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【朗報】ASUS、800シリーズマザーボードのQ-Release Slim機構を密かに改修 – GPUのPCI-Eインターフェイス損傷問題を解決【2025年3月最新情報】

ASUSが800シリーズマザーボードに搭載されていたQ-Release Slim機構を公表せずに改修し、GPUのPCI-Eインターフェイスに傷や欠けを引き起こす問題を解決した。新たに発売されたROG Crosshair X870E Apexマザーボードの最新版では、問題の原因とされていた電力スロットとデータスロットの間にある金属部品が完全に除去されていることが確認された。この改修により、高価なグラフィックカードへのダメージリスクが大幅に軽減されることになる。

問題の発端と経緯

Q-Release Slim機構はASUSが800シリーズマザーボードで導入した機能で、PCI-E x16スロット端にあるボタンを押さずにGPUを簡単に取り外せるようにする便利な仕組みだ。しかし、この機構が原因でGPUのPCI-Eインターフェイスに傷や欠けが生じるという報告が相次いでいた。

特に多かったのは、PCI-Eスロットの一角が欠けるというケースだ。初期にASUSはこのような損傷がQ-Release Slim機構によって発生する可能性を否定していなかったが、公式にはこれを「通常の摩耗」と位置づけていた。ASUSによれば、内部テストでは60回以上の抜き差し後に摩耗が見られるとのことだが、実際のユーザー体験は大きく異なっていた。

改良されたQ-Release Slim機構の詳細

改良点が確認されたのは、Neweggでリスティングされている新製品のASUS ROG Crosshair X870E Apexマザーボードだ。@UnikosHardwareが報告したように、PCI-E x16スロット内部の金属部分、特に電力スロットとデータスロットの間にあった金属部品が完全に取り除かれている。

これまでのQ-Release Slim搭載マザーボードでは、この金属部品によってPCI-Eスロットの仕切りがわずかに厚くなっていた。ASUSはこの特定の金属部品がGPUのPCI-E接続部に傷をつける原因であると特定し、除去したと見られる。

Q-Release機構自体はマザーボードに残されており、機能としては維持されている点に注目だ。これにより、簡単なGPU取り外し機能を保ちながら、損傷リスクを軽減するという最適解が実現された形だ。

ユーザーへの影響と補償

ASUSは当初から、このような傷はGPUの性能や信頼性に影響を与えることはないと主張していた。しかし、高級マザーボードを購入したユーザーにとって、同様に高価なGPUに物理的な損傷が生じること自体が大きな懸念材料だった。

報告が相次いだことで、ASUSは最終的にGPUの損傷に対して保証でカバーすることを表明し、影響を受けたユーザーは同社に連絡するよう案内した。また、GPUの正しい取り外し方法に関するガイドラインも公開している。

現時点では、この改良されたマザーボードを使用したテストはまだ見つかっていないため、問題が完全に解決されたかどうかの確認はこれからだ。ただし、傷の原因と思われる金属部品を取り除いたことで、大幅な改善が期待される。

競合他社の反応

この問題を受けて、GIGABYTEはASUSを皮肉る形で自社のEZ Latch Plus機能をアピールする動きを見せた。Aorus Japanのソーシャルメディアでは、自社の同様のクイックリリース機能が「100回の抜き差し後でもGPUのピンに傷をつけない」と主張し、それを証明する動画まで公開している。

今回のASUSの設計変更は、同社の中国部門が以前に「機能の改訂版に取り組んでいる」と発言していたことを裏付けるものだが、北米を含む他の地域では正式な声明が出されていない。GIGABYTEの反応は、PCパーツメーカー間の競争の激しさと、ブランドイメージを守るための素早い対応の重要性を示している。

筆者のコメント

ASUSがQ-Release Slim機構の問題を公式発表なしで修正したことは、技術的な解決策としては評価できるが、情報開示の透明性という点では疑問が残る。高級マザーボードのユーザーにとって、自分の製品が潜在的な問題を抱えているかどうかは重要な情報だ。

特に気になるのは、すでに問題のある初期バージョンのQ-Release Slim機構を搭載したマザーボードを使用しているユーザーへの対応だ。傷は「表面的なもので性能に影響しない」とはいえ、数十万円のGPUに傷がつくことに不安を感じるユーザーは多い。ASUSは保証対応を約束しているが、より明確かつ積極的なコミュニケーションが望まれる。

RTX 5090などの高価なGPUを使用するユーザーにとって、数十万円の投資を保護することは非常に重要だ。小さな金属部品一つが高価なハードウェアに損傷を与える可能性があるという事実は、製品設計における細部の重要性を再認識させる例と言えるだろう。

今回の事例は、革新的な機能を導入する際のテスト不足の危険性と、問題発生時の迅速かつ透明性のある対応の重要性を示している。競合他社が早速この問題を利用して自社製品のアピールに乗り出したことからも、ハイエンド市場での信頼性やブランドイメージの重要性が浮き彫りになった形だ。

※本記事はUnikosHardwareの報告およびTom’s Hardwareなどのニュースソースに基づいています。製品の詳細や保証に関しては、ASUSの公式サイトで最新情報をご確認ください。

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