NVIDIAの最新世代「GeForce RTX 50シリーズ」がハイエンド市場で存在感を強めている現在、その中核を担うRTX 5080については、性能評価と製品仕様を巡って評価が真っ二つに分かれているのが実情だ。
その処理能力(ラスタライズ性能)は、条件次第ではRTX 4090に迫る、あるいは肉薄するケースも見られるほどの素晴らしいポテンシャルを見せつけている。
しかし、その一方で発売当初から現在に至るまで、ユーザーを悩ませ続けている致命的な欠点がある。
「VRAM 16GB」の壁だ。
2026年の重量級AAAタイトルにおいて、RTX 4090並みのコア性能を持ちながらメモリ容量だけが16GB(4090は24GB)という仕様は、4K解像度やパストレーシング環境下で明らかなボトルネックとなっている。
なぜNVIDIAは、これほどの高性能コアに16GBしか載せなかったのか? その答えとなりそうな「幻のスペック」に関する情報が聞こえてきた。
「32GB版」は“計画段階で検討されていた”可能性
リーク情報によると、RTX 5080には開発段階において、「32GB構成が検討されていた」可能性があるという。
しかし、それは我々自作PCユーザーがショップで購入するためのものではなく、どうやらクラウドゲーミングサービス「GeForce Now」のサーバー用として計画されていたようだ。
この話は妙に筋が通る。
GeForce Nowの上位プランでは、複数のユーザーにリソースを分割割り当てしたり、あるいは超高解像度ストリーミングを安定供給するために、コンシューマー機以上のVRAMマージンが求められる。
サーバーサイドの運用においては、将来的なタイトル拡張や同時セッション数を考慮すると、「16GB」はあまりに心もとない。だからこそ、NVIDIAは自社サービスのために、特別にVRAMを倍増させた「RTX 5080 32GB」を用意していた(あるいは検討していた)というわけだ。
我々が「16GB」に甘んじなければならなかった理由
では、なぜその32GB版を市販してくれなかったのか。
答えは、RTX 5080の256-bitメモリバスという仕様と、コストの兼ね合いにある。
RTX 5080が採用しているGDDR7メモリにおいて、256-bitバスで32GBを実現するには、以下のどちらかの手法が必要になる。
- クラムシェル実装: 基板の表と裏にメモリチップを貼り付け、物理的に枚数を倍にする。
- 高密度(4GB)チップの採用: 製造コストが高い、あるいは当時まだ供給が不安定だった大容量チップを使う。
サーバー向けであれば、コスト度外視のクラムシェル構成も許されるだろう。しかし、数を出さなければならないコンシューマー向け製品において、NVIDIAはコスト増を嫌った。「ゲーマーには16GBで十分」という判断のもと、コストパフォーマンス(と言っても高額だが)と製品ラインの整合性を優先した結果が、現在のRTX 5080というわけだ。
性能が良いだけに悔やまれる「寸止め」仕様
発売から時間が経ち、RTX 5080の「コア性能は4090級、VRAMは4080級」というアンバランスさは、実際のゲームプレイでも顕著に現れている。
最新タイトルで4K/最高設定を狙うと、GPU使用率は余裕があるのにVRAMが溢れてフレームレートが急落する現象に遭遇したユーザーも多いはずだ。そのたびに「ここにあと8GBあれば……」「実はRTX 5070 Tiの性能で十分だったのではないか……」と歯噛みすることになる。
今回の「32GB版はクラウド向けだった」という噂が真実であれば、NVIDIAは我々には売らない選択をしたことになる。
これは将来投入されるかもしれない「RTX 5080 Ti / SUPER(24GB版?)」への布石なのか。それとも「より多くのVRAMを求めるならRTX 5090を選べ」という、NVIDIAなりの明確な住み分けなのか。
いずれにせよ、2026年の今、RTX 5080は「最強のエンジンを積んだ軽トラック」のように、性能自体は余っているのに積載量で先に限界が来るもどかしさを抱えたまま、今日もゲーマーのデスクでファンを回し続けている。






















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