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【諸刃の剣?】最新ドライバー576.02でRTX 50シリーズが最大8%性能向上も、新たな安定性問題が発生【2025年4月最新情報】

NVIDIAが4月16日にリリースした最新ドライバー576.02が、RTX 50シリーズグラフィックカードに最大8%もの性能向上をもたらしていることが判明した。ComputerBaseの検証によれば、RTX 5070は8.4%、RTX 5070 Tiは7.3%、RTX 5080は5.6%のベンチマークスコア向上を達成。これに加え、アイドル時の消費電力も大幅に低減されており、RTX 5070のクロックは180MHzから22MHzに低下し、RTX 5060 Tiもアイドル時わずか7Wの消費電力を実現している。しかし、性能向上と引き換えに新たな安定性問題も報告されており、温度センサーの異常によるクロック制御問題が指摘されている。ユーザーは性能と安定性のトレードオフに注意が必要だ。

最大8%の性能向上が確認されたドライバー576.02

ComputerBaseの綿密なテストによると、NVIDIAの最新ドライバー576.02はRTX 50シリーズに対して驚くべき性能向上をもたらしていることが確認された。3DMark Steel Nomadベンチマークでは以下の向上が見られた

  • RTX 5080: 8,094 → 8,550ポイント(5.6%向上
  • RTX 5070 Ti: 6,463 → 6,932ポイント(7.3%向上
  • RTX 5070: 4,838 → 5,242ポイント(8.4%向上

一方、RTX 5090は14,032から14,117ポイントへとわずかな向上に留まり、RTX 5060 Tiに関しては、すでに最適化されたドライバーで発売されたためか、ほぼ変化がなかった。

興味深いことに、この性能向上はSteel Nomadに限定されているようで、Speed WayやTime Spyなど他のベンチマークでは大きな変化が見られなかった。一部のTime Spyのテストでは、むしろスコアが若干低下する現象も確認されている。

実ゲームでの性能向上についても報告があり、『Marvel Rivals』ではRTX 5080とRyzen 7 9800X3Dの組み合わせで140fps以上から150fps以上へと5〜7%のフレームレート向上が達成されている。また、『Indiana Jones』などでも10〜15%程度の性能向上が報告されている。

アイドル時の電力効率の向上

576.02ドライバーによる改善点の一つとして、アイドル時の電力効率の大幅な向上が挙げられる。多くのユーザーが報告しているように、RTX 50シリーズのアイドル時クロックが大幅に低下している。

  • RTX 5070: 約180MHz → わずか22MHz
  • RTX 5060 Ti: アイドル時消費電力が7Wまで低減

これはバッテリー駆動のノートPCユーザーや、常時PCを稼働させているユーザーにとって大きなメリットだ。ただし、一部のユーザーからは「アイドル時の温度表示が不自然に低い(約26℃で固定される)」という報告もあり、これは前述のセンサー問題と関連している可能性がある。

MSIのRTX 5070 Ti搭載PCでは、Steel Nomadのスコアが約6,500ポイントから約6,900ポイントへと向上したが、同じPCでTime Spyのスコアは逆に若干低下したという報告もある。このように、576.02ドライバーの影響はベンチマークの種類やゲームによって異なるようだ。

なお、RTX 40シリーズユーザーにとっては状況が分かれており、一部のユーザーは3〜4%のパフォーマンス向上を報告している一方、他のユーザーは「RTX 4080のSteel Nomadスコアが6,450から6,320に低下した」と報告している。特にRTX 40シリーズでは、依然としてAlt+Tabでの黒画面問題など、いくつかの不具合が報告されている。

クラッシュからの解放と新たな不安:動作安定性の問題

576.02ドライバーには多くのバグ修正が含まれており、特に黒画面問題やゲームクラッシュなど、RTX 50シリーズおよびRTX 40シリーズのGPUを悩ませてきた様々な問題が修正されている。これまでの問題は非常に深刻で、一部のゲーム開発者までもが以前のドライバーに戻すよう推奨するほどだった。

しかし、新たな安定性問題も浮上している。特に注目すべきは、温度センサーの問題だ。このバグにより、特定の状況下でグラフィックカードのセンサーが「凍結」し、温度を正確に読み取れなくなる可能性がある。これによりカードが適切にクロック周波数や電圧を調整できなくなり、過剰に高いクロックで動作してしまうリスクがある。

一部のユーザーからは次のような報告も上がっている

  • Warframeが新しいドライバーで2回クラッシュした
  • Alt+Tabでゲームから切り替えると画面が黒くなる
  • OC設定が以前のドライバーより不安定になった
  • Infinity Nikkiがシェーダーコンパイル後にクラッシュした
  • モンスターハンターワイルズがDLSS-FG有効時にクラッシュする

これらの問題は、576.02ドライバーのブーストアルゴリズムが変更されたことが原因である可能性が高い。多くのユーザーが報告しているように、このドライバーでは一部のカードが以前より高いクロックで動作する傾向があり、これが性能向上の理由でもあるが、同時に安定性の問題を引き起こしている可能性がある。

リスクを承知で使うべきか?NVIDIAの「隠れた性能」

今回の576.02ドライバーによるパフォーマンス向上について考察すると、いくつかの疑問が浮かぶ。このような大幅な性能向上が可能だったのであれば、**なぜNVIDIAは初めからこの性能を引き出していなかったのか?**redditユーザーの一人が指摘するように、「NVIDIAがRTX 50シリーズの性能を意図的に抑えていた」という見方も可能だ。

一部のredditコメントによれば、「Blackwellの問題や9070 (XT)からのプレッシャーでNVIDIAが追い込まれた結果、(おそらく最初から予備として持っていた)”ワンダードライバー”が登場した」という見方もある。つまり、競合からの圧力に対応するための「隠し玉」だったという見方だ。

一方で、もっと単純に「ドライバー開発が不十分な状態で出荷された」という見方もできる。RTX 50シリーズは発売以来ドライバー問題が目立っていたこともあり、今回のアップデートでようやく本来の性能が発揮されるようになったと考えることもできる。

ただし、性能向上と引き換えに新たな安定性リスクが生じていることを忘れてはならない。redditの報告によれば、576.02ドライバーの温度センサー問題は、過度なクロック上昇によるグラフィックカードへのダメージを引き起こす可能性がある。

筆者のコメント

576.02ドライバーは諸刃の剣と言える。5〜8%もの性能向上はドライバーアップデートとしては異例の大きさで、いわば無料のアップグレードだ。特にRTX 5070のように8.4%もの向上があれば、体感でもはっきりとわかるレベルだろう。この数字は、CPUアップグレードで騒がれるほどの性能差に匹敵する。

しかし見方を変えれば、「なぜ発売当初からこのパフォーマンスを引き出せなかったのか?」という疑問も浮かぶ。発売からわずか数ヶ月でこれだけの性能向上が見られるということは、初期のドライバー品質に問題があったことの証左とも言える。

最も懸念されるのは、新たに報告されている安定性の問題だ。複数の情報源が指摘している温度センサー問題は看過できない。温度センサーの読み取り異常により、カードが適切にクロックと電圧を調整できなくなれば、最悪の場合ハードウェア損傷につながる恐れもある。

どうすべきか?この記事を読んでいるあなたが既にRTX 50シリーズを所有しているなら、以下を検討してほしい

  1. 性能重視なら576.02ドライバーを試してみる価値はある。ただし、温度や動作状況を注意深く監視し、異常があればすぐに前のドライバーに戻すこと
  2. 安定性重視なら、しばらく様子を見るか、以前の安定したドライバー(572.83や566.36など)を使い続けるのも賢明
  3. オーバークロックをしているユーザーは特に注意が必要。576.02でのブースト動作が変更されているため、以前安定していた設定が不安定になる可能性がある

NVIDIAには、性能向上と安定性の両立を目指した次のドライバーアップデートを期待したい。ユーザーとしては、「無料の性能向上」に飛びつく前に、自分のPCの使用環境と重視するポイントを考慮して判断すべきだろう。

※本記事はreddit投稿、ComputerBase検証結果、およびその他の情報源に基づいています。正式な製品仕様と性能はNVIDIA公式発表およびレビューをご確認ください。

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