はじめに
自作PCの世界に足を踏み入れた初心者の皆さん、メモリ構成について大切なことを知ってほしい。
特に、メモリ4枚差しについては注意が必要だ。なぜなら、これを安易に勧める人の多くは、実際の問題に直面したことのない「にわか」だからだ。
メモリ4枚差しの問題点
1. 速度向上の誤解
多くの人が勘違いしているが、一般向けPCのCPUは通常、デュアルチャンネルまでしか対応していない。つまり、4枚差ししてもクアッドチャンネルにはならず、速度が上がるわけではない。
細かいことを言うと4枚差しと2枚差しでは速度に差が出る場合もあるが、一般的には体感できるレベルではない。
文句を言いたい人はコメントに書こう。
2. 信頼性の低下
部品点数法という考え方がある。これは信頼性工学の観点から、部品数が増えるほどシステム全体の故障率が上がるというものだ。
つまり、メモリを4枚使うと、2枚使う場合と比べて故障のリスクが高まる。
3. 相性問題
メモリ4枚を完璧に揃えるのは難しい。ロットの違いによる微妙な差異が問題を引き起こすことがある。これはDDR4でも同じだ。特にAMDのCPUはメモリとの相性問題が出やすいが、Intelでも安全とは言えない。
不具合が出た際の検証も面倒になるので自作初心者や経験の浅い人は2枚差しにしよう。
推奨されるメモリ構成
1. 2枚差しが基本
安定性と性能を両立させるなら、2枚差しが最適だ。必要な容量を2枚で確保しよう。例えば、16GBなら8GB×2、32GBなら16GB×2という具合だ。
2. 容量の選び方
- 一般用途(ウェブ、オフィス作業):16GB
- クリエイティブ作業(動画編集、3DCG)/マルチモニター環境でのゲーミング:32GB
- 高負荷ゲーミング、仮想化、affter effects、生成AI(RAM使用):64GB以上
16GBでもゲームはできるが、2画面以上のマルチモニター構成の場合は32GBをおすすめする。
3. 将来のアップグレードを考える
例えば、16GBが必要なら8GB×2ではなく16GB×1を選ぶのも一つの手だ。将来的に32GBに増やしやすくなる。
ただし、1枚差しの場合2枚差しの時よりも速度が遅くなり、増設時もロット違いによる相性問題が懸念される為おすすめはできない。
※特にDDR5の場合、Intel/AMD共に4枚差しやロット違い動作は安定しないので最初からメモリの容量を確保しよう。
4枚差しが有効な場合
どうしても4枚差しがしたいなら、ThreadRipperのようなワークステーション向けCPUを使うべきだ。これらはクアッドチャンネルに対応している。
ただし、初心者には現実的な選択肢ではないだろう。
結論
メモリ4枚差しは、一般的な自作PCでは百害あって一利なしだ。2枚差しで必要な容量を確保するのが、最も安全で効果的な方法だ。
にわか識者の甘言に惑わされず、安定性を重視した構成を選ぼう。それが自作PC成功の近道となる。
長年PCパーツの販売に携わる中で、カスタマーサポートとして多くの初心者を見てきた。そこで気付いたのが、メモリの差し方によるトラブルの多さだ。特にメモリのラッチが上がり切るまで差し込んでいても、差し方が悪いと認識不良を起こしやすい。
自作歴5台(組み換え回数も含む)以下の初心者~中級者は、そもそもメモリトラブルに悩まされることが多いので4枚差しはやめよう。
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