ドイツの大手小売店MindFactoryの最新販売データによると、AMDのRadeon RX 9070 XTがNVIDIAのRTX 5070の約6倍、RTX 5080の約10倍の販売数を記録していることが明らかになった。この販売状況はEU市場におけるAMD RDNA 4グラフィックカードの好調さを示しており、特に在庫状況と価格設定の適正さがAMDの競争優位性となっている。
MindFactoryの販売データが示すAMDの優位性
TechEpiphany氏が報告したMindFactoryの週間販売データによると、Radeon RX 9070 XTは今週だけで245台が販売された。これに対し、GeForce RTX 5070は約6分の1、RTX 5080は約10分の1の販売数にとどまっている。特に注目すべきは、最上位モデルであるRTX 5090の販売がゼロだった点だ。
これらの数字は、単一の小売店という限定的な範囲ではあるものの、現在のEU市場におけるグラフィックカード販売の傾向を反映していると考えられる。AMDのRDNA 4世代GPUが市場で強い支持を得ていることがうかがえる。
在庫状況と価格設定の違い
この販売状況の背景には、両社の在庫管理と価格設定の差がある。AMDは製品発売時から安定した供給を維持しており、潜在的な購入者がグラフィックカードを入手しやすい状況を作り出している。対照的に、NVIDIAのRTX 50シリーズは多くのモデルが品薄状態で、小売価格がMSRP（メーカー希望小売価格）を大幅に上回っていることが報告されている。
特にミッドレンジのRTX 5060シリーズも発売直後からMSRPを上回る価格設定となっているため、コストパフォーマンスを重視する消費者にとっては魅力が低下している可能性がある。
AMDも高い需要に対して完全にMSRP価格を維持できているわけではないが、NVIDIAと比較すると在庫状況は良好で、より適正な価格で入手できるモデルが多い状況だ。
グラフィックカード市場の今後の展望
AMDのRDNA 4世代GPUの好調な販売実績は、今後発売予定のRX 9060シリーズなどの予算向けモデルにも期待を持たせる。報道によれば、AMDはこれらの低価格帯モデルでも市場シェア拡大を図る計画を持っているとされる。
一方、NVIDIAにとっては在庫状況の改善と価格の適正化が急務となっている。特にRTX 5090のような高価格帯モデルが販売数ゼロという状況は、供給不足が深刻であることを示している。
今週発売されたRTX 5060 Tiが今後どのような販売動向を見せるかも、両社の競争に大きな影響を与えそうだ。
筆者の考察
MindFactoryの販売データが示す状況は、単一の小売店の結果であり、世界市場全体を直接反映するものではないことに注意が必要だ。ただし、EUの主要市場における大手小売店のデータとして、重要な示唆を含んでいる。
特に注目すべきは、AMDとNVIDIAの製品戦略の違いだ。AMDは適切な供給量と価格設定によって市場シェアを獲得する戦略を取っているのに対し、NVIDIAは性能優位性を強調しながらも、供給不足により実際の販売機会を逃している可能性がある。
このような状況が続けば、グラフィックカード市場の勢力図に変化が生じる可能性も考えられる。特に価格に敏感なミドルレンジからローエンド市場では、入手性と価格の適正さがユーザーの購入決定に大きな影響を与える。
ただし、NVIDIAの供給状況はいずれ改善される可能性が高く、また各地域のディストリビューターやリテーラーによって状況は異なる。したがって、今後の市場動向を単純に予測することは難しい。
最近発売されたRTX 5060 Tiと、近日中に発表が予想されるAMD RX 9060シリーズの市場投入によって、ミドルレンジ市場での競争はさらに激化するだろう。コストパフォーマンスと入手性のバランスが、今後の市場シェアを決定する重要な要因となりそうだ。
※本記事は@TechEpiphanyの報告およびWccftechの記事に基づいています。販売データは特定の小売店のものであり、世界市場全体の状況を必ずしも反映するものではないことにご留意ください。
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