ComputerBaseフォーラムのユーザーによる詳細なベンチマーク検証により、RTX 5070 TiのROP(Render Output Unit)欠損問題による性能低下が、NVIDIAの公称値4%を大きく上回る最大11%に達することが明らかになった。
問題の実態と性能低下
独自のベンチマーク検証では、以下のような性能差が確認された
3DMarkスコア比較
- Time Spy:欠損品 24,755 / 正常品 27,727(-10.7%)
- Speed Way:欠損品 7,046 / 正常品 7,665(-8.1%)
- Steel Nomad:欠損品 6,223 / 正常品 6,436(-3.7%)
この結果は、NVIDIAが公式に発表した「平均4%の性能低下」という説明とは大きく異なっている。特にTime Spyでは10%を超える性能低下が確認され、ベンチマークの種類によって影響度が大きく異なることが判明した。
ROPの重要性とその影響
前回の記事で詳しく解説したように、ROPはGPUの最終描画段階で重要な役割を果たす。今回の問題では
- 正常品:96 ROPs
- 欠損品:88 ROPs(8.3%減少)
この約8%のROP数減少が、場合によっては10%を超える性能低下につながることが実証された。特にピクセル処理やデプステストが重要なアプリケーションで、その影響が顕著に表れている。
広がる問題の範囲
MSI Gaming Trioでも同様の問題が確認されたことで、この欠陥はメーカーを問わない製造上の問題であることが確実となった。現在までに
- ZOTAC
- Gigabyte
- MSI
- Colorful
- ASUSの一部モデル
で問題が報告されている。
RTX 5070発売延期との関連
ComputerBaseの報道によると、この問題がRTX 5070の発売延期(3月上旬へ)の一因となっている可能性が指摘されている。RTX 5070 TiとRTX 5080は同じGB203チップを使用しているが、現時点でRTX 5080での問題報告はない。
対応策と今後の展開
NVIDIAは影響を受けるユーザーに対して、ボードパートナーを通じた交換プログラムを提供すると発表。ただし、RTX 50シリーズ全体の深刻な供給不足により、交換品の入手には時間がかかる可能性が高い。
※PCショップによっては返金対応しか受け付けていないところもある。
筆者のコメント
ComputerBaseフォーラムでの詳細なベンチマーク結果は、この問題の深刻さを改めて浮き彫りにした。NVIDIAが公表した「4%の性能低下」という数字は、最も影響の少ないケースを基準にした可能性が高く、実際のゲーミング性能への影響はより深刻である可能性が高い。
特に気になるのは、ROPの欠損が性能に与える影響がワークロードによって大きく異なる点だ。一般的なベンチマークでは10%以上の性能低下が確認される一方、特定のワークロードでは影響が比較的小さいケースもある。これは、ユーザーの使用環境や目的によって、問題の重大性が大きく変わることを意味する。
現在RTX 5070 Tiを所有しているユーザー、または購入を検討しているユーザーは、GPU-Zを使用してROP数を必ず確認すべきだ。88 ROPsと表示される場合は、パフォーマンスに明確な影響があると考えられ、交換プログラムの対象となる。
ただし、現在のGPU市場の状況を考えると、交換品の入手にはかなりの時間がかかる可能性が高い。3月に予定されているAMD RX 9070シリーズの発表も視野に入れた判断が必要かもしれない。
※本記事はComputerBaseフォーラムのベンチマーク結果およびNVIDIAの公式発表に基づいています。ベンチマーク環境や条件により、実際の性能は異なる可能性があります。
情報・参考


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