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【煽ってる?】GIGABYTEがPCIeスロット耐久性をアピール – ASUSのQ-Release Slim問題を皮肉る動画が話題に【2025年3月最新情報】

GIGABYTEが自社のマザーボードに採用されている「EZ Latch Plus」機構の耐久性をアピールする動画を公開し、業界内で話題となっている。この動画は、ASUSの「Q-Release Slim」機構がグラフィックカードのPCIeコネクタに傷をつけるという問題を暗に皮肉ったものだ。PCパーツの取り付け・取り外しの容易さと耐久性のバランスについて、メーカー間での競争が可視化された形となっている。

GIGABYTEが「100回の抜き差し」テスト動画を公開

GIGABYTEの日本支社であるAORUS JPは、Z890 Aorus Elite WiFi7 Iceマザーボードに搭載されている「EZ Latch Plus」機構を使って、グラフィックカードの抜き差しを100回繰り返す動画をSNSで公開した。

動画内では「自信を持ってPC組立を始めましょう! GIGABYTEの定評ある簡単DIYかつ、超耐久性仕様により、スムーズで手間のかからない自作と、堅牢な信頼性をお楽しみいただけます。金色ゴールデンフィンガー接点の剥がれや金属エッジによる傷を心配する必要はもうありません」とのメッセージが添えられている。

テスト終了後にカメラに映し出されたグラフィックカードのPCIeコネクタ部分は、100回の抜き差し後も一切の傷や損傷がなく、新品同様の状態を維持していた。これは、ASUSの問題が明らかになってから約2ヶ月後のタイミングでの投稿であり、競合他社の問題を皮肉る意図が透けて見える内容だ。

ASUSのQ-Release Slim問題とは

この動画の背景には、今年1月に明らかになったASUSの「Q-Release Slim」機構に関する問題がある。ASUSの最新世代マザーボードに搭載されたこの機構は、グラフィックカードを取り外す際に、従来のラッチ解除ボタンを押す必要がなく、カードを2度ほど捻ってから引き抜くだけで取り外せるという設計になっている。

しかし、この機構を使用してグラフィックカードの抜き差しを繰り返すと、カードのPCIeコネクタ部分(金色の接点部)に目に見える傷が付くことが複数のユーザーやレビュアーから報告された。特に問題とされたのは、RTX 5090のような2,000ドル(約30万円)もする高価なグラフィックカードにまで傷がつくことで、製品の資産価値が低下する可能性があることだ。

ASUSはこの問題について「60回の連続抜き差しによる摩耗」であり、「機能や性能には影響しない表面的な傷」だと説明している。また、中国国内の顧客については保証対応を行うと発表したが、北米やその他の地域でどのように対応するかは明確になっていない。

各社のPCIeスロット解放機構の比較

現在、主要マザーボードメーカーはそれぞれ独自のPCIeスロット解放機構を採用している。主な方式は以下の通りだ

  1. ASUSのQ-Release Slim: カードを2度ほど捻って引き抜くだけで取り外せる。ボタン操作が不要で手が届きにくい場所でも操作しやすいが、前述の傷問題がある。
  2. GIGABYTEのEZ Latch Plus: マザーボード上のボタンを押してラッチを解除し、その後カードを引き抜く方式。従来からある方式を改良したもので、操作には若干の手の届きやすさが必要だが、コネクタに傷がつくリスクは少ない。
  3. ASUSの旧型Q-Release: Q-Release Slimの前身で、GIGABYTEのEZ Latch Plusと同様にボタンを押す方式。
  4. MSIのEZ PCIe Release: ボタン押下式のラッチ解除機構を採用。

昨今のPC構成では、大型のグラフィックカードや大型CPUクーラー、水冷システムなどによって、PCIeスロットのラッチにアクセスすることが物理的に難しくなっている。このため、各メーカーはより操作性の高い解放機構の開発を進めている。

しかし、ASUSのQ-Release Slimは操作性を向上させる一方で、カードに傷がつくリスクという新たな問題を生み出した格好となった。一方、GIGABYTEのようなボタン式は、ケース内の限られたスペースでボタンに手を伸ばす必要があるという従来からの課題が残されている。

ASUSの対応とユーザーへの影響

ASUSは中国で問題が発生したユーザーに対して、マザーボードの完全交換を含む対応を実施していると報じられている。しかし、北米部門は「問題はない」との立場を取っているとされ、グローバルでの対応に一貫性がない状況だ。

最も懸念されるのは、グラフィックカードに付いた傷による資産価値の低下だろう。特に高価格帯のRTX 5090などでは、将来の売却や下取りの際に価格に影響する可能性がある。多くのレビュアーが指摘するように、通常のユーザーがグラフィックカードを50回以上抜き差しする機会は少ないが、「出荷時の新品状態を維持できない」という点は高級パーツを購入するユーザーにとって重要な関心事だ。

ASUSは現在、Q-Release Slimの改良版を開発中であることを明らかにしているが、既存製品の問題をどのように解決するかについては明確な情報が少ない。

この問題から学べること

今回の問題は、PC自作における「操作性」と「耐久性」のバランスの重要性を改めて浮き彫りにした。特に注目すべきは以下の点だ

  1. 革新的な機構の導入には十分なテストが必要: ASUSのQ-Release Slimはアイデアとしては優れていたが、長期使用による影響が十分に検証されていなかった可能性がある。
  2. 価格帯に応じた耐久性の期待値: 特に高価格帯の製品では、ユーザーは長期間にわたる品質維持を期待する。
  3. メーカー間の競争が製品改良につながる: GIGABYTEのような競合他社の反応が、業界全体の品質向上に寄与する可能性がある。
  4. 適切なユーザーサポートの重要性: 地域によって対応が異なるASUSの姿勢は、グローバル企業として改善の余地がある。

筆者のコメント

PCパーツの取り付け・取り外しを容易にする機構は、特に昨今の大型化するコンポーネントを考えると非常に重要な機能だ。特にグラフィックカードは増加傾向にある大きさと重さで、PCIeスロットのラッチに手が届きにくくなっており、簡単に取り外せる機構の需要は高まっている。

GIGABYTEの動画は明らかに競合他社の問題を皮肉ったものだが、耐久性というメーカーとしての責任を強調している点は評価できる。しかし、操作性の面ではボタン式のEZ Latch Plusも完璧とは言い切れない。特に大型水冷システムを組んだPCでは、ボタンに手が届かないケースも想定される。

今後は、ASUSのアイデアの良い部分(ボタン不要の操作性)とGIGABYTEの耐久設計の良い部分を組み合わせた、より優れた解放機構が登場することを期待したい。また、グラフィックカードメーカー側も、取り外し時の傷がつきにくい設計を検討するなど、業界全体でこの問題に取り組むことが理想的だろう。

ユーザーとしては、マザーボード選びの際に、こうした細かい機能の違いにも目を向けることで、長期的に満足度の高いPC環境を構築できるはずだ。

※本記事は2025年3月現在の情報に基づいています。各メーカーの対応や製品仕様は変更される可能性があります。

情報・参考

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