ぼす可能性を秘めており、我々PCゲーマーにとっても看過できない事態である。

訴訟の当事者、Adeiaとは何者か

まず、今回の訴訟を起こしたAdeiaがどういった企業であるかを見ていく必要がある。Adeiaは、自社で製品開発や製造を行わず、保有する知的財産権のライセンス供与を事業の柱とする、いわゆるNPE(Non-Practising Entity/不実施主体)に分類される企業だ。

Adeia側の主張は、AMDの半導体製品群が自社の特許ポートフォリオを侵害しているというもので、長期間の交渉も不調に終わったことが、今回の訴訟へと至った原因であるとしている。

留意すべきは、Adeiaが2023年にNVIDIAを相手にも同様の訴訟を起こし、最終的に金銭的な和解で決着させている点だろう。この事実から、同社が半導体業界の大手に対し、自社の特許を武器に積極的に権利行使を行う戦略をとっていることがうかがえる。

争点となる「ハイブリッド接合技術」

今回の訴訟における最大の争点、それは「ハイブリッド接合技術」に関する特許に他ならない。

なぜなら、この技術こそがAMDの「3D V-Cache」を支える根幹技術だからだ。CPUダイにSRAMキャッシュを垂直に積層するこの革新的なアプローチは、キャッシュメモリへのアクセス遅延を劇的に短縮し、特にゲーミング性能を大きく向上させた。近年のAMDの成功が、この技術によってもたらされたことは明白である。

つまりAdeiaは、AMDが市場で得ている成功の大部分は、元をたどれば自社の知的財産に依存したものであり、その対価が支払われていない、と主張しているわけだ。

今後の見通しとゲーマーへの影響

この訴訟の帰結として考えられるシナリオは、大きく二つに絞られるだろう。

一つは、AMDがAdeiaと和解交渉を行い、ライセンス契約を締結するというものだ。過去のNVIDIAの事例を踏まえれば、これが最も現実的な落としどころだと考えられる。しかし、当然ながらライセンス料の支払いは製品の製造コスト増に直結する。結果として、3D V-Cacheを搭載したCPUの販売価格が、将来的に引き上げられる可能性は否定できない。

そしてもう一つは、裁判所の判断により、当該技術の使用差し止めが命じられるという最悪のシナリオだ。これが現実となれば、AMDは3D V-Cache搭載製品の製造・販売が不可能となる。Intel製CPUに対する最大の武器を失うことは、AMDにとって計り知れないダメージとなるだろう。

現時点でAMDから公式な声明はない。しかし、事業継続性を鑑みれば、最終的には金銭的解決、すなわち和解へと向かう公算が大きい。とはいえ、その交渉の行方によっては、我々が手にする製品の価格体系に影響が及ぶことは避けられない。この訴訟の動向は、今後のCPU市場の勢力図を占う上で、注意深く見守る必要があるだろう。

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