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【進化】AMD次世代Zen 6技術の詳細が明らかに – TSMC 2nmプロセス採用のEPYC「Venice」とRyzen「Medusa」の革新技術【2025年4月最新情報】

AMDが次世代Zen 6マイクロアーキテクチャに関する重要な情報を相次いで発表した。6世代目となるEPYCプロセッサ「Venice」がTSMCの最新2nmプロセス技術で製造されることが正式に発表され、また未発表のデスクトップ向けRyzen「Medusa」CPUには新たなメモリコントローラ設計が採用されるとの情報も浮上している。これらの動きは2026年に向けたAMDの積極的な技術開発姿勢を示している。

AMDがTSMC 2nmプロセスで業界初のHPC製品を実現

AMDは公式発表の中で、第6世代EPYC「Venice」がTSMCの最先端2nm(N2)プロセス技術を採用する業界初のHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)製品であることを明らかにした。すでに試作チップが完成し、基本的な機能テストと検証に合格したとのことで、2026年の発売に向けて順調に開発が進んでいる。

リサ・スー会長兼CEOは「TSMCは長年にわたる重要なパートナーであり、両社のR&Dチームと製造チームとの緊密な協力により、AMDは一貫して高性能コンピューティングの限界を押し広げるリーダーシップ製品を提供できてきました」とコメントしている。

TSMCのN2プロセスは、同社初となるゲート・オール・アラウンド(GAA)ナノシート・トランジスタを採用した製造技術だ。前世代のN3(3nmクラス)プロセスと比較して、消費電力を24%〜35%削減するか、同一電圧で15%の性能向上と1.15倍のトランジスタ密度向上を実現するとされている。

特に注目すべきは、AMDのこの発表がライバルのインテルが次世代Xeon「Clearwater Forest」プロセッサ(18A製造技術を使用)の発売を来年前半に延期した直後に行われた点だ。

Zen 6搭載Ryzen「Medusa」は2つのメモリコントローラを採用か

一方、デスクトップ向けの次世代Zen 6ベースRyzen「Medusa」CPUについても新たな情報が浮上している。Uniko’s Hardwareが報じた中国フォーラムの情報によれば、「Medusa」CPUは2つのメモリコントローラ(IMC)を搭載し、これによりDDR5メモリの配置要件に変更が生じるとされる。

報告によると、新しいIMCの一つはチャネルあたり1つのDIMM(1DPC)のみをサポートする設計となっている。現在のAM5マザーボードでは、4スロット2枚構成の場合通常A2/B2スロットを使用するが、新しいIMCではA1/B1スロットへと配置が変更されるとのこと。そのため、Zen 6は現在の1DPC配置(2スロットマザーボード)との互換性がない可能性がある。

MSIのMPOWER AM5マザーボードはすでにこの新しい構成に完全に準拠しているとの情報もある。

アメリカでの半導体製造も進行中

AMDはさらに、第5世代EPYCプロセッサがTSMCのアリゾナ州フェニックス近郊にあるFab 21施設で製造されたシリコンの検証に成功したことも発表した。これにより、同社の現行世代EPYCプロセッサの一部は米国内で生産可能となった。

TSMCのC.C.・ウェイ会長兼CEOは「AMDが当社の先進的な2nm(N2)プロセス技術とTSMCアリゾナ工場のリードHPCカスタマーとなったことを誇りに思います」とコメント。「共に協力することで、高性能シリコンのより優れた性能、電力効率、歩留まりをもたらす重要な技術スケーリングを推進しています」と述べている。

次世代プラットフォームの展望

これらの情報から、AMDの2026年に向けたプラットフォーム戦略が見えてくる。サーバー向けのEPYC「Venice」はTSMCの最先端2nmプロセスを採用し、高性能と省電力性を追求する。一方、デスクトップ向けRyzen「Medusa」は新たなメモリコントローラ設計を採用することで、DDR5メモリの性能をさらに引き出す方向性が示唆されている。

メモリコントローラの変更は、特にオーバークロッカーやハイエンドゲーミングPCユーザーにとって重要な意味を持つ。新たなメモリ配置が高速DDR5メモリのパフォーマンスをどう向上させるのか、現行のAM5マザーボードとの互換性はどの程度確保されるのかが注目ポイントとなる。

筆者のコメント

今回の一連の報道は、AMDが半導体製造技術のリーダーシップを強化する重要な動きと見ることができる。TSMCの最先端2nmプロセスをいち早く採用することで、ライバルのインテルに対して技術的なアドバンテージを確保しようとする狙いが見える。

特に注目すべきは、EPYCサーバープロセッサだけでなく、デスクトップ向けRyzenプロセッサにも革新的な技術を投入しようとしている点だ。新たなメモリコントローラ設計は、Zen 6アーキテクチャの性能をさらに引き出すための重要な要素になると考えられる。

一方で、新しいメモリ配置要件は、現行のAM5マザーボードとの互換性に課題をもたらす可能性がある。AMDは「AM5プラットフォームを2025年以降も継続して使用できる」と約束していたが、最適なパフォーマンスを得るにはマザーボードの更新が必要になるかもしれない。これは特にPCビルダーやアップグレードを予定しているユーザーにとって重要な検討事項となるだろう。

アメリカでの半導体製造の進展も重要なポイントだ。米中の技術競争が激化する中、先端半導体の製造拠点を多様化することは、サプライチェーンの安定性と地政学的リスクの軽減という観点から大きな意味を持つ。

Zen 6アーキテクチャを搭載したEPYCとRyzenは2026年の発売が予想されているが、それまでにさらに多くの技術詳細が明らかになるはずだ。特にメモリサブシステムの変更が実際のアプリケーション性能にどのような影響をもたらすのか、既存のAM5マザーボードとの互換性がどのように確保されるのかに注目していきたい。

※本記事はAMDの公式発表、Tom’s Hardware、Wccftechの報道、およびUniko’s Hardwareの情報に基づいています。Zen 6アーキテクチャの詳細な仕様については、AMDの正式発表をお待ちください。

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