PCショップ店員として、自作PCの組み立て後に必要な手順を詳しく解説したい。
POSTが成功しBIOS画面が表示されたところからが、実は重要な最適化フェーズの始まりとなる。大切なパーツの性能を最大限に引き出すため、一つずつ丁寧に設定していこう。
目次
Step 1: まずはBIOSアップデート
かつては「動いているなら触らない」が鉄則だったBIOSアップデートだが、現代では確実に行うべき作業だ。
最近のBIOSアップデートには、CPUやメモリの動作最適化、様々なバグ修正、新機能の追加など、実性能に直結する重要な更新が含まれている。
ASUSマザーの場合
- サポートページからBIOSファイルをダウンロード
- ファイルを解凍しUSBメモリに保存
- 起動時に「Delete」キー連打でBIOS画面に入る
- EZ Flashで更新
MSIマザーの場合
- サポートページからBIOSファイルダウンロード
- ファイルを解凍しUSBメモリに保存
- 起動時に「Delete」キー連打でBIOS画面に入る
- M-FLASHで更新
ASRockマザーの場合
- サポートページからBIOSファイルダウンロード
- ファイルを解凍しUSBメモリに保存
- 起動時に「F2」キー連打でBIOS画面に入る
- Instant Flashで更新
GIGABYTEマザーの場合
- サポートページからBIOSファイルダウンロード
- ファイルを解凍しUSBメモリに保存
- 起動時に「Delete」キー連打でBIOS画面に入る
- Q-Flashで更新
アップデート中に電源が落ちてしまわないように注意しよう。可能であれば他の機器が繋がっていないコンセントの使用をおすすめする。
Step 2: メモリの設定をしよう
現代のCPUは、メモリ性能の影響を大きく受ける。せっかく高性能なメモリを購入したのなら、その性能を最大限に引き出そう。
- BIOS画面開く
- メモリ設定のページへ(Easy Mode画面に表示されている事が多いので念入りに探そう)
- IntelならXMP、AMDならEXPOをON
- 保存して再起動(「F10」キーを押してOKを選択すれば、保存+再起動ができる)
Step 3: OSを入れていく
Windows 11をインストールしていこう
- インストールメディアを準備する(パッケージ版を購入するとUSBインストーラーが付属している)
インストーラーが無い場合はMS公式ページを参考に作成しよう - インストーラーを起動する(起動するだけで勝手にインストーラーが立ち上がる)
もし起動しない場合は起動時に「F11」や「F8」キーを連打し、ブートメニューでインストーラーを選択しよう - 指示に従ってインストール
最近のNVMe SSDなら15分もあれば終わる
ライセンスキーは最初の段階で入力しておくことをおすすめする
Step 4: ドライバとユーティリティ
マザーボードメーカーによって方法が異なる
ASUSマザー
- Armoury Crateを入れるだけで全て設定可能
- Armoury Crateのツール項目からドライバをインストール
- RGBもファンも全部ここで設定
- Armoury Crateのインストールだけでも時間が掛かるが、ドライバインストールは更に遅い
1時間以上かかる場合もあるが気長に待とう
MSIマザー
- MSI CENTERを入れるだけで全て設定可能
- MSI CENTERのサポート項目からドライバをインストール
- Mystic Light(RGB制御ソフト)もここからインストールし設定
- ASUSよりは早く終わる
ASRockマザー
- Auto Driver Installerを使ってドライバをインストール
- 他メーカーに比べ爆速で終わる
- RGB制御はPolychrome
- Polychromeを含めたとしても15分以内でインストールが終わる
GIGABYTEマザー
- GIGABYTE Control Centerを使ってドライバをインストール
- RGB Fusion 2.0も忘れずに
- App Center?そんなもの知らない…
Step 5: グラボドライバを入れよう
NVIDIAのグラボなら
- ゲーマーならGeForce Game Readyドライバーをインストールしよう
- 【GeForce Experience】は終了してしまうのでログインするのが面倒な人は【Nvidia アプリ】が安定するまで静観しよう
- 【Nvidia アプリ】は性能が下がったりクラッシュ報告が上がっているので今はまだ使わない方が良い。
AMDのグラボなら
- AMD Software: Adrenalin Editionを入れよう
- ドライバは自動でインストール
- FSRやAFMFの設定もここでできる
- 更新通知もしてくれる
- GPUの電圧・電力・クロック制限等自由自在に設定を変更できる。しかも非常に使いやすい。
Step 6: 動作確認を始めよう
CPUのテスト
Cinebench R23を使うのが一番簡単
- マルチコアテストを10分回す
- HWiNFOで温度監視(目安としては85度以下で安定すればOK)
- スコアがちゃんと出ていれば問題ない
- スコアはスマホで撮っとくと後で便利
GPUのテスト
FF15ベンチマークが一番手っ取り早い
- 無料で使える
- 高画質設定でテスト
- 85℃以下なら問題なし
Fortnite(レゴ)のテストもおすすめ(GPUの不良個体の判別におすすめ】
- 無料でプレイ可能
- DX12で画質設定を上げ、レイトレーシングを有効にして高負荷をかけることが可能
- フレームレート、温度、クロックが安定してるか確認
- コイル鳴きが怪しい個体の判別に特に有効
メモリのチェック
Memtest86を使用する
メモリの容量次第ではかなり時間がかかるので、寝る前に行うことを推奨する
- 4パス回ればOK
- エラー出たらXMP/EXPO設定見直しをするかメモリの返品交換しよう
Step 7: 細かい設定を済ませよう
電源プラン
- 高パフォーマンスに変更しなくてOK
- スリープは切っとくか長めの時間が無難
- ディスプレイの電源オフ時間は好みでいい
温度監視
- HWiNFO64入れとく
- センサー値をチェック
- ファン回転数も確認
※稀にマザーボードがPWMファンをDCファンとして認識することがあるので、設定は必ず確認しよう
トラブったときの対処法
画面が映らない
- グラボドライバ入れ直し
- テレビ等の別のモニターで試してみる
- ケーブル抜き差し
- メモリ差し直し
ブルースクリーン
- Windows Update確認
- ドライバ最新版に
- メモリテストしとく
- 最悪はクリーンインストール
動作不安定
- まず温度チェック
- 電源容量とベンチマーク中の消費電力の確認
- メモリ設定見直し(6000MHz超えだと不安定になる場合が多い)
まとめ:定期メンテも忘れずに
これらの初期設定を丁寧に行うことで、安定した高性能なシステムを手に入れることができる。
特にBIOSアップデートとメモリテストは、システムの信頼性を左右する重要なポイントだ。
定期的なメンテナンスも忘れずに
- 3ヶ月に1度のダスト除去
- 半年に1度のドライバ確認
- 1年に1度のCPUグリスの塗り替え(夏前がおすすめ)
- 温度やログの定期チェック
※この記事は実際の販売現場での経験と、最新のハードウェア動向に基づいています。製品の進化に伴い、最適な設定方法は変更される可能性があります。
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