NVIDIAがGeForce RTX 50シリーズグラフィックカードに、これまでのサムスン製に加えてSK hynix製のGDDR7メモリの採用を開始した。信頼性の高い情報筋MEGAsizeGPUによると、RTX 5070から順次導入されており、NVIDIA製品の製造サプライチェーンに重要な変化が生じている。
複数メモリベンダーへの移行とその意味
海外情報筋MEGAsizeGPUによれば、NVIDIAは最近RTX 50シリーズグラフィックカード向けにSK hynix製GDDR7メモリの採用を開始した。最初のモデルはRTX 5070であり、今後他のラインナップにも拡大する可能性がある。
この情報を理解するためには、NVIDIAのメモリ調達方法を知る必要がある。一般的に、ボードパートナー(ASUS、MSI、GIGABYTEなど)が直接メモリチップを購入するのではなく、NVIDIAがGPUとメモリをバンドルとして販売している。つまり、NVIDIAがどのメモリを使用するかを事実上決定しており、ボードパートナーにとってはこの方法が調達コスト面で有利になっている。
公式には、GeForce RTX 50シリーズは3つのメモリベンダー(サムスン、SK hynix、マイクロン)をサポートしているが、これまで市場で確認されていたのはサムスン製メモリのみだった。他の2社は生産計画を発表していたものの、実際の製品への搭載は確認されていなかった。
RTX 5070からSK hynix製メモリ採用開始
MEGAsizeGPUによると、NVIDIAは現在RTX 5070グラフィックカードにSK hynix製GDDR7メモリをバンドルし始めているという。これはNVIDIAのサプライチェーン戦略に重要な変化をもたらす可能性がある。
グラフィックカードが使用しているメモリを確認する最も簡単な方法は、GPU-Zなどのツールを使用することだ。または、カードを分解して直接モジュールを確認することも可能だが、購入場所によっては保証が無効になったり、熱伝導パッドが損傷したりする恐れがある。
現時点では、SK hynix製メモリを搭載したRTX 50シリーズカードは市場に出回っておらず、レビューの対象にもなっていない。そのため、温度やオーバークロック性能に違いがあるかは不明だ。MEGAsizeGPUによれば、クロック速度はサムスン製28Gbps GDDR7メモリと同等で、オーバークロック性能についてはまだ詳細は不明とのことだ。
現行RTX 50シリーズのメモリ仕様
現在、NVIDIAは自社グラフィックカードで2種類のメモリ速度を使用している
- 28 Gbps: RTX 5090、RTX 5070 Ti、RTX 5070
- 32 Gbps: RTX 5080
サムスン製GDDR7メモリはノートPC向けGPUシリーズにも搭載されている。TechPowerUPが公開したRTX 5070のBIOS情報によると、同モデルはすでに3社のGDDR7ベンダー(サムスン、SK hynix、マイクロン)をサポートしていることが確認されている。
複数ベンダー採用の背景と今後への影響
NVIDIAが複数のメモリベンダーを採用する背景には、以下のような要因が考えられる
- 供給リスクの分散: 単一ベンダーへの依存を減らし、サプライチェーンの柔軟性を向上
- コスト最適化: ベンダー間の競争を促進し、調達コストを削減
- 生産能力の確保: 需要に応じて迅速に生産量を調整可能に
一部のユーザーからは、過去のGeForce RTX 3060 Tiで発生したメモリサプライヤー変更に伴う問題が再発しないかという懸念も表明されている。当時は、メモリ供給元の変更がオーバークロック性能に影響を与えたとされる事例があった。
筆者のコメント
NVIDIA RTX 50シリーズへのSK hynix製GDDR7メモリ採用開始は、表面的には小さな変更に見えるかもしれないが、実際には重要な意味を持つ。特に現在の半導体業界における供給不足やサプライチェーンの混乱を考えると、複数のメモリベンダーを確保することはNVIDIAにとって戦略的に重要な動きだ。
ゲーマーとして気になるのは、もちろん性能面だ。過去には異なるベンダーのメモリによってオーバークロック性能や電力効率に差が出ることもあった。SK hynixはDRAMメモリの分野で高い評価を得ているメーカーだが、GDDR7という新しい規格での実績はまだ限られている。
当面はGPU-Zなどのツールで自分のグラフィックカードがどのメモリを搭載しているかを確認し、ベンチマークサイトなどでの比較レビューを参考にするのが賢明だろう。なお、MEGAsizeGPUによれば基本的なクロック速度はサムスン製と同等とのことなので、標準使用時の性能差は最小限と予想される。
今後、マイクロン製GDDR7メモリを採用したカードも登場するのか、また各ベンダー間で性能差が生じるのかについては、引き続き注目していきたい。
※本記事はMEGAsizeGPUのSNS投稿、VideoCardzの報道およびTechPowerUPの情報に基づいています。正式な製品仕様と詳細は公式発表をお待ちください。
情報・参考
Nvidia recently started to use SK Hynix GDDR7 for the RTX50 Graphic Card. Started with RTX5070 first.
— MEGAsizeGPU (@Zed__Wang) April 8, 2025
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