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【深刻】RTX 5070 Tiも影響あり – NVIDIA、一部製品のROP欠損問題を正式認定、平均4%の性能低下と交換プログラムを発表【2025年2月最新情報】

NVIDIAがGeForce RTX 5090だけでなくRTX 5070 Tiの一部製品にも発生しているROP(Render Output Unit)欠損問題について公式に認め、対策を発表した。同社によると、影響を受けるのは出荷されたGPUの「0.5%未満」で、平均で4%のグラフィック性能低下が見られるという。

問題の詳細と確認方法

Techpowerupが初めて報告したこの問題は、一部のRTX 5090が本来搭載されるべき176基のROPに対して、168基しか有効化されていないというもの。新たにRTX 5070 Tiも本来の96基より少ない88基のROPしか機能していない製品が存在することが確認された。

前回詳しく解説したように、ROP(Render Output Unit)はGPUのレンダリングパイプラインの最終段階を担う重要なコンポーネントで、アンチエイリアシング、Z-バッファを用いたデプステスト、アルファブレンディングなどの処理を担当している。これらの処理はゲーム中に毎フレーム実行される基本的かつ膨大な処理であり、ROPユニットの減少は直接的に描画性能に影響する。特に4K解像度や高リフレッシュレート環境では、その影響がより顕著に表れる。

RTX 5070 Tiへの影響と性能低下

NVIDIAの発表で特に注目すべきは、この問題がRTX 5070 Tiにも影響していることだ。2月20日に発売されたばかりのこのモデルは、本来96基のROPを搭載しているが、一部の製品では88基に減少していると見られる。

実際の性能への影響については、TechpowerupのRTX 5090検証で示されたように、影響を受けた製品はElden RingStarfieldDoom Eternalなどの一部タイトルで約4-5%のパフォーマンス低下を示す。NVIDIAの公式声明でも「グラフィック性能への平均的な影響は4%」と認めており、これはTechpowerupの検証結果と一致する。

特にRTX 5070 Tiは、高画質4Kゲーミングの入門機として位置づけられており、デリケートな性能バランスの中で4%の性能低下は、特に要求の厳しいゲームタイトルではフレームレート安定性に直接影響を与える可能性がある。

影響を受ける製品と製造元

当初はZOTACの「RTX 5090 SOLID」モデルのみで報告されていたが、その後の調査で以下のメーカーのRTX 5090製品にも同様の問題が見つかっている

  • MSI RTX 5090D(中国向けモデル)
  • Manli RTX 5090D
  • Gigabyte RTX 5090 Gaming OC
  • Palitの一部モデル
  • Inno3Dの一部モデル

RTX 5070 Tiについては、現時点で特定のモデルに関する詳細な報告はないが、NVIDIAの公式声明により影響を受ける製品が存在することは確実となった。同様の問題が発生しているメーカーやモデルについては、今後のユーザー報告と検証が待たれる状況だ。

NVIDIAの公式声明

NVIDIAのグローバルPRディレクターであるBen Berraondo氏は、Wccftechへの声明で以下のように述べている

GeForce RTX 5090/5090DおよびRTX 5070 Ti GPUの0.5%未満に影響する稀な問題が特定されました。これらのGPUには、仕様より1つ少ないROPユニットが搭載されています。グラフィック性能への平均的な影響は4%で、AIおよびコンピュート処理への影響はありません。影響を受けるユーザーは、ボードメーカーに交換を依頼できます。この製造上の異常は修正されました。」

この声明で注目すべきは、RTX 5070 Tiも影響を受けていることが初めて公式に認められた点だ。NVIDIAの言及する「1つ少ないROP」という表現は、マーケティング的な観点から使われており、実際の技術仕様では8基のROP(ピクセル/クロック)に相当する。

ユーザーの対応方法

自分のGPUが影響を受けているかどうかを確認するには、「GPU-Z」などの診断ツールを使用してROP数を確認することが最も確実だ。

  • RTX 5090/5090D:正常なら176 ROPs、問題があれば168 ROPs
  • RTX 5070 Ti:正常なら96 ROPs、問題があれば88 ROPs

問題が見つかった場合、購入したメーカーのサポート窓口に連絡して交換手続きを行うべきだ。この問題はソフトウェアやBIOSの更新では解決できないハードウェアレベルの問題であり、交換が唯一の解決策となる。ただし、RTX 50シリーズの深刻な供給不足を考慮すると、交換品の入手には時間がかかる可能性が高い。

市場への影響と懸念

この問題がRTX 5070 Tiにまで及んでいることは、NVIDIA RTX 50シリーズの品質管理に対する懸念を大きく高める要因となる。特に以下の点が問題視されている

  1. 製品ラインナップ全体への影響:フラグシップだけでなく、より販売台数の多いミドルハイクラスにも問題が拡大
  2. 発売直後の問題発覚:5070 Tiが発売されたばかりの段階での問題確認は信頼性に大きく影響
  3. 供給不足下での交換対応:すでに深刻な供給不足の中での交換プログラム実施は市場混乱をさらに加速

これらに加え、RTX 5070/5060の発売遅延問題と合わせると、NVIDIA RTX 50シリーズの展開全体に深刻な疑問が生じている。

筆者のコメント

今回のROP欠損問題は、単なる製造上の偶発的な不具合というより、NVIDIA RTX 50シリーズ全体の品質管理と検証プロセスに根本的な課題があることを示唆している。特に発売直後のRTX 5070 Tiにまで同種の問題が発生していることは、GB202/GB203チップの製造プロセスにおける構造的な問題の可能性を示している。

ROP数の4.5%減少は、一見するとマイナーな問題に思えるかもしれないが、ハイエンドゲーミング体験を求めて高額な投資をするユーザーにとっては無視できない性能差となる。特にCyberpunk 2077Alan Wake 2などのレイトレーシング有効時には、わずか数FPSの差が、滑らかな描画と微妙なスタッターの違いになり得る。

NVIDIAのGB202/GB203チップは、従来のAda Lovelaceアーキテクチャから大幅な変更が加えられており、特にGPUの基本的な処理ユニットであるSMやROPの構成が最適化されている。そのような設計変更の中で品質管理プロセスが追いついていない可能性もある。

ユーザーとしては、すでにRTX 5090や5070 Tiを所有している場合は速やかにROP数を確認すべきだ。購入を検討している場合は、少なくとも数週間は様子を見ることをお勧めする。特にRTX 5070 Tiについては、3月発売予定のAMD RX 9070 XTの性能とも比較検討する価値があるだろう。

※本記事はNVIDIAの公式声明およびTechpowerupの検証に基づいています。状況は日々変化しており、新たな情報が入り次第更新いたします。

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