AMDが2月28日に発表予定の次世代GPU「Radeon RX 9070」シリーズで、リファレンスモデル(MBA:Made By AMD)を発売しない方針であることが明らかになった。これにより、AIBパートナー各社のカスタムモデルのみでの展開となる見通しだ。
リファレンスモデル非展開の背景
AMDの最新プロモーション資料で、これまでティザーとして使用されていたGPUのデザインについて「アーティスティックレンダリング。販売予定なし」との注記が確認された。これは、AMDが自社製のリファレンスモデルを展開しない方針を示唆している。
この決定の背景には以下のような要因が考えられる
- 供給量の最大化:
- AIBパートナーへのGPUチップ供給を優先
- 製造ラインの効率的な活用
- NVIDIAの供給不足に対する戦略的対応
- AIBパートナーへの配慮
- 過去の世代でリファレンスモデルが先行販売される状況への不満に対応
- パートナー各社の利益確保への配慮
AIBパートナーの展開状況
現時点で確認されているAIBパートナーのラインナップ
ASUS
- TUF Gaming シリーズ
- Prime シリーズ
XFX
- Swift シリーズ
- Quicksilver シリーズ
- Mercury シリーズ
Sapphire
- NITRO+ シリーズ
- PULSE シリーズ
これらのモデルは、CES 2025での展示や各種リーク情報で存在が確認されている。
価格設定の見通し
リファレンスモデル不在による価格帯への影響が懸念されるが、各社から以下のような展開が予想される
- エントリーモデル:649ドル前後(RX 9070)
- スタンダードモデル:749ドル前後(RX 9070 XT)
- プレミアムモデル:799-899ドル
ただし、これらの価格はAmazonなどの小売店の事前リストに基づくものであり、正式な価格は2月28日の発表を待つ必要がある。
RX 9070シリーズの予想スペック
リーク情報によると、RX 9070 XTの主要スペックは
- ストリームプロセッサ:4,096基
- VRAM:16GB GDDR6
- メモリインターフェース:256-bit
- PCIe:Gen 5.0対応
- AI/レイトレーシングアクセラレータ:強化版搭載
発売スケジュール
- 正式発表:2月28日午前8時(ET)
- レビュー解禁:3月5日(予定)
- 販売開始:3月6日
市場への影響
リファレンスモデルの不在は、以下のような影響をもたらす可能性がある
メリット
- AIBパートナーへの十分な供給量確保
- 多様なカスタムモデルの展開
- 製造・流通の効率化
デメリット
- MSRPでの製品確保が困難になる可能性
- 価格の上昇リスク
- 初期の品質基準の不統一
筆者のコメント
AMDのこの決定は、非常に戦略的だ。NVIDIAのRTX 50シリーズが深刻な供給不足と品質問題に直面している中、供給量を最大化し、AIBパートナーとの関係を強化する賢明な判断と言える。
特に注目すべきは、この発表のタイミングだ。NVIDIAが「ROP欠損」「ブラックスクリーン問題」「補助電源コネクタの溶解」といった問題に直面している中、AMDは供給と品質の安定性を重視する姿勢を示している。
ただし、リファレンスモデルの不在は、価格の安定性という点で懸念材料となる。過去の経験から、AIBパートナーのみの展開では、MSRP通りの価格での製品投入が限定的になる傾向がある。
しかし、今回はAIBパートナー各社が豊富なラインナップを用意しており、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広い選択肢が提供される見込みだ。特にASUSやSapphireなどの主要メーカーは、すでに複数のモデルを準備していることが確認されている。
購入を検討しているユーザーは、2月28日の正式発表を待って、各モデルの詳細な仕様と価格を比較検討することをお勧めする。特に初期ロットについては、NVIDIAの供給不足の反動で需要が集中する可能性も高く、価格高騰のリスクにも注意が必要だろう。
※本記事はAMDのプロモーション資料およびVideocardz、Tom’s Hardwareの報道に基づいています。正式な製品詳細は2月28日の発表をお待ちください。
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