AMDが最新GPU「Radeon RX 9070/9070 XT」の発売に合わせ、最新ドライバー「Adrenalin Edition 25.3.1」をリリースした。今回のアップデートはRDNA 4 GPUのサポートだけでなく、機械学習ベースの「FSR 4」や改良された「AMD Fluid Motion Frames 2.1」など、多くの新機能を実装している。
新製品サポート
今回のドライバーは以下の製品をサポート
- Radeon RX 9070 XT
- Radeon RX 9070
- Radeon RX 7650 GRE
- Ryzen AI Max+ 395
- Ryzen AI 5 PRO 340 (Radeon 840M)
- Ryzen AI 7 PRO 350 (Radeon 860M)
- Ryzen AI 5 340 (Radeon 840M)
- Ryzen AI 7 350 (Radeon 860M)
- Ryzen 9 9955HX with Radeon Graphics
- Ryzen 9 9850HX with Radeon Graphics
- Ryzen 9 9955HX3D with Radeon Graphics
注目の新機能
AMD FSR 4(FidelityFX Super Resolution 4)
RX 9070シリーズ専用の最新アップスケーリング技術。機械学習ベースの新しいアルゴリズムを採用し、より高品質な画像生成を実現している。
特筆すべき点
- AMD Software内の「アップグレードトグル」機能により、FSR 3.1サポートゲームを自動的にFSR 4にアップグレード
- 現時点で30以上のゲームをサポート
- RX 9070シリーズ限定機能(専用ハードウェアの「AI Accelerator」を活用)
AMD Fluid Motion Frames 2.1(AFMF 2.1)
フレーム生成技術の最新版がリリース。前バージョンからの改良点
- ゴースティング(残像)の低減
- 時間的トラッキングの改善による画質向上
- Radeon RX 6000/7000/9070シリーズおよびRyzen AI 300シリーズをサポート
AIエンハンスド機能(RX 9070シリーズ専用)
新しいAI機能が追加
- AMD Chat: GPUアクセラレーション対応のローカルオフラインチャットボット。テキストおよび画像生成機能を持ち、ハードウェアについての質問に回答
- AMD Image Inspector: AIを活用してゲーム品質の改善を加速するための診断データキャプチャツール
- AMD Install Manager: AMDソフトウェアのインストールを管理する新アプリケーション。「自動更新」機能も搭載
AMD Radeon Image Sharpening 2
RX 9070シリーズ専用の改良版シャープニング技術
- より強力で反応性の高いシャープニングを提供
- ゲーム、ビデオ、デスクトップ全体に適用可能
ゲームサポートとパフォーマンス改善
新ゲームサポート
- FragPunk
- Split Fiction
AI性能向上(Radeon RX 7000シリーズ)
- Adobe Lightroom AI enhance detail: 最大70%向上
- Adobe Lightroom Denoise: 最大13%向上
- Topaz Photo AI: 最大40%向上
- DaVinci resolve AI: 最大10%向上
HYPR-RX対応拡張
- HYPR-Tuneサポートにより、AMD FidelityFX Super ResolutionやRadeon Anti-Lag 2などのゲーム内技術を有効化
- 以下のゲームでのFSR+フレーム生成の自動設定に対応
- Farming Simulator 25
- S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl
- Silent Hill 2
開発者向け機能
- RDNA 4およびRDNA 3.5アーキテクチャをサポートする機械可読なGPU命令セットアーキテクチャ(ISA)仕様を更新
- AMDの「Driver Experiments」ツールを含むRadeon Developer Tool Suite(RDTS)の更新(RX 9000シリーズ対応版は近日公開予定)
- Vulkan拡張サポートの追加(VK_EXT_depth_clamp_control)
修正された問題
- OBS Studio+Twitchでの配信時にHEVCエンコードが正常に動作しない問題
- 一部のAMD製品でWarhammer 40,000: Space Marine 2プレイ中にドライバータイムアウトやクラッシュが発生する問題
- Radeon RX 7000シリーズでDelta Forceのパフォーマンスが低下する問題
- FSR 3フレーム生成有効時にMarvel Rivalsで断続的な画面カクつきが発生する問題
既知の問題
- AMD Image Inspector有効時にMarvel’s Spider-Man 2やRatchet & Clank: Rift Apartでクラッシュする問題
- ドライバインストール直後にMicrosoft Edgeでのユーチューブパフォーマンスが低下する問題
- ROPカウント検出を行うサードパーティツールが誤って64 ROPsと表示する問題
- Counter-Strike 2でMSAA x8使用時にガンマが不正確になる問題
- Radeon RX 9000シリーズでAssetto Corsa Competizioneのパフォーマンスが低下する問題
- Indiana Jones and the Great Circleで特定の設定時にクラッシュする問題
筆者のコメント
今回のAdrenalin 25.3.1ドライバーは、RX 9070シリーズの発売に合わせたタイミングで、非常に充実した内容となっている。特に注目すべきは、AMDが初めて機械学習ベースのアップスケーリング技術「FSR 4」を導入した点だ。これまでNVIDIAのDLSSが機械学習の恩恵を受けていたのに対し、AMDも同様のアプローチを採用したことで、両社の技術格差が縮まる可能性がある。
また、AFMF 2.1へのアップデートも重要だ。ドライバレベルのフレーム生成技術として、特にゴースティングの低減は多くのユーザーが要望していた改善点であり、ゲームプレイ体験を大きく向上させるだろう。
AI関連の新機能も興味深い。特に「AMD Chat」はGPUアクセラレーションを活用したローカルチャットボットという点で、プライバシーを重視するユーザーには魅力的だろう。また「AMD Install Manager」の自動更新機能は、常に最新ドライバーを維持したいユーザーにとって便利な機能となる。
一方で「既知の問題」リストは少々懸念材料だ。特に人気タイトルでのクラッシュ問題やパフォーマンス低下は早急な修正が望まれる。また、ROPカウント検出の問題は、最近のRTX 50シリーズの「ROP欠損問題」を想起させるものだが、AMDはこちらは単にサードパーティツールの表示問題であると明記している点は安心材料だ。
総じて、RX 9070シリーズ発売と同時に充実した機能を持つドライバーを提供した点は評価に値する。特にFSR 4とAFMF 2.1の組み合わせにより、ゲームの視覚的クオリティと滑らかさが両立することに期待したい。
※本記事はAMDの公式リリースノートおよびWccftechの記事に基づいています。実際の機能や効果は環境によって異なる場合があります。
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