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【実力検証】Ryzen 5 9600は「実質9600X」なのか – わずか1,000円の差でほぼ同等の性能、初期ベンチマークが明らかに【2025年3月最新情報】

AMDがZen 5アーキテクチャ採用の「非X」モデルとして投入したRyzen 5 9600が市場で徐々に入手可能になってきた。9600Xと比較してわずか約1,000円安い価格設定(2025/03/28時点の価格.com情報)ながら、スペックや性能はほぼ同等という興味深い製品だ。最新のPassMarkベンチマークでは、Ryzen 5 9600Xとの性能差はわずか2-3%程度にとどまることが明らかになった。本記事では、Ryzen 5 9600の実力と位置づけを検証する。

Ryzen 5 9600の主なスペック

Ryzen 5 9600は、AMDの最新Zen 5アーキテクチャを採用した6コア12スレッドのデスクトップCPUだ。その主なスペックは以下の通り

  • コア/スレッド: 6コア / 12スレッド (SMT対応)
  • ベースクロック: 3.8 GHz(9600Xは3.9 GHz)
  • 最大ブーストクロック: 5.2 GHz(9600Xは5.4 GHz)
  • L3キャッシュ: 32 MB
  • TDP: 65W
  • 製造プロセス: TSMC 4nm FinFET (CPUコア), TSMC 6nm FinFET (I/Oダイ)
  • ソケット: AM5
  • 対応チップセット: A620, X670E, X670, B650E, B650, X870E, X870
  • 内蔵グラフィックス: Radeon グラフィックス (2コア、2200 MHz)
  • 付属クーラー: AMD Wraith Stealth
  • 発売日: 2025年2月19日

9600Xとの主な違いは、ベースクロックが100MHz、ブーストクロックが200MHz低いことだ。また、9600には付属CPUクーラー(Wraith Stealth)が同梱されている点も大きな違いだ。

PassMarkベンチマークで判明した実性能

PassMarkの初期ベンチマーク結果によると、Ryzen 5 9600の性能は以下の通り

  • マルチスレッド性能: 29,369ポイント(9600Xは30,016ポイント、差は約2.2%)
  • シングルスレッド性能: 4,433ポイント(9600Xは4,581ポイント、差は約3.2%)

この結果から、クロック周波数の違いにもかかわらず、実際の性能差はわずか2-3%程度に抑えられていることが分かる。なお、現時点ではサンプル数が4件と少ないため、今後より多くのテスト結果が集まることで数値が変動する可能性もある。

前世代からの性能向上

Ryzen 5 9600は前世代のRyzen 5 7600と比較して、以下のような性能向上を実現している

  • マルチスレッド性能: 約8.5%向上
  • シングルスレッド性能: 約13.4%向上

特にシングルスレッド性能の向上は顕著で、これはZen 5アーキテクチャの優れたIPC(命令あたりサイクル数)改善を反映している。ゲームパフォーマンスに直結するシングルスレッド性能が大幅に向上したことは、ゲーマーにとって大きな意味を持つ。

価格と市場での位置づけ

現在の最安価格は以下の通り(2025/03/28時点)

  • Ryzen5 9600X: 39,998円
  • Ryzen5 9600 : 39,000円

この微妙な価格設定は、AMDの戦略として興味深い。実質的には「ほぼ同じCPUをわずかに異なる価格帯で提供」しているからだ。ただし、9600には付属クーラーが付いている点を考慮すると、CPUクーラーを別途購入する必要がない分、コストパフォーマンスは9600の方が優れていると言える。

Ryzen 5 9600はどんなユーザーに向いているか

本製品の特性を考慮すると、以下のようなユーザーに特におすすめだ

  1. 予算を抑えたいゲーマー: わずかな性能差で価格を抑えられるため、コストパフォーマンス重視のゲーマーに適している
  2. CPUクーラーを新たに購入したくないユーザー: 付属のWraith Stealth coolerで十分な冷却が可能
  3. 軽〜中程度のクリエイティブワーク: 6コア12スレッドは、軽〜中程度の動画編集や画像処理にも十分な性能を発揮

一方で、以下のようなユーザーには9600Xや上位モデル、あるいはX3Dモデルを検討する方が良いだろう

  1. 最大限の性能を求めるゲーマー: 最後の数%の性能にもこだわるなら9600Xや9700X
  2. 重度のクリエイティブワーク: 頻繁にレンダリングや高負荷処理を行うなら、8コア以上の上位モデルがおすすめ
  3. 高度なオーバークロックを楽しみたいユーザー: 9600Xの方がわずかにオーバークロックの余地が大きい

X3Dバージョンの可能性

現在、Ryzen 5 9600X3Dについての公式発表はないものの、複数の情報筋によると、AMDはRyzen 5 7600X3Dの後継として9600X3Dを準備している可能性があるという。ただし、一部の小売店のみでの限定販売になる可能性も指摘されている。

ゲーミングに特化したX3Dモデルの登場を期待するユーザーは、当面の間、情報を待つ必要がありそうだ。

今後のAM5プラットフォームの展望

現在、Ryzen 9000シリーズとしては、9600/9600X、9700X、9900X、9950X、そして9800X3D、9900X3D、9950X3Dが発表されている。今後、AMDは非Xバージョンとして、Ryzen 7 9700、Ryzen 9 9900、Ryzen 9 9950などを追加する可能性が高い。

これはAM4プラットフォームでも同様のパターンが見られたことから、AMDの通常の製品展開戦略と一致している。X3Dモデルについては、既に主要なラインナップが発表されているため、追加の可能性は低いと予想される。

筆者のコメント

Ryzen 5 9600は、実質的には「付属クーラー付きの少し安い9600X」と表現するのが最も適切だろう。2-3%の性能差は実使用では体感できず、価格差もわずかであることを考えると、CPUクーラーが付属する9600の方がコストパフォーマンスに優れていると言える。

特に自作初心者や、シンプルに組み立てたいユーザーにとって、別途CPUクーラーを選択・購入する手間が省ける点は大きな魅力だ。Wraith Stealthクーラーは決して最高性能ではないが、標準的な使用であれば十分な冷却能力を持っている。

また、Zen 5アーキテクチャの恩恵を受けた高いシングルスレッド性能(前世代比13.4%向上)は、ゲームプレイに大きく寄与する。最新のAAA級ゲームタイトルでも、高フレームレートでの動作が期待できるだろう。

最終的な購入判断は、わずかな価格と性能の差よりも、CPUクーラーが必要かどうかという点が鍵になるだろう。これからPCを新規に組み立てるユーザー、特に初めての自作PCに挑戦する方には、シンプルさと十分な性能を兼ね備えたRyzen 5 9600は非常に魅力的な選択肢と言えるだろう。

※本記事の情報はPassMarkのベンチマーク結果およびAMD公式情報に基づいています。今後のドライバやBIOSのアップデートにより、性能が変化する可能性があります。

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