NVIDIAが待望のGeForce RTX 5060シリーズの発売スケジュールを変更したことが明らかになった。Board Channelsの報告によると、AIBパートナー(Add-in-Board Partner)に対して発売延期の通知が行われ、RTX 5060 Ti(16GB/8GBモデル)は4月中旬、RTX 5060(8GB)は5月中旬へと発売時期が後ろ倒しになる見込みだ。これにより、ミドルレンジGPU市場における展開が当初予定よりも遅れることになる。
RTX 5060シリーズ延期の詳細
NVIDIAは電子メールを通じて全AIBパートナーに対し、RTX 5060 TiおよびRTX 5060シリーズの発売延期を正式に通知した。当初3月発売と噂されていたRTX 5060 Tiは、現在「4月中旬」に延期されており、RTX 5060に至っては「5月中旬」まで発売されない見込みだ。
Board Channelsから漏洩した情報によると、NVIDIAは以下のスケジュールを新たに設定している
- RTX 5060 Ti(16GB/8GB):4月中旬発売予定
- RTX 5060(8GB):5月中旬発売予定
ただし、正確な発売日については「NVからの追加通知による」とされており、今後さらに変更される可能性も残されている。
延期の背景と可能性
延期の具体的な理由については公式な説明がないが、以前から「バグの修正」や「供給問題」がRTX 5060シリーズの発売を遅らせる要因として噂されていた。特に、直近で発売されたRTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Ti、RTX 5070はいずれも深刻な供給不足に見舞われており、NVIDIAがローエンド市場への供給を確保するために調整を行っている可能性がある。
また、この発売延期はAMDのRX 9060シリーズの発売時期と重なる可能性が高まっている。AMDのRX 9060 XTおよびRX 9060も第2四半期(4-6月)の発売が予想されており、特にRX 9060 XTは8GBと16GBのバリアントが登場すると噂されている。NVIDIAは競合製品との直接対決を意識して発売時期を調整した可能性もある。
RTX 5060 TiとRTX 5060の仕様
延期の発表があったものの、RTX 5060シリーズの仕様については大きな変更はないとされている。現時点で予想される仕様は以下の通りだ
RTX 5060 Ti
- GPU:GB206-300(PG152 SKU 15/10)
- CUDAコア:4,608基
- メモリ:16GB/8GB GDDR7
- メモリクロック:28 Gbps
- メモリバス:128-bit
- メモリ帯域幅:448 GB/s
- TDP:180W
- 想定価格帯:400-500ドル(約6-7.5万円)
RTX 5060
- GPU:GB206-250(PG152 SKU 25)
- CUDAコア:3,840基
- メモリ:8GB GDDR7(12GBモデルの可能性あり)
- メモリクロック:28 Gbps
- メモリバス:128-bit
- メモリ帯域幅:448 GB/s
- TDP:150W
特筆すべきはGDDR7メモリの採用により、前世代のRTX 4060 Ti(288 GB/s)と比較して大幅に向上したメモリ帯域幅だ。TDPも若干増加しているが、これは性能向上と引き換えに電力効率が犠牲になっている可能性を示唆している。
また最近のリークでは、RTX 5060の12GBバージョンについても言及されており、これが実現すればAMDのRX 9060(8GB予想)に対して優位に立てる可能性がある。
GTC/GDC 2025での発表なし
多くの観測筋が、NVIDIA主催のGTC 2025や同社がブースを出展していたGDC(Game Developers Conference)でRTX 5060シリーズの発表があると予想していたが、結果的にこれらのイベントでの発表はなかった。これらのイベントはゲーミングGPUの発表には最適とは言えないが、期待していたファンにとっては失望の結果となった。
一方、今回の延期情報がEmbargo(情報解禁)の更新によるものであることから、NVIDIAが既に一部メディアに対してRTX 5060シリーズの情報を提供していた可能性も考えられる。このことは製品開発自体は概ね完了しており、発売時期の調整が主な焦点であることを示唆している。
RTX 5050の噂も
今回の延期に関連して、さらに下位モデルとなるRTX 5050の開発も進行中であるという情報も浮上している。これはより低価格帯を狙った製品になると予想されるが、具体的な仕様や発売時期についてはまだ明らかになっていない。
筆者のコメント
RTX 5060シリーズの発売延期は、昨今のNVIDIAの戦略と市場状況を考えると意外ではない。RTX 5090からRTX 5070までの高価格帯モデルが深刻な供給不足と価格高騰に悩まされている中、ミドルレンジの5060シリーズを予定通り投入することは、さらなる供給問題を引き起こす可能性があった。
また、AMDのRX 9070シリーズが好調な売れ行きを見せていることも、NVIDIAに戦略の再考を促した要因であろう。RX 9060シリーズの発売時期に合わせることで、より競争力のある製品ラインナップと供給体制を整えることができる。
個人的に最も興味深いのは、RTX 5060 Tiのメモリバリエーションだ。8GBと16GBの両モデルが同時発売される予定というのは、NVIDIAがようやくVRAM容量の重要性を認識したことを示している。最近のゲームでVRAM使用量が増加する傾向を考えると、16GBモデルは長期的な使用を考えるユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。
いずれにせよ、4月から5月にかけてはミドルレンジGPU市場が大きく動く時期となりそうだ。供給状況と価格設定次第では、長らく高騰していたGPU市場にようやく手頃な選択肢が登場するかもしれない。
※本記事はVideocardzおよびwccftechの記事情報に基づいています。正式な発表までは仕様や発売日が変更される可能性があります。最新情報はNVIDIA公式サイトでご確認ください。
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